これでお終い
遠ざかる意識の中で、笑い合う声を聞いた
霞む視界には振り向きもしない後姿が映った
「………っ」
もう二度と、笑みを見ることは出来ない
もう二度と、声を聞くことも出来ない
放たれた言葉の通り、
きっと我のことなど忘れ去るのだろう
仲間と笑い合う日々に戻っていくのだ
友と信じあう未来に向かっていくのだ
正しいのは我と信じていた
だがもしもあの日、他の選択を排除し、
貴様を選んでいたらこの結末は違ったものになったのだろうか?
すれ違いだした未来を許し合えないのに、
何故我等は、一時の逢瀬を重ねたのだろうか?
今、固い床に横たわり見えるのは、
主を失い殺伐とした無人の城のみだ
愛しいと想ったのだ
出会えたことに、手を取られたことに、
一人心の中で感謝した日を貴様は知らない
長曽我部、
我の命を刈り取る時は、
その瞳を開き、朽ち行く瞬間まで見取って欲しかった
せめてそれだけでも、伝えられたら…
震える手を伸ばそうとした青天の空の下、
徳川と歩みを共にする長曽我部の愛しい声を最後に意識は途切れた
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