※このお話はイ●リスだかフ○ンスだかっぽい国が舞台のなんちゃってパラレルです。
 そういうのが苦手の方は、ご注意ください。
※元『空に報告すること』です。タイトルを変えました。
※オリキャラがハワード・ダリル・アキラ・ネフェルなどハムさんゆかりのキャラになっただけです。
 ……キャラが変わったので説明などが追加されていますが、ストーリーは元のままです。ご了承ください。

『 たとえば、僕があなたに恋をしたから 』



 今日は晴れそうだ。
 カツカツと靴音を響かせながら、刹那は黒い執事の制服を着て、背筋をまっすぐ伸ばして歩く。たっぷりとコーヒーの入った銀色のポットは重いが、歩調は普段となんら変わることはない。
 昨夜まで、濃厚に漂っていた雨の匂いが消えている。嵐に洗われた澄んだ空気に、屋敷から数ヤードのところにある森から流れてきた濃厚な緑の匂いに、ほんのりと混じる甘い香り。バラの香りが漂う方へ目をやると、廊下で黒いメイド服を着た女性が窓を開けていた。
「おはよう、ネフェル」
 声を掛けると褐色の肌の女性が振り返って、艶やかな白髪を控えめに飾った水色のリボンが揺れた。
「おはよう刹那、あら……旦那様は書斎じゃないの?」
 ネフェルは刹那の手の上にあるコーヒーとスコーンを見てそう問いかけた。この質素な朝食と朝刊を書斎にいる主人の元へ運ぶのが毎朝の刹那の日課だった。
「ああ……見かけなかったか?」
 ネフェルは首を振って、好奇心あふれる視線を寄こす。驚くのも無理はない。この家の主人は規則正しい生活を好むため、刹那がこの家の執事となった4年前から、この習慣が破られたことはほんの数える程しかなかった。するとネフェルはクスリと声をたてて笑った。
「貴方が旦那様の居場所を知らないなんて、珍しい」
 ネフェルはエプロンで強調された細い腰に手を当てて、さばさばした口調で言った。
「俺だって、四六時中あいつのことを気にしている訳じゃない」
 思わず反論してしまったが、言ってからコレでは自分からグラハムのことを気にしていることを認めているようなものだと気付いてしまった。だが、一度口にした言葉は戻らない。特に勘の良い彼女のことだから、刹那の言葉の裏に隠された意味を敏感に察知して、さらに深いところまで読み説いてしまうかもしれない。それは、困ったことになる。刹那は柄にもなく緊張してしまった。ネフェルはこの屋敷の中で一番年が近いし、さばさばした男勝りの性格で、他の使用人たちよりも気が合う存在だった。だが、だからと言って、昨夜自分と主人の間に起こった決定的な出来事を感づかれては、後々困ることになる。そう非常に困った自体だ。刹那は気を引き締めた。が、動揺が顔に出たのだろうか、ネフェルが更に噴き出すように声をたてて笑う。ひとしきり笑った後、ネフェルは窓から身を乗り出して、地面に向かって大声で呼びかけた。
「アキラ、旦那様がどこにいるかしらない?」
 眼下には綺麗に手入れされた庭の植え込みにピンクとオレンジの早咲きのバラが咲いていた。水やりをしていた若い精悍な顔をした男が言った。
「知らない。そんなことより、ネフェル。旦那様に対してそんな口のきき方をするメイドがいるか!いくら今の旦那様が寛大だからといって調子に乗るな」
 男はは日に焼けて、如雨露を持たない左腕を腕を持ち上げて怒鳴るが、彼女は一向に答えた風もない。彼はこの家の庭師で名をアキラ・タケイという。主人よりはいくらか若く、ネフェルよりは年上だ。刹那と同じ東洋風の名を持つ男は、実際東洋の島国からやってきたらしい。お陰で東洋の植物に大変詳しく、この屋敷にもバラのほかに、牡丹や桜、菖蒲といった東洋の花を育ててグラハムを大変喜ばせていた。特に春先の椿は圧巻で、その素晴らしさから、いつしかこの屋敷は通称“カメリア・ハウス”と呼ばれるようになっている。彼が本宅よりもこの小さな別邸の方で過ごす時間が多い理由の一つに、アキラが丹精込めて作り上げた美しい庭もあるだろう。グラハムはアキラの作る庭をことのほか愛していた。『アキラの庭は素朴だが、植物が居心地良さそうに生き生きとしているのがいい』そいうって、晴れの日にはアキラと一緒に庭を散策しては東洋の植物の話を聞くのを楽しんでいた。
「だって旦那様が普通でいいと仰ったのよ。相変わらずアキラは堅いわね、そんなだから刹那に先を越されちゃうのよ。」
 すると、庭先にいたアキラが褐色の目を剥き出しにして、どういう意味かと怒鳴り返した。
「そんなことより、旦那さまをお見かけしなかったか聞いているの、どうなの、知っているの知らないの?」
「知らない……でも、起きぬけに――まだ日の出前だったか――誰かが井戸を使っていたんだよな……アレはお前じゃないだろう」
 
