(技術編) 桜は枝を切ってはいけない?
 昔から「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざがあります。このことわざは、梅は管理上、「剪定しないといけないよ」と言う意味であって、そのこころは、梅の剪定の必要性を教えたものと考えるべきです。ちまたで言われているように、桜は「ほったらかし」でよいと言う意味ではありません。桜には、テングス病など病気の他に、樹形をみだす徒長枝が発生します。これらを剪定することをおそれるあまり放置すると、前者は、病気の蔓延による衰退、他の桜への感染、後者は、放置の結果枯損することで枯損部位からの腐朽につながります。
 おもいきって不要な枝は、剪定すべきです。
(剪定すべき枝)
 枯れ枝・からみ枝(交差枝)・ふところ枝(こみ枝)・胴ぶき など ※造園的呼び名
テングス病は、枝がこみあった部分によく罹病することが知られています。また、風通しの悪い部分(徒長枝)には、カイガラムシなどの虫害も発生することから、他の病気も発生し、結果、枯れ枝が発生します。徒長枝は、早めに切除し、次世代の若い枝を育てることが肝心です。
(剪定後の切り口の処理)
 ペースト状の殺菌剤を塗布するほか、殺菌剤だけでは数ヶ月すると効果がなくなるので、木工ボンドなどを切り口に塗布すると効果的です。直径3センチ未満の枝だと、健康な桜の場合は数年で切り口が塞がります。
 また、切り口をビニールテープなどで覆うと、切り口の塞がるのが早くなります。
(左写真)ソメイヨシノ
こみ枝を長年放置すると、お互いの枝が殺しあいます。はさまった枝は枯損しています。こうなるまえに剪定が必要です。
(右写真)ソメイヨシノ
赤い矢印の部分を見てください。枝がクロスしています。形状から見て左側の枝を幹の部分で剪定する必要があります。(交差枝)
(左写真)ソメイヨシノ
長年放置した結果、癒合しています。こうなってしまえば、剪定はできません。
よい形で癒合しているので、このまま様子をみます。
(右写真)ソメイヨシノ
 不用意な剪定で、剪定した部分から下側の幹が枝からの光合成生産物(エネルギー)を得ることができずに幹やけをおこしています。(矢印先より左側が健康な状態、右側が幹やけをおこしています。)
 下枝など剪定する場合は、その桜は、どの枝で、樹体を維持しているのか、見極める必要があります。
(テングス病の切り方)
 テングス病は、山間部などの霧が発生するところに多く発生します。テングス病は罹病部の基が瘤状に膨らんでいるので、その直下から切り落としてください。それ以外の部位の切除は効果が出ません。
 切除後、殺菌剤を塗布してください。
テングス病が発生した枝、これらを見たらすぐ除去です。
 桜は、手をかけてあげればあげるほど成長します。施肥、適度の薬剤散布、そしておそれない剪定で桜の管理を心がけましょう。毎年美しい花を咲かせてくれることでしょう。
 ちなみにこの言葉は、桜管理研修の際(青森県弘前市)に教えていただいたものです。非常に印象の残った言葉です。

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