十 勝 岳 とかちだけ(2007m)No.07

登 山 日 2005.09.28
コ ー ス 望岳台(930m)5:45〜美瑛岳分岐(1258m)6:35〜十勝岳避難小屋(1320m)6:45〜昭和火口上標識(1720m)7:48〜前十勝岳(大正噴火口)からの尾根8:30〜十勝岳山頂(2077m)8:40 望岳台に下山11:35 《往復》
所要時間 5時間50分
天   候 晴れ
メンバー Chieのおかあ


国道237号線から望む十勝連峰と十勝岳の噴煙(9/27朝)

 4時30分、富良野プリンスホテルをチェックアウト。もう今日は、旭岳・十勝岳2泊3日の旅の最終日である。レンタカーで、国道237号線を上富良野で右折して、白金温泉を目指す。途中、'03・'04年の冬に宮様国際スキーマラソンで来たときに見た、街並みや丘の起伏を懐かしく思ったが、雪のない風景が不思議にも感じた。白金温泉から程なくして、登山口の望岳台である。そこには、大型バスも停められる無料駐車場と売店やトイレがあるが、早朝のためにヒッソリとして私たちが一番最初のお客さんだった。 


望岳台から山頂方面

旧スキー場上部(中央に非難小屋)

キタキツネ(非難小屋にて)

 望岳台から望む十勝岳は、裾野だけを見せて山頂は雲の中である。踏み固められた砂礫の登山道は、十勝岳からの溶岩と泥流で出来たという斜面で、広々としたスキー場の跡地を登るが、中途半端な傾斜が続いて歩き難くい。美瑛岳分岐の手前で単独の男性登山者が追い付いて来たが、彼は美瑛岳から十勝岳へ周ると言って、涸沢を挟んだ尾根へと登って行った。私たちは、分岐の直ぐ上にある、避難小屋で休憩。遠くの岩陰で何かが動いたと思ったら、あっ!という間にキタキツネが近づいてきて、私たちの周りを一周したかと思うと、下ろしたザックの匂いを嗅ぎ去って行った。


非難小屋上の登山道

昭和の火口上の標識

砂礫の登山道

 観光客から道路脇で食物をねだるキタキツネとは違い、十勝の厳しい環境がそうさせるのか、眼光鋭い凛々しい姿に見惚れてしまった。小屋の上からは傾斜が増して、ゴツゴツとした大きな岩を縫って登る。岩の大きさが段々小さくなり、ジグザグに砂礫の道を登り詰めると、昭和の火口上の標識がある1720m地点である。遠くで雷が鳴るような音に振り返ると、出発時よりも雲が切れて、富良野方面が見えてきた。雷のような音の正体は、富士山でも聞き覚えがある、演習で自衛隊が撃つ大砲であった。


大正の噴火口からあがる噴煙

硫黄で雪のよな斜面からの十勝岳

山頂への尾根

 左側にクレーターのような昭和の噴火口を見下ろして、草木一本もない荒涼とした道を行くと、地球でない何処かの星に降り立ったようでもある。右側に大正の噴火口からの噴煙を見て、急登を行くと火口と前十勝岳から続く尾根に出た。左折して山頂を目指して行くと、後ろから噴煙が流れてきて、その臭気が喉を突き咳き込んでしまう。亜硫酸ガスの煙は、気管が弱い人には要注意かもしれない。登山道に張られたロープに導かれて、最後の急斜面を登りきると山頂だった。風が強く、雲が絶え間なく流れて、視界が開けない。


十勝岳の山頂

後光を背負う観音様とも・・・ブロッケン現象

非難小屋そして望岳台へ向けて下山

 雲が切れるのを待ちながら、岩が折り重なる山頂を探索。ガスでボロボロになった山頂看板と案内板、一番高い岩の上には「光顔巍々」(こうげんぎぎ)と刻まれた石碑が建てられていた。短い雲の切れ間を狙って、凍えた手でカメラのシャッターを押していると、雲の中に虹の後光に包まれた自分の姿を発見。話には聞いていたが、ブロッケン現象の初体験である。光顔巍々とは、仏説無量寿経の中の言葉で、気高く輝くさまを言うそうだが、その時の私は光顔巍々とうい状態だった・・・はずがない!?


なぜか満開だった シラタマノキ

吹上温泉から前十勝岳

宮沢りえ いなかった・・・

 山頂を後にして、来た道を戻って行く。今度は、火口からの噴煙を正面に見て下山するので、嫌でも十勝岳が活火山であることを実感させられる。噴出した硫黄で雪のように白くなった道で、軽装でランニング登山する人と擦れ違い「山頂は?」と尋ねられたので、「その格好では、少し寒いかも・・・」と伝えて見送った。非難小屋まで来ると、これから山頂を目指す登山者が次々に登ってきて、午後は晴れそうなので少々羨ましかった。観光客で賑わう望岳台へは12時前に下山。吹上温泉の白銀荘で汗を流してから、宮沢りえが北の国からのロケで入った露天風呂を見学してから、新千歳空港19時発の飛行機に間に合うようにレンタカーを奔らせた。