 この屋敷に住むのは、主人の他には、メイドのネフェルと庭師のアキラに料理人のダリル・ダッジ、馬丁のハワード・メイスン、他にも使用人はいるが、現在屋敷に住んでいるのはこの四人と刹那だけだ。つまり、アキラでもネフェルでもないなら残りはダリルかハワードだ。ダリルもハワードも朝は早いので、二人が少し早めに仕事を始めたとしてもおかしくはない。おかしくはないが……そこでふと刹那は昨夜の自分の行いを振り返って渋面を作った。そういえば最後は二人とも気絶するように眠りに落ちてしまったので、きちんとグラハムの身体を清める余裕もなかったことに気がついた。
 あいつか……
 5月の朝はまだ寒い。昨夜の嵐のせいで、庭の植木も濡れているだろう。そんな中、一人で冷たい井戸水汲んで何をしていたのか、思い当たった途端に不機嫌さが増した。怒りがふつふつ湧いてくる。
 貴族の癖に、こういう所で変に遠慮するのは止めてくれ。朝起きて、一緒に寝た筈の相手が居なかった時の、残された俺の気持ちも考えろ、まったく普段は傍若無人も甚だしいくせに、こんな時ばかり遠慮するのは止めてほしい。刹那はため息をつきそうになったのを寸前で堪えた。

「なんか今朝はいつもより機嫌が悪いわね。グラハムと喧嘩でもしたの?」
 なんでそこで、アイツが出てくるのか?怒鳴り返そうとしたところ、好奇心にキラキラ輝く大きな瞳とぶつかって言葉に詰まる。

「刹那が機嫌が悪くなるのって、旦那様絡みのときだけだし。普段は無愛想で冷静なのにねぇ……で、何があったの?」
「…………別に、何も」
 へー、とかふーん、とか意味ありげに呟きながら、刹那の顔を覗きこむ。朝食を持っているため、手を出せないことをいいことに、顔をそらしても直ぐにそちら側へ回り込んでくる、実にしつこい。彼女の好奇心の強さは折り紙つきだ。特に、恋愛沙汰に関しては。
「悪いが、コーヒーが冷める前に旦那様を探さなければ」
 アキラから、刹那をからかってないでさっさと仕事に戻れ、と窘めると、ネフェルは「はーい」と不満げな返事を残して、再び仕事に残った。


「別に四六時中、あいつのことばかり考えている訳じゃない」

 先ほどのネフェルの台詞が脳裏に浮かんだ。
 ……いや、あるか。刹那は自問自答した。執事なのだから主人の動向に目を光らせるのは当然だ。それが仕事だ。おまけに此処の主人、グラハム・エーカーは放っておくと何をするか分からない……およそ貴族とは思えない、破天荒な言動の数々のせいで、日常的に振り回されている。貴族とは思えない無頓着さで、使用人である刹那にも、明るい笑顔を見せたりする。階級格差が激しいこの国で、貴族は尊大で自尊心が高く、庶民のことなど同じ人間とも思わない。ましてや自分の使用人となればなおさらで、家具や道具の一種くらいにしか考えていない。それが普通だ。この屋敷はエーカー侯爵家の別荘の中で最も小さな屋敷で、使用人の数も少ない。だが、森に囲まれ、美しく手入れされた芝生と庭園を持つこの石造りの瀟洒な屋敷は、静かで穏やかな自然に満ちている。刹那が育った、市街地とはまったくの別世界だった。街では秩序だって整えられた自然は消え、道端には死体が転がり、慢性的な食糧不足に不衛生のせいで病人が絶えない。空気だって灰色だ。ところが、国の中枢で政治を牛耳っている貴族たちは自分たちの邸宅を飾ることに方に熱心で、市街地の惨状など一顧だにしない。未だに他国との戦争に明け暮れる。国民が満足に食えもしない国に、戦争する力などあるはずがないのに。
 しかしながら、グラハムは、そういう無関心と虚栄心の塊のような貴族たちとは確実に違っていた。大貴族のくせに、こんな田舎の屋敷に引っ込んで暮らし、訪れるのは科学者の友人ビリー・カタギリくらいだ。生活は至って質素で、服装にも驚くほど無頓着で、いつもシャツにズボン一枚で平気で一日中過している。だらしなくはないが、着飾ることもない。そして、ハワードが丹精込めて世話をした馬で遠乗りに行くか、望遠鏡で夜空を眺めるか、屋根に上って青空を眺めて、埒もなく笑っている。
 ともかく、グラハムはよく笑うのだ。
 それはとても自然で、刹那にも惜しげもなく振りまかれる。そんな風に笑いかける人間はこれまでいなかったから、きっと彼のことを憎めないのだろう。
 
