早池峰 はやちね(1914m)No.14

登 山 日 2005.08.21
コ ー ス 河原坊登山口(1050m)7:00〜頭垢離(1440m)〜打石9:00〜千丈ガ岩9:12〜早池峰山頂(1917m)9:48/10:15〜天狗ノ滑り岩10:40〜五合目御金蔵(1600m)11:20昼食〜小田越登山口(1240m)13:05〜舗装路〜河原坊登山口13:40
所要時間 6時間30分
天   候 晴れ
メンバー Chieのおかあ


小田越から河原坊への道から望む早池峰

 北上市の親戚宅を6時前に出発して、河原坊キャンプ場上の駐車場に到着すると、時を同じくして何台もの車が入ってきた。ベテラン山ヤふうの人・小中学生の家族連れ・若い?女性たち等々、朝の挨拶を交して登山準備をしながら耳に聴こえたのは、彼らは何かのボランティアの集まりのようだった。駐車場上の河原坊登山口から、Chieのおかあと2人で登り始めたのは、7時ジャスト。登山道は、ダケカンバと針葉樹の混じる樹林の中をコメガモリ沢に沿って行き、最初は緩やかな傾斜であるが森林限界が近づくにつれて針葉樹が多くなり急登となった。


駐車場のボランティアたち

河原坊登山口

コメリガモリ沢の上部

 コメリガモリ沢の上部はゴツゴツとした岩の涸沢で、夏の強い日差しを避けながら、登山道最後の木陰に入って休憩をとった。この辺は頭垢離(こうべこおり)という場所で、登山道はここで沢を離れて、山頂から延びる小尾根上の道になる。休憩中に、駐車場で挨拶をしたボランティアの男性2人が登ってきて、話をすると「今日は、山頂にある避難小屋トイレの糞尿下ろしの日」とのことだった。高山植物などの植生保護活動が活発であるとは聞いていたが、実際に行動する人を目の当たりにして只々頭の下がる思いだった。


頭垢離から岩の登山道へ

ナンブトラノオ

打石

 私たちは先に腰をあげて、ハイマツ帯の岩場を登りはじめた。高山植物の写真を撮りながら行くと、「御座走り」と標柱にある岩場を通過、その先の「打石」(ぶつえす)という岩峰に差掛かると、男性たちも追いついてきた。早池峰といえば、エーデルワイスに似たハヤチネウスユキソウが有名なので尋ねてみると、「花期は7月なので時期は過ぎているが、まだ残っている・・・」とのことで、千丈ヶ岩周辺の岩場を登りながら一緒に探してくれた。早池峰山を構成する蛇紋岩やカンラン岩は濡れると滑りやすくなり、その超塩基性の岩質が固有の植生を育むのだそうだ。

 早池峰の植物を楽しむのであれば、登山者の少ない岳から鶏頭山・中岳・山頂への尾根コースが、あまり植生も荒れていないのでお薦めだという。クサリを乗り越えてしばらくすると、早池峰神社奥宮のある山頂だった。Chieのおかあは汗だくで、地元登山家と楽しい話をしながらの山登りは、少々ペースが早かったようだ。山頂は思いのほか広くて、北側の岩場などを探検してから、ボランティアの人と休憩をとった。「最初は抵抗があったが、慣れればなんでもないさ」と明るく語るときにも、次々にボランティアが登ってきた。


千丈ヶ岩

ハヤチネウスユキソウ(右の2つ)

早池峰山頂

 去年は、小田越まで来たが時間がなく断念して、2年越しの早池峰であることを話すと、「今度は、7月に会いましょう」と、先に山頂を後にする私たちを送ってくれた。山頂の東端に避難小屋があり、そのトイレの前にはポリタンクとポリバケツが用意されていて、なんともリアルな光景を目撃することになる。トイレは3つあって、右側2つが携帯用のトイレで、もちろん携帯電話用ではなく、携帯トイレを使用するための個室である。付近のボランティアにも「お疲れさまです」と挨拶して、御田植場方面へ下りて行くと背負子のボランティアとまたすれ違い、この人たちの努力があって美しい早池峰があるのだと感謝して背中を見送った。


山頂避難小屋とトイレ

天狗ノ滑り岩

小田越を挟んで望む薬師岳

 山頂東側にある御田植場の小湿原(高山植物が多く見られた)の木道を行き、右方向へ少し下ると難所といわれる天狗ノ滑り岩で、正面には三角形の薬師岳が腰を据えているが、足元は蛇紋岩の急斜面に取り付けられた鉄製のハシゴである。ジャングルジムか滑り台の階段を逆に降りるように、童心に帰かえって下ってしまったが、濡れていたなら少々怖い感じがする。ハイマツ帯に岩が点在する中を下って行くと、小田越口からのツアー登山者が大勢登ってきたので、遣り過ごして五合目の御金蔵で昼食にした。


竜ヶ馬場から御金蔵方面

小田越登山道入口

河原坊への舗装路

 五合目からしばらくは岩がゴロゴロとした急斜面を下るが、御門口(一合目)付近からはオオシラビソやダケカンバが混在する樹林の中を行く。樹林に入ってから25分で小田越登山口に到着するが、周辺には何台かの車が駐車されていた。ここから、舗装された車道を緩やかに下って、さらに30分で登山を開始した河原坊である。敬遠されがちな車道歩きだが、右側に早池峰の姿を望みながらの高原散策といった感じであり、また途中にある宮沢賢治の詩碑を見学するなど、今日の登山を振り返りながら駐車場へと戻った。