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「おおー、やっぱり大きいね!」

「そりゃあ観覧車だしね」

「へへへ、早く乗ろうよ!」

「嬉しいのは分かったから、そんなに引っ張らないで」

「すいませーん、乗りまーす!」




「僕、観覧車に乗ったの初めてだ」

「そうなの?
高い所嫌いとか?」

「いや、そうじゃないんだけど…
楽しみ方がいまいちよく分からないんだよね」

「そんなの景色見てればいいんだって!」

「それが楽しいのかが分からないんだよ」

「まぁ、景色見るだけだもんね」

「あ、スカイアローブリッジだ
あれはヤグルマの森だね」

「上から見るとまた違って見えるなぁ」

「…そういう風に楽しめばいいのかな」

「あんまり深く考えない方がいいんだって
チェレンさんは真面目だからさー」

「性格なんだからしょうがないよ」

「まあそこがいいんだけどね!
あ、もうすぐてっぺんだよ!」

「もう半分回ったんだ、案外早いな」

「ね、少しだけ目閉じてよ」

「……キスしたら怒るよ」

「…………ちぇっ」

「はぁ、やっぱりそのつもりだったの?」

「あったりまえじゃん!
観覧車で他に何すればいいの!」

「景色を見ればいいんじゃない」

「…チェレンさんの馬鹿ぁー」

「真面目なだけだよ」

「もー、ずるいよ」

「これでも君より大人だからね」

「あーあ、大人になるって悲しいねー!」

「君はふくれっ面すると子供っぽく見えるね」

「ひどい!」




「んー!
結構あっという間だったね」

「そうだね
少しは楽しめたのかな」

「次はもっと楽しめるといいね!」

「また来るのかい?」

「いつかね!」

「……はぁ」

「ため息つくと幸せが逃げちゃうよ」

「…そうだね」

「じゃ、帰ろうか」

「もういいのかい?
楽しみにしてたんだろう?」

「チェレンさんと観覧車乗れたから、充分ですよ!」

「…そう、なんだ」

「何?変な顔して」

「いや、君って変わってるよね」

「あはは、そうかな」

「そうだよ」

「そっか」

「…帰ろうか」

「うん!」







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