 そんなことを考えながら歩いているうちに、足元の感覚が、オーク材の床板から石のタイルに変わっていた。
 この屋敷は、大まかに二つの部分に分かれる。正面の建物は母屋で、主にグラハムが生活をする場所で、住みやすいように現代的な改装が施されている。もう一つ今刹那が歩いている石の廊下が真っ直ぐ続く別棟が続く。この建物は、母屋より古い作りで、石造りで母屋の南側から後ろに直角に伸びるている。400年ほど前、この屋敷が最初に建設された当初からの建物で、先代までは使用人の住居や書庫として利用されていたが、現在はほとんどが空き部屋になっていた。そこの一室をグラハムは趣味の天体観測に使っている。その部屋の扉を開けたが、部屋には誰もいなかった。ここも空振りか……そう引き返そうとしたとき、テラスへと通じる窓が大きく開けられているのが目に入った。風を受けて白いレースが揺れている。そこは昨夜刹那が自分で鍵を掛けたはずだ。それが開いているということは……刹那は、地図や分度器、星図などが散らばる室内を、通り抜けるて窓からバルコニーへ出た。そこには広いテラスになっていた大型の天体望遠鏡が置かれており、傍らに、屋根へと梯子が掛けられていた。
 想像した通りだった。刹那は一度ため息をついた。
 見上げても、灰色の瓦の向こに、透き通ったスカイブルーの空が広がるだけで、人の気配はない。だが、梯子の傍らには、グラハムがいつも使う室内履きのスリッパが置かれている。刹那は一旦トレイを置くと、梯子に手を掛けた。

