淫蕩











「…猿飛」

「ん?」

本心など見えない顔で、猿飛が笑う
真田に向けられる親のような視線とは違う、獲物を狙う獣のようなそれ

熱に浮かされた男の顔

「凶王サマ、気持ちいいんだ?
ここ、ヒクヒクしてるよ」

固く閉ざされた穴をさらりと撫で、楽しそうに笑う
その瞳に、声に、羞恥を感じ顔に熱が集まるのが分かる

「…ふぁっ、さる、とびっ」

「…可愛い顔しちゃって、誘ってるの?
ほーんと、いやらしいなぁ凶王サマは」

ぐちゅぐちゅと先走りを漏らす雄を扱きながら妖しく笑う猿飛から目が離せない

発せられる声に、意地の悪い言葉に、高まっていく自分がいる

嫌だと言ったところで、嫌がっていないことなど見通されているのだ
ならば、この男の望むまま、感情を吐露してしまった方がいい

恥じらいから口を閉ざし、じらされ、辱しめられ、もどかしい思いをするのは自分なのだ

「…っ!猿飛っ」

しかし、羞恥も戸惑いも無くなることはなく、ただ名前を呼ぶことしか出来ないでいる
これでは駄目だ、猿飛の熱が貰えない、と分かっているのに、私の口は猿飛が欲しいと言えない

「…凶王サマ、どうして欲しいの?
言ってくれなきゃ俺様分かんないなぁ」

ゆるゆると雄を扱く手を止め、猿飛が首を傾げてこちらを見つめる

「ねぇ、どうして欲しいか教えてよ
じゃなきゃ、今日はこれでお終いだよ?」

「っ!」

その言葉に視界が涙でじわりと歪む
そんな私を見て猿飛は一層楽しそうに笑う

「…触って、くれ」

「んー、どこを?
あ、ここかな?」

「っ!!」

亀頭の先を爪で引っ掻き、指先に付いた汁を猿飛はこれ見よがしに舐め取った

「あれぇ、違った?
ごめんね、俺様はっきり言ってもらわないと分かんないからさー」

少しも悪びれず笑う猿飛に、唇を噛み締め睨み付ける

「…ねぇ、どこを触って欲しいわけ?」

「…っ」

試すような眼差し、茶化すような言動
楽しそうに笑う猿飛に、悪あがきのように口付けた

「…もう、限界だ
……お前がっ、欲しい」

「……よく出来しました」

ぺろりと自分の唇を舐め上げ、楽しそうに猿飛が笑う
熱を帯びた瞳が近付いて、
ああ、私は食べられるのだと自覚する

そうして今日もこの男の手によって、快楽に溺れる獣に成り下がるのだ






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