ふわふわ











「……長曽我部」

「何だァー?」

「……触らせろ」

「あ゛?」

「貴様の頭に触らせろ」

「…………ぁー、おう」

耳まで赤く染めた三成が「触らせろ」とか言うもんだから、
うっかりあんなこんなを想像した自分が恥ずかしくなった

ぎこちなく触れた手が、ゆっくりと頭を撫でる

柔らかくゆるんだ目元が、うっすらと上がった口角が、
三成のこの上なく上機嫌な証拠だ

「……貴様の髪は気持ちがいいな」

「そうか?雨の日とかめんどくせぇぞ、これ
俺ァ、アンタのサラサラの髪の方が羨ましいぜ」

「…そうか、面倒なのか」

知らなかった、と言ってくしゃりと眉を下げて笑った顔が、
嬉しくて、少し気恥ずかしくて、つられて一緒に笑ってしまう

くしゃくしゃと頭を撫でる手が、心地よい

「なぁ、俺も触っていいか?」

「ああ」

「……ホント、サラサラだな」

大の男が二人で向かい合って髪を触り合っている
おかしな光景だよな、と思いながらも止める気はない

三成の髪に光が当たりキラキラと輝くのを見ていると、
ふいに三成の顔が近づいた

「……ッ!?」

「……嫌なら拒んでいい」

頭の上から嫌に冷静な声が聞こえ、
抱きしめられていることにやっと気付いた

こんなに間近に感じる三成の息遣いや体温に、
顔が赤くなっているであろうことがよく分かる

「いや、大丈夫だ……」

こんな顔見せられたもんじゃねぇと思い、
そのままぎゅうと三成を抱きしめ返す

「……ふわふわだな」

密かな笑い声を漏らしながら、三成が俺の頭に頬ずりする

いつもは自分から手を繋ぐこともしないくせに、
この不意打ちは卑怯だろと悪態を吐きたくなる

余裕ぶって押し倒してやりたいが、
こんな熱い顔のままじゃ恰好の一つもつきゃしねぇ

「……三成ィー」

「どうした?」

俺の頭に顔を埋めているのか、くぐもった声で三成が答える

「俺今すげぇ幸せなんだけど、どうしたらアンタに伝わる?」

「……奇遇だな、私もだ」

優しく優しく頭を撫でながら三成が笑うから、
三成の胸板に頭を押し付けて、より一層強く抱きしめてやる

三成もぎゅうと俺の頭を抱きかかえ、二人でクスクスと笑ってしまう

「好きだ、長曽我部」

「そんなんじゃ足りねぇよ
……愛してるぜ、三成」

もう恰好付けんのなんかどうでもいいと、
まだ熱っぽい顔のまま真っ直ぐに三成を見つめる

「…………私も、愛している」

はにかんだように笑った三成の顔も、
林檎みたいに真っ赤に染まっていたからそれでいいような気がした






オマケ


「そういや何で急に頭触らせろとか言ったんだ?」
「……もふもふ、しそうだったから」
「もふもふ………(可愛いなオイ)」
「………武田信玄の兜ももふもふしそうだ」
「……おぉ、そうか(やっべぇ頬染める三成可愛い!)」
「…また、今度触ってもいいか?」
「アンタの好きにすりゃいいさ」






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