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◆ 夫婦単位で祀る墓 | ||||||||
![]() 図5-1 代々墓 |
歿後50年以上前の先祖を合祀し供養する先祖供養塔に対し、50年未満の先祖を夫婦単位で祀る三段角柱墓の単祀墓を「代々墓」と呼ぶ。 代々墓も陰陽の組み合わせで出来ている。 竿石は男性、上台石は女性を表し、夫婦和合・家庭円満・子孫繁栄の形を成す。 また、上台石は下台石とも陰陽で組み合わされ、因と縁の組み合わせは大いなる才能を如何なく発揮し、資産と経済力を堅く結びつける事によって幸福で安定した家庭が築かれる事を表している。 さらに下台石の底の部分は特別な形をしており、大地との融合、自然のパワーを安定して享受出来る様設計されている。 |
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◆ 相続の基本は親の墓は子が建てる | ||||||||
![]() 図5-2 本家の吉相墓 |
夫婦を揃えて祀る事は、子孫の繁栄と家庭の安定を強くする事に繋がり、先祖代々の順逆を正しくして祀る事と同様に重要な事と位置づけられている。 また、墓相学では生きている間に自分の墓を造る生前墓の建立は一切しておらず、親の墓は子が建てることを大原則としている。 これは子孫の相続する力を強くする為でもあり、親から子、子から孫へと繋がる家系継続の法則である。 |
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◆ 竿石へは夫婦の戒名を刻む | ||||||||
![]() 図5-3 竿石正面 |
代々墓の竿石には、夫婦を一組としてその戒名を刻み祀る。 男性の戒名は向かって右側に刻み、女性の戒名は左側に刻む。 何故男性が右に、女性が左に配されるのであろうか。そのヒントは結婚式の写真にある。この世、つまり現世では男性が女性の右側に立って写っている。こちらから見ると向かって男性は左、女性が右となっている。 結婚式の写真に配されるそれぞれの位置は、墓石とは逆になっている。つまり、生きている時の形・相と、亡くなってからの形・相とは異なるという事である。戒名もまた同様の事が言える。生きている時は俗名で顕され、亡くなってからは戒名で顕される。戒名・法号・諡名いずれも同じである。 |
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◆ あの世のルールを守ろう | ||||||||
よく、親からもらった立派な名前があるから戒名はいらない。死んでからもその立派な名前のままでよいと言う人がいるが、この考えは、あの世とこの世を区別しない考え、鏡の向こうは虚像だから実在しないと考える事と同じである。 それは鏡のこちら側を主体として見るからであって、鏡の向こう側から見ると我々自身が存在しないという事に繋がる。ところが、鏡のこちら側もあちら側も存在・実在しているのである。ただ、見え方が異なっているだけである。見え方、つまりルールが違うという事でもある。 こちら側のルールをあちら側に押し付けてはならない。それぞれに尊重しなければならないのであって、それが「調和」であり「和」であろうと考える。まして、この世のルールである俗名を、そのままあの世へ持って行く事は、あの世のルール、調和・和を乱すことになる。これでは先祖は幸福にはなれない。親からもらった大切な立派な名前だからこそ、あの世へ旅立つ時にはお返しするのが、旅立つ者のとるべき態度ではないだろうか。 |
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◆ 竿石へは宗派の象徴を刻む | ||||||||
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図5-4 各宗派の象徴 | ||||||||
古くは竿石の頭部に家紋を刻んでいた時代があったが、死後の世界のものに現世のものを刻むことは良くないということで、近年では家紋を刻むことはなくなり、宗旨の象徴を刻むようになった。 禅宗では一切空を象った輪であり、円寂の円でもある○を刻む。 真言宗では大日如来を象す種子「ア」字を刻む。 浄土宗・浄土真宗・時宗・天台宗寺門派では阿弥陀如来を象す種子「キリーク」を刻むが、天台宗山門派では「ア」字を刻む。 日蓮宗は「妙法」 日本神道では「鳥居」 キリスト教では「十字」をそれぞれ竿石の頭部に刻む。 |
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◆ 宗旨・宗派による墓の形 | ||||||||
また、下の写真のように頭部の形もそれぞれ異なる。 禅宗・真言宗・天台宗・日蓮宗では「日延」型を、浄土宗・浄土真宗・天台宗寺門派では「陣笠」型を用いる。 |
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◆ 文字の色 | ||||||||
墓石には梵字や戒名、没年・建之者名などが刻まれており、それぞれに色を入れてある。何色を入れるのかは指導者によって異なるようだが、基本的には濃紺色のエナメルを入れるのが良いとされている。 キャ・カ・ラ・バ・アや空風火水地、妙法蓮華経、南無阿弥陀仏・○・妙法などの仏文字に金箔を入れる方もいるが、これは人間と仏を区別する為とか、仏像は金色をしている為だとか言われている。当研究所では、会社墓・会社供養塔などには純金箔を貼り、一般家庭の墓には濃紺色のエナメルを塗る事を勧めている。 何故ならば、寺のご本尊は金色であっても、一般家庭の仏壇にお迎えするのは木造のご本尊が最も良いからである。金ピカのご本尊や仏像は寺にこそあるべき姿なのであって、寺と一般家庭とは区別しなければならないと考える。 濃紺色は人間の静脈、つまり血液を顕わしている。 建之者の名の部分には朱色のエナメルを入れる。 これは、墓地の土は赤土を使用するのと同じ理由による。古来より朱色は悪霊や災いが及ぶのを防ぐ役目があった。古代の遺跡を発掘すると、死者が埋葬されていた場所は赤土が入れられていたり、石棺の底には朱色の布などが敷かれている場合がある。 墓石について言えば、穢れのない墓塔に俗世界の穢れを持った人間の名を刻む事は、誠に不遜の至りであるという考えと、亡くなった人と生きている人を区別する為でもある。 逆修戒名に朱色を入れるのも同じ理由である。 エナメルは二年か三年もすると剥がれてくる。手入れが悪いと、文字の中に蜘蛛の巣が出来ている場合もある。文字の色が薄くなったり苔などで汚れているような墓は、誰の目にも活力が無いように映る。墓は見た目が大切である。穢いと思う気持ちは、マイナスの気を先祖に送ってしまう。そして、それはそのまま家族に注がれるのである。 墓所・墓石はいつも綺麗な状態でなければならない。そのためには、草も早めに抜き、土が減ったり苔が生えた場合は入替も必要である。墓をタオルで拭くときは、どこにも傷が無いか注意しながら、そして優しく拭くこと。百万遍のお経より、家族の墓参りのほうが余程供養になる。それを子孫に伝えることが親の役目であり、情操教育というものであろう。しかも子供にとっては非常に大きな財産となる。 |
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