「ほら、起きなさいオミくん。正月だぞー」 「・・・・・うーん。後二年寝かせてくれ・・・」 「・・・・オミくん。それじゃ三年寝太郎だぞ・・・・」 「うーん・・・じゃあ1年追加してギネスに載る」 「駄目よ、ほら。初子ちゃんも若菜ちゃんも来ているんだから。起きなさいっっ!」 「ごめんよパトラッシュ、僕は疲れたんだ・・・今とっても眠いんだ・・・」 「オミくんっっ!そのままだと死んじゃうわよっっ!天使さんがオミくんを荷車でパ トラッシュごと連れて行ってしまうのよっっ!」 「・・・・はっはっは。すずねえ、何を寝ぼけているんだ。そんなことあるわけない じゃないか」 「オミくんっっ!突っ込みを入れるのならちゃんと起きてからにしないと駄目なんだ ぞっっっっ!」 「・・・・寝ててくれないと突っ込むのは難しい・・・それとも隣のお姉さんは、マ ニアックなプレイがお好みですか・・・・」 「オミくんっっっっっっっっっっ!」 地球が回る。三回転。気持ち悪い・・・ ごちん! 「いてえっっ!」 「・・・・・・・・・・」 「・・・・おはようすずねえ」 「・・・・・・・・・・」 「・・・・・何怒っているんだ?」 「・・・・怒ってなんかないぞっっ!」 「・・・思いっきり怒っているように見えるんだが・・・」 「いいから早く着替えなさいっっ!玄関に初子ちゃんと若菜ちゃんがお年始の挨拶に 来てくれているんだぞっっ!」 「あ、そうなのか?なんだ、だったらもっと早く起こしてくれればよかったのに」 「オミくんが起きなかっただけよっっっっっっっっ!」 「・・・・うわーんお姉ちゃんごめんよおおおおっっ!僕が悪かったよおおおお!」 「あ、ほらほらっ。すぐ着替えて下りれば大丈夫だぞー。まだ二人とも来たばかりだ からね。よし、お姉ちゃんが着替えさせてあげるぞー」 「・・・・・カナ」 「・・・・・初ちゃん、何カナ?」 「・・・・涼香先輩は30分でも来たばかりというらしいわね」 「し、仕方ないよ仕方ないよ。靖臣くんは寝ぼすけさんだもん・・・・」 「待たせたな諸君」 「待たせるにもほどがあるわよっっ!」 「ふん。中途半端にすずねえの真似なんぞしおって。やるなら胸の部分を削るぐらい の気合いを見せろ」 「やかましいっっ!晴れ着が苦しいんだからとっとと出てきなさいよ!」 「ごめんね二人とも。至らない弟の代わりに私が謝るわ」 「す、涼香先輩が謝らなくてもいいですよいいですよ」 「正月早々二回言うな」 「あんたも何偉そうにしてるのよ!」 「ふん。偉そうにしているんじゃない。偉いんだ」 「オミくんっっ!」 「・・・・正直すまんかった」 「靖臣くん。今年もよろしくねよろしくね」 「ああ、カナ坊もよろしくな。で、なんでそんな探検隊スタイルなんだ?」 「うん、これからお正月旅行に行くんだよ行くんだよ」 「けっ!ブラジルがっ」 「・・・・・それを言うなら「ブルジョア」でしょ・・・」 「・・・つい格好に惑わされた。・・・・カナ坊、何を驚愕しとるんだ?」 「や、靖臣くんすごいすごい!ブラジル旅行だよ旅行だよ」 「・・・・・・・それはいくらなんでもブラジルに対して失礼ではないかと思うのだ が・・・」 「・・・オミくん。突っ込んだ段階で説得力が全然ないぞ・・・」 「そして休み明け。健康的に浅黒く日焼けしたカナ坊を「カルロス」と命名し、俺た ちは日々を過ごしている。晴れ着の肥立が悪くてこの世を去った初子、俺たちは元気 にやっている。安心して眠ってくれ」 「新年早々演技でもないオチをつけるなっっ!」 おしまい
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