無意識破壊衝動
大切に大切に育てた美しい花
中々芽が出ずに、不安になったりした
葉を食おうとする虫を潰した
毎日毎日水をやり、明日は花が咲くだろうかと心待ちにした
大切に大切にしていたその花が、美しい花を咲かせた日幼い俺はその花を千切った
一枚一枚花弁をむしった
細い茎をへし折った
地面に落ちた花びらまでもぐしゃぐしゃに踏みにじった
本当に大切に育てていた花だった
どうしてそんなことをしたのか自分でも分からなかった
「小太郎」
大事に大事にしていた群青色の手拭い
里を出て、一人前と認められた誰かがくれた、暮れかけた空色
励まし、慰めてくれた深い深い青色
お守り代わりにいつもいつも懐に忍ばせていた柔らかな布
大事に大事にしていたその手拭いを、俺はある日突然燃やした
端からゆっくりと火を近づけた
静かに燃えていく火をじっと見つめた
灰になった手拭いが、風に飛ばされていくのを見送った
とても大事にしていた手拭いだった
どうしてこんなことをしたのか自分でも分からなかった
「私は、小太郎が好きだ」
卵から孵した闇色の鳥
毎日毎日温めて、一緒に眠った
ひび割れてこちらを見たつぶらな黒曜石の瞳
大きく羽ばたいた自由な翼
かけがえの無い相棒を、俺はこの手でくびり殺した
羽を毟り取り、暴れる体を押さえつけた
足を切り落とし、地面に叩き付けた
漆黒の羽が赤黒く染まり、息絶えて動かなくなる姿を眺めていた
かけがえの無い相棒だった
どうしてこんなことをしたのか自分でも分からなかった
『…俺も、三成様が好きです』
二人とも冷たい体温でも、触れ合った手のひらが温かく感じる
嬉しそうに綻んだ頬を嬉しいと思う
優しく弛んだ瞳を愛しいと思う
心から愛しいと想う
失くしたくない、最愛の人
『…好きです』
それでも、今までの大切なものたちと同じように、いつか失われてしまうんだろう
『…心から、愛しています』
三成様に触れた指先は震えていた
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