「旦那さま」
 声を掛けると、鮮やかな金髪が飛び上がるようにして、グラハムは身を起した。
「おはようございます」
「……おはよう」
 彼は、白いシャツとズボンだけの格好で煙突に寄りかかるようにして屋根に座っていた。真っ白だったシャツは灰色と黒で擦れたように汚れていた。雨風にさらされた屋根になんてよじ登るからだ。そのシャツは、昨日刹那がアイロンを掛けたシャツだ。ネフェルは頭が良く細かいことに気がつく優秀なメイドだが、アイロンがけだけは苦手で、余計な皺を作る始末で、グラハムの洋服だけはいつも刹那が掛けることにしている。が、それは屋根瓦に寝そべって埃だらけになるために、せっせとアイロンがけしたのではない。なんだかふつふつと怒りが湧いてくる。声を掛けた後も、グラハムは何をするでもなく、空を見上げたままだ。横顔が埃で汚れているのも、なんだか気に入らない。彼は、この家の当主で、王宮へ行けば、誰もが一目置く大貴族なのだ。それが、まるで休憩中の労働者のような格好で刹那の前にいる。実に無防備だ。刹那にもし殺意があったら、ちょっと押してやるだけでいい。勾配の急な屋根から真っ逆さまに地面に叩きつけられるだろう。地面は芝生だが、この高さだ、助かりはしない。そしてもしそうなったとしても、見ている者は彼らの他にいないのだ。誰も知らない。刹那がココにいることさえも。
 その可能性を思うとき、刹那は自分の中にある抑えようもない憎悪を自覚する。そう、彼は憎んでいた。世界と、それを支配する一部の特権階級の人間を。今はまだその時ではないが、“時”が来れば、刹那は彼らに戦いを挑む。そのための武器は既にできている。後はただ、時が来るのを待つだけだ。
 刹那は這うようにして近付いた。するとグラハムは僅かに身を起しコチラを窺う。青い空の下、グラハムの金髪が朝日を反射してまぶしい。本当の黄金のようだ。刹那は眼を細めて、仰ぎ見るようにして主人を見た。
「朝食と朝刊をお持ちいたしました」
 グラハムは眉を顰めた。
「……ココには私と、君しかいない」
 予想外に強い調子で話しかけられ、刹那は戸惑う。
「そうですね。朝っぱらから用もなく屋根に登ろうなんていう酔狂な人間はあなたくらいのものでしょう」
 グラハムの言葉の意味が良く分からなかったが、それよりも、テラスに置いてきた朝食の方が気に掛かる。ここへ来るまでに随分時間がたってしまったから、コーヒーが冷めてしまう。一度戻って淹れなおしてこようか……そんな算段をしていると、急にグラハムの大きな声が青空に響き渡った。
「ココには私と君しかいないといった!」
 だからどうしたというのだろう。明らかに苛立ちを含んだ主人の口調に、いささか刹那が戸惑っているのを察したグラハムがきつく睨みつけてくる。
「約束したではないか」
「……“約束”ですか」
 グラハムの緑の瞳が光を増した。怒りを帯びたグリーンの瞳は一段と綺麗だと、刹那は思った。
「グラハム」
 彼の名が自然と口から零れおちる。すると彼の瞳が驚きで見開かれた後、満足げに微笑んだ。
「それでいい。堅苦しい敬称や敬語はやめてくれ、といったはずだ」
 君は、私のことを主君だなどと欠片も思っていないのだろう?そう挑発してくるグラハムを今度は刹那の方が目を眇めて睨みつけた。
 まったく、これだからこの男から目が離せないのだ。時々ぞっとするほど鋭く、真実を見抜く。油断していると、こっちの正体を見抜かれてしまいそうだ。その鋭さは時に疎ましくもあるが、だからこそ肝心なこと以外は嘘をつかずにいられるのかもしれない。
「後悔しているのか?」
 朝から胸に渦巻いた不安が溢れだした。
「何のことだ?」
 グラハムは心底不思議そうだ。どうやら自覚はないらしい。
「……あんたがココに来る時は、大抵何か嫌なことがあった時だ」
「そうなのか?!」
 知らなかった、とグラハムが目を見張る。それを見て少しばかり溜飲を下げた刹那は、頷く代わりに小さく笑みを浮かべた。
「君は私より、私のことを知っているな」
 が次にグラハムの口から飛び出した思いがけない言葉に、今度は刹那が返す言葉を失くす。
 グラハムがまるで今日の空そのものの明るく隠すことのない笑顔で笑う。
 その笑顔に刹那は胸を突かれた。不意に熱い思いが込み上げてくる。グラハムを見つめると、彼も僅かに頬を上気させ、緑色の大な瞳を見開いて刹那を見ている。そこには刹那と同じ感情があった。自然と二人の距離が近づいた。刹那は滑らかなグラハムの頬へ手を当てる。そしてそっとその手に力を込めた。引き寄せるのと、近付くのとはほぼ同時だった。中心になった唇がそっと触れて、そこで初めて刹那は眼を閉じた。目を閉じると、美しい彼の瞳の代わりに、もっと単純な感覚、握り締めた手の温もりや、触れ合った唇の柔らかさと漏れ出す息の熱さ、そんな至極単純で即物的な感覚に囚われる。理性がマヒしたみたいだ。でもそれは震える程に、心地よいものだ。
「こんなところで、誰かにみられたら大変だ」
「誰も観てない」
 たとえ見られていたとしても、何も恥じることはない、そう刹那は思った。――徹底的にからかわれるか、ぼこぼこに殴られはするだろうが。そう言葉にする代わりに、もう一度口づけた。今度は触れるだけではなく、唇を開いてその奥で舌を絡める濃厚な口づけに変わった。

