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「チェレンさんの部屋すごい片付いてるね」
「…散らかってるのはあまり好きじゃないんだ」
「あははっ、チェレンさんらしい」
「…何か飲むかい?」
「いいの?」
「うん、お茶かコーヒーくらいしか出せないけど」
「じゃあお茶!」
「すこし待ってて」
「はい、お待たせ」
「ありがとう!」
「……それで、僕は何をしたらいいんだ?」
「え?
ああ、”契約”のこと?」
「それ以外、何かあるの?」
「…んー、じゃあ、チェレンさんの話聞きたい」
「…僕の?」
「うん、何が好きで何が嫌いか知りたい
二年前の旅の話とか、いろいろ!」
「…そんなことでいいの?」
「…とりあえず、チェレンさんのこと知りたいんだ
俺はチェレンさんが好きだよ
だから契約とか言ってるけど、
こんなやり方間違ってるって分かってるんだ
チェレンさんを傷付けてることも、分かってる」
「………じゃあっ、何で君は」
「こうでもしなきゃ、チェレンさんが俺を見ることなんてないじゃん!
ずーっとさぁ、優しい目でベルさんのこと見てるチェレンさんは、
俺のこと好きになるなんて有り得ないじゃんかっ!」
「………っ、そうだよ、その通りだ!」
「だったら、無理にでも見て欲しかった
好きになってもらえないなら、傷でもいいからチェレンさんに残りたい」
「……君は、間違ってる」
「そんなこと、知ってるよ」
「…僕はベルが好きだ」
「…知ってる」
「………確かに僕は君に恋愛感情は抱いてない
でも、ジムリーダーになって初めての挑戦者が君で良かったと思った」
「……そうなの?」
「…うん
僕はね、君と仲良くなれたらいいなって思ってた
……君を、嫌いになりたくなかった」
「…ごめんね、チェレンさん
もっと嫌っていいよ
心の底から憎んでいいよ」
「……そんな悲しいこと、言わないでくれよ」
「…ごめんなさい
でもさ、俺のことを一番に嫌ってくれたら、
好きって言ってもらえるのと同じくらい、俺は嬉しい
だって、チェレンさんが嫌いな奴で、一番に俺を思い出してくれるんだよ?
俺は、それがすごくすごく、嬉しいと思うんだ」
「………君はおかしいよ」
「あはは、そうだね」
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