焼 岳 やけだけ(2455m)No.58

登 山 日 2005.08.29
コ ー ス 【新中ノ湯登山口〜上高地バスターミナル】
中ノ湯登山口5:50〜中ノ湯新道出会7:00〜鞍部〜北峰(2444m)8:10/9:00〜展望台〜焼岳小屋10:10/10:50〜田代橋12:40〜河童橋〜バスターミナル13:35(タクシー相乗りで登山口へ戻る14:20
所要時間 8時間20分
天   候 晴れ
メンバー 単独(山頂より同行:石川県のお姉さん?3名と神奈川のおとうさん)

 今回の月曜登山は、焼岳へと向かった・・・。「ぎりぎりマンデーズ」(マンデー山の会を改称)のメンバーから、五竜岳〜爺ヶ岳縦走の誘いもあったが、断って単独での山行きである。信越道の松本ICから国道158号線で、登山口に予定する中ノ湯温泉を目指したが、勢い余って安房トンネルに入ってしまった。通行車が少ないのを良いことにトンネルの中でUターンして、トンネルの手前から右に安房峠へと九十九折れの道を上がって行くと、中ノ湯温泉の少し上に登山者用の駐車場があった。カーブに付けられたナンバーで、10番の先左側である。中ノ湯温泉は、安房トンネルの工事で移転して立派な建物に変っていたが、前の場所と建物が懐かしい思いがした。


新中ノ湯登山口

登山口駐車場からの穂高の朝焼け

登山道

 携帯電話のアラームを5時にセットしていたが、隣の車のドアを開閉する音で、予定より早く目が覚めた。石川県から来たという女性の3人連れで、「よかったら上高地へ下りて、一緒にタクシーで戻らないか」と言い残して、先に出発して行った。朝食を作っていると、中ノ湯に前泊した団体ツアー者や車で到着した登山者が、次々に道路を挟んだ登山口へと消えて行く。準備が整い、神奈川県から来たという男性と一緒に、登り始めたのは5時50分であった。彼も、考えることは同じだったようで「上高地から、タクシーで戻ろう」と言うので、「山頂で決めましょう」と伝えて先に進んだ。


分岐手前から山頂方面

下堀沢上部から山頂(北峰)

登山禁止の南峰

 登山道は、展望のない樹林の中を行き、次第に傾斜はきつくなってジグザグの急登になる。途中、団体ツアー御一行様をパスして、石川県のお姉さまたちに「山頂で待っててよ!」と声を掛けられて進んで、傾斜が緩くなって樹高が低くなると焼岳の噴煙が見えてきた。釜トンネル中ノ湯からの旧道が合流する新中ノ湯分岐(中ノ湯新道出会)を通過すると、この先は下堀沢右岸のササの中を登って行く。登山道は、ゴロゴロとした岩が目立つようになって、最後の急斜面をジグザグに登ると南峰と北峰の鞍部(火口壁)である。南峰は崩壊の危険から登山禁止なので、直進して直径約300mの火口の縁まで行くと、眼下には緑色の火口湖があった。

 北峰へ向かう途中、硫黄で黄色くなった噴煙口からはシューシューと音をたて煙があがり、活火山であることを実感させられた。溶岩ドームの頂上からは、槍や穂高の峰々・笠ヶ岳・乗鞍岳などが望めて、素晴らしい展望である。岩の上から下を覗き込むと、下からお姉さんたちが手を振るが、まだ時間が掛かりそうである。アマチュア無線を楽しむ人や夫婦連れの人と話しながら、ゆっくりとした時が流れてゆく。神奈川のおとうさんと石川のお姉さんたちが登ってきて、山頂はしばし賑やかになるが、団体ツアーと入れ代わりに下山をはじめた。


エメラルド色の火口湖

北峰直下の噴煙口

山頂(後方に槍が・・・)

 上高地側へは、溶岩ドームの山頂からコル(鞍部)に下りて、北側のザレの急斜面を行く。正面に穂高の峰々・手前に西穂山荘、そして新穂高ロープウェイの西穂高口も見える。景色に見惚れて足元が疎かにならないように下るが、先を歩くお姉さんたちの賑やかであること・・・何処のお姉さんも同じだと思う。鞍部の旧中尾峠から少し登った展望台で振り返ると、そこには凛々しく聳える焼岳の姿があった。新中尾峠から少し下った焼岳小屋で、急造パーティー5名は40分間の休憩をとり、単独の登山とでは違うマッタリとした時間が過ぎた。


山頂から穂高の峰々

展望台から焼岳を振り返る

焼岳小屋にて

 小屋を後にしてジグザグに斜面を下り、ササ原を過ぎると垂直に立てられたアルミ製のハシゴが現れる。感覚的には、3階の窓からハシゴで下りるような感じで、この時ばかりはお姉さまたちも静かで真剣だった。右下に火砕流で掘られた峠沢、左には山肌が迫る斜面をトラバースするように進んで、少し下るとカラマツやダケカンバの樹林となった。途中の沢で顔を洗い小休止して、程なく焼岳登山口の標識のある、梓川沿いの林道に出た。田代橋からウェンストン碑を見学して、河童橋へは13時25分に到着するが、そこは大勢の観光客であふれていた。


ゴゼンタチバナの実

垂直のハシゴを降りる

河童橋から焼岳

 河童橋からの焼岳は、絵になっている・・・。約20年前、小さな我が子たちと来た時にも、焼岳は美しい上高地の頭上にあって、煙を噴きあげる姿に圧倒された。そして、当時は硫黄岳と周りの人が呼んでいたのを思い出していた。バスターミナルでみんなでアイスクリームを食べて、タクシーでスタート地点の中ノ湯登山口へ戻ったのは14時20分。タバコ事件?などもあったが、見知らぬもの同士5人が行動を共にして、楽しい山行きであった。駐車場でそれぞれに別れ、中ノ湯の露天風呂で汗を流してから家路へと着いた。