「後悔はしていない。後悔などするものか」
 グラハムが言った。
「ずっと望んでいたのだから」


 グラハムにこれだけは聞いておかなくてはと意を決して喋り出す。
「屋根になんか登って……大丈夫か」
「平気だとも」
 ……身の回りのことっとなるとまったく気の利かないグラハムのことだ、ちゃんと自分の身体の始末をしたのだろうか。昨夜、後始末をする間もなく気絶するみたいに眠りに落ちてしまった。そのあとどうしたのだろうか、とても気になる。それなのに、朝起きたら、隣にグラハムは眠っていなくて、一人分の空白を抱いたベッドに、心配がふつふつと湧いてきた……風呂に入らなくていいのだろうか……昨夜は碌な準備もできなくて、しかも夢中になったあげく、中に出してしまった……初めてなのに、いやだからこそといおうか。我慢できなかったのだ。しかしそれをどうしたのかなんて、直接聞くのも憚られるし、かといって放置しておくこともできない。
「……その……身体の方はいいのか?昨日は、その、俺の注意が足りなくて負担を掛けてしまった……その、そのままじゃ身体に悪い……」
 そこまでいって漸く分かったらしい。急にグラハムは黙り込んだ。顔を窺うと、耳まで真っ赤になっている。それを見ると思わず刹那まで顔が熱くなる。
 小さな声で、グラハムが大丈夫だといった。
「既に洗った」
「どうやって?」
「それを君が聞くか?!」
「……一人じゃ風呂の湯を沸かすことなんてできないだろう」
「そんなのは水で十分だ」
 はーと長い溜息をついて、刹那は呆れた。いくら初夏とはいえ、井戸水は冷たい。しかも早朝だ。たった一人でふらふら出て言って外で洗ったなんて……まったくこの男は何もわかっていない。
 スラムにいた時は水で身体を洗えるだけでありがたかったんだ、とか、早起きしたから誰にも見られていないはず、とか的外れな言い訳を零すグラハムの口を、キスで唇を塞いで遮ったやった。

「次は俺が湯を用意するから……一人で起きたりするな」

 これだから目が離せないんだ――
 たとえば、俺があんたに恋をしたから、降りかかるどんな困難でも受けとめる覚悟はあるから。
 小言の一つも言わせてくれ……そう思っていた決心はキスの甘さに溶けてしまって、後には冷めたコーヒーとトーストだけが残された。

+ end +



2011.1.3


追加あとがき

前と違うのは登場人物のところだけでございます。
オバフラの二人は最初仕事の同僚ということにしていたのですが、劇場版を観てしまったら、どーしても新キャラのネフェルたんにメイド服を着せたい!似合うだろこの娘……という妄想がフルブラスト……で、いっそ皆まとめて屋敷に入れちまえよ、というふうに割り切りまして、オリキャラだった所を彼らに置き換えて、書きなおしました。
分かりにくいことをして申し訳ありません。
前の奴をお読みの方はするっと忘れていただけるとありがたいです (^ ^ゞ



初出:2010.6.30

元あとがき

すいませんでしたっっっ。orz

きっと既に誰かが書いているだろうなぁ、とは思いつつ……
なんともだらだら・ぐずぐずなパラレルでした。
ほんと、スイマセン(土下座して謝ります、が後悔はしていない)
以下にて小説には出てこなかった設定などを(設定考えるのは好き過ぎて話しが書けないv)

刹那がエーカー家の執事になった訳→生き倒れていたところをハムに拾われた→成り行きで執事に。
しかし!刹っさまは実は、格差社会是正を目指す秘密結社「ソレスタルビーング」の一員。
彼らは行動を起こす“その日”まで目立たぬように潜伏中。
しかし、グラハムと接するうちに、倒すべき貴族階級に属するハムに惹かれていく……(まぁ、ベタな)
そこらへんで、悶々とすればいいと思います。

で悶々としたあげく、なんとなくくっついちまったのが上のSSのあたり。

以下は更にどうでもいい、エーカー家とその周辺の設定



エーカー家は大貴族。
ハムの義理の母(大奥様)=カティ(年齢のことは気にしない)。女傑。本宅の主。
カティさんは政略結婚で幼くしてエーカー家に(年の差20以上とか)
しかし、そのころ旦那はメイドを孕ませていた!
新妻を思いやってメイドはひっそりと姿を隠す……(メイドはカティが最も信頼している存在だったのです)
で、20年後、カティとの間に子供を設けることなく当主が死亡→跡目争い勃発
そこで、死んだ当主と親しかったホーマーがメイドが生んだ男児を探す。それがハム。
ホーマーはスラム育ちのハムに、行儀作法からエーカー家の当主として教育を施す。
ハムはカティを母上と呼ぶ。
コーラサワーは、カティの年下の恋人。結婚生活はダメだったけれどコーラさんとはらぶらぶ。
不幸を乗り越え、カティさんは持ち前の知性と度胸で、王女の教育係とかやっており、国王の信頼も厚い。
王室の中で最も政治力のある女性にまでなり上がっている。

……なんという、昼メロチックな設定を延々と夢想しております。
馬鹿だよね!
というか、刹グラになる前が長すぎるよね!!
しかも執事のこととか、そういうことはほとんど知らず、ほぼ勢いだけで乗り切りました。
なんて適当な。


本当、スミマセン……ココまでお読みいただいてありがとうございました。