消防相互援助協定

 佐世保市長(以下甲という。)と米海軍佐世保基地司令官(以下乙という。)は、消防相互援助について下記事項のとおり協定を締結する。

a 甲、乙ともそれぞれの管轄区域内における火災を鎮火するための機材及び要員を保持する。
b 甲、乙それぞれの管轄区域が隣接しているため、火災の場合において相互の援助が実行可能と思われる。
c 米国海軍省及び佐世保市は、双方に有益と思われる援助協定を締結することを方針としている。

第1条(援助要請)
a 佐世保市消防長若しくは米海軍佐世保基地消防長(以下「消防機関の長」という。)又は現場指揮者が、この協定に基づき消防活動のため援助を要するか又は要するかもしれないと判断したときは、他方の消防機関の長に火災の場所、状況等を告げて援助を要請するものとする。
b 前項の援助の要請を受けた消防機関の長は、要請受諾の可否について遅滞なく回答するものとする。ただし、甲、乙いずれも援助の提供を義務づけるものではない。
c 援助の要請を受けた消防機関の長は、派遣する現場指揮官が適切な消火器具、機材、要員を直ちに派遣できるように指揮者に火災の詳細を告げるものとする。

第2条(火災通報)
a 消防機関の長又は現場指揮者は、火災が他方の管轄区域の人命又は財産に危害を及ぼすかも知れないと判断したときは、第1条a項に基づく援助要請の有無にかかわらず、当該管轄区域の消防機関の長に次のことについて詳細を直ちに通報するものとする。
(1) 発見時間及び場所
(2) 火災の種別、規模及び状況
(3) その他関連した情報
b 第1条の援助要請を受けた消防機関の長は、指揮要員を現場指揮所へ派遣するものとする。その他の要員及び機材は特に援助と消火の要請があるまで、指定された場所に待機するものとする。火災が鎮火した場合は、通常最終現場点検の援助は要請しないものとする。また火災が鎮火するまでの間は火災の延焼を防ぐため双方が努力するものとする。通常は援助を要請する機関が独自の基準に基づき火災現場の検証を行うものとする。援助を施す機関は、援助を要請する機関が作業及び警備上支障がなければ現場検証に参加することができるものとする。

第3条(火災現場での指揮)
a 援助を要請する消防機関の指揮者が合同消火作業の間、現場での指揮を行い火災鎮火の全面的な責任をもつものとする。
b 現場指揮者が現場にいる他方の消防機関の指揮者に指揮を取るように特に要請した場合、指揮権を譲った指揮者は、他方の指揮者の指示に従い消火活動を継続するものとする。火災が鎮火した時点で現場指揮権は、第2条b項に基づき最終現場点検及び検証の責任を持つ要請した機関に戻る。

第4条(米海軍制限区域への立入り)
a 米海軍佐世保基地消防長又はその現場指揮官が、特別の援助要請をすれば佐世保市消防長が派遣する消防要員は、米海軍制限区域(以下「米軍基地」という。)内への立入りを許可される。
b 乙が甲に米軍基地内での消火援助を要請したときは、甲は米軍基地ゲイトへ接近した際、赤色灯とサイレンを作動させ基地警備員へ緊急出動である事を知らせるものとする。乙の消防機関は前もって甲に援助要請したことを基地警備員に知らせるものとする。

第5条(情報の交換)
a 合同の消火活動が行われている間、双方の現場指揮者は消火中の火災の状況、状況を完全に理解するため相互に情報の提供交換を行うものとする。
b 現場指揮者は、大事故の発生を防止又は被害を最小限にするため、火災現場に存在するすべての如何なる異常又は危険物及び状態を他方に知らせるものとする。

第6条(連絡訪問、会議及び合同消防訓練等)
a この協定の消防機関の長及び要員は、双方の消防機材及び建物の位置、並びに状況を把握するため連絡を維持するものとする。その状況を全般的に把握するための米軍基地訪問は案内がつくものとする。
b 双方の消防機関の長は、少なくとも年に1回の定期的な会議を通じて相互に利益のある情報等を交換するものとする。
c 要請があれば双方の申し合わせの上、合同消防訓練又は各種の研修会等を行うものとする。

第7条(補償)
 甲及び乙は、この協定に基づく消防活動により生じた物件の損失若しくは損壊、人員の負傷若しくは死亡に対する損害賠償の請求を相手側に行わないものとする。この協定に基づいて行う消防活動に要する費用は甲乙双方の自己負担とする。

第8条(通報)
 乙が火災と紛らわしい行為たとえば、管理された焼却、煙を発する行為をしようとするときは、前日までに佐世保市消防長に次のことを通報するものとする。
(1) 作業の日時
(2) 作業の場所
(3) 作業の種類

第9条(協定の範囲)
 この消防相互援助協定は、人命財産に危険を及ぼす他の自然又は大規模な災害にも適用するものとする。

第10条(協定の効力)
 この協定は、甲乙双方が署名した日から効力を生じ、双方の同意によって無効とするか、又は甲乙いずれか一方が他方に対し、10日間の予告をもって無効の通告を文書で行うまで有効とする。この協定は2ヶ国語で作成されることから、協定状況についての解釈の違いを防ぐため、条項の解釈は英文を基本とすることに同意する。

第11条
 昭和60年11月6日甲乙間で締結した消防相互援助協定はこの協定の発行日をもって廃止する。

 異常、協定締結の証拠として甲乙双方は、平成20年12月15日に日本国長崎県佐世保市八幡町1番10号佐世保市役所に於いてこの協定に署名する。

平成20年12月15日

 米国海軍佐世保基地司令官  佐世保市長
 米国海軍佐世保基地消防長  佐世保市消防長