風水と墓相學
 昨今のブームの中に「風水」というのがある。占いの一部として見られているのか、特に若者の間で人気が高いように思われる。ところが意外にも「風水」は「墓相学」から発展したということを知っている人は少ないだろう。墓相は中国道教を母胎とし、老子に代表される道家思想がその根底にある。道家思想の基本は陰陽であり、墓相の基本もまた陰陽にある。自然を尊重し、先祖祭祀を重要視する思想は春秋戦国時代に登場する孔子によって大成された。 この頃先祖の墓、住居をどのような場所に造るのが良いかという墓相学が興り、そこから発展したのが風水である。魏、呉、蜀三国時代には戦法にも取り入れられ、風水はますます盛んになった。道教・陰陽道などが盛んになる時期でもある。
 
 風水というのは気の流れを診て、それを活用する術である。人間に例えると、人の身体には径脈という気の流れがあり、その上に経穴と呼ばれるツボがある。このツボは使い方によっては急所となり、武術では攻撃のポイントとなる。使い方によって良くも成り、悪くも成るのが経穴だ。
 
 自然界にもこのような気の流れがあるとされる。大地を流れる気を龍脈と呼び、身体の経穴に相当するものを龍穴と呼ぶ。龍脈は山脈の尾根伝いに流れ、最も高い頂を出発点とし、これを太祖山と呼ぶ。龍脈は幾つもの流れに分かれ、曲がりくねってやがて大地の気のエネルギーが集中する龍穴へと辿り着く。その直前にある山を父母山と呼び、玄武という神獣に例える。龍穴は大地のエネルギーが集約されているとはいえ、不安定でそのままでは風によって散らされてしまう。そこで両側から囲って護らねばならない。つまり父母山に辿り着いた本流の他に、さらに両脇に延びる支流が必要となる。流れに沿って左側の小高い山を青龍砂、右側を白虎砂と呼ぶ。砂というのは環境・状態という意味である。 
 
 龍穴のエネルギーが青龍砂、白虎砂に護られながら放出されるには、正面が開けてなくてはならない。また、せっかくの「気」を蓄えるためには池・湖・川のような水も必要となる。 水には遮るという性質がある。この場合気を遮るのではなく、遮る事によって蓄えるわけである。神社や寺院の周りに水路を施しているのは、邪気を遮る事、つまり結界を張っているわけで、縁者同士の墓所にあって仮の水の流れを造り、結界を張るのも同じ理由である。
 
 さて、正面にも小さな丘・山があれば更に良く、龍穴に近くて低い山を案山、少し遠くてやや小高い山を朝山と呼び、これを朱雀という神獣に例える。北に玄武、東に青龍、西に白虎、南に朱雀の四神獣が揃う場所を四神相応の地といい、風水では最高の地とされている。 中国明王朝の陵墓である明の十三陵は、風水によって選定された地域に設けられている。徳川家康の陵墓がある日光東照宮も龍穴の上にあると言われ、京都(平安京)も四神相応の地としての条件を満たしている事はよく知られている。京は北に船岡山、東に鴨川、西に山陽・山陰道、南は巨椋池があった場所である。さらに日本一の高山、富士山を起点とする龍脈は東に延び、東京にその龍穴を求めている。沖縄では「首里城」が挙げられる。そして、世界の三大都市「香港」は風水師が最後に辿り着いた中国最高の四神相応の地として名高い。その繁栄と幾多の変遷は歴史の示す通りである。
 
 ところで、風水と言っても幾つかに分ける事が出来る。大自然・大地形を視る地理風水、生きている我々の住まいを視る陽宅風水(家相)、そして死者の霊が眠る墓を視る陰宅風水(墓相)である。地理風水は都市を創る場合に用いられる。陽宅風水は直接我々の生活に関わってくる事から関心も高く、住居を構えるにあたって注意しなければならない要素を数多く含んでいる。
 
 一般的に住居は平地、市街地に建てることが多い。ここで大切な事は水の流れである。大地を流れる気を龍脈と呼んだが、山脈を流れる気を山龍と言い、水=川の流れを水龍と呼ぶ。つまり平地における龍脈である。水龍は財産に関するものであり、上手に取り込むと金銭的・経済的に豊かになると言われている。水龍も山龍と同じく、真っ直ぐなものよりも曲がりくねったものの方が良く、特に水龍は包み込むように流れているのが良い。これを有情といい、逆に反り返るような流れは悪く、これを無情と呼ぶ。
 
 水龍は曲がりくねったものが良いとはいえ、流れが急であったり、淀んでいたり、濁っているものは良くない。緩やかに淀みなく流れるものが最良とされる。また道路も水龍とみなす。道路がどの方向から来て、どの方向に去るのかが重要である。 次に砂=環境というのは、住宅の周囲の環境のことを言う。つまり、建物や丘、空き地などである。最近の建物には様々な形のものがある。先が尖ったもの、或いは建物の角が住宅の方向、玄関の方向に向いている場合は良くない。マンションなどの大きな建物になればなるほど悪い影響を与える。また、建物によっては鏡を貼り付けている場合もある。これも光物といって良くない。肝心なのは、そういった物が見えるという環境にある、ということである。見えなくすれば問題はない。道路の突き当たりにあって、道がそこで終っている所なども良くない。
 
『水の流れ』は、墓相でも特に大切なことである。墓相では水の流れ=血の流れ、つまり家系の流れをいう。流れが途絶えることを絶家と呼び、流れの中に淀みがあることを因縁と呼ぶ。この因縁をとり除くことが家系の流れ、血の流れを良くすることに繋がり、子孫の継続、繁栄へと繋がる。ただ単に墓を建てれば良いわけではない。
 
 風水では死者を龍穴に埋葬することにより、その好作用が子孫に及ぶとされる。先祖がより良い龍穴に埋葬されることによって、子孫には良い運命を授かった子供が生まれ、一族の繁栄、子孫の繁栄がもたらされるという考えである。そのため、中国では死者が出ると有能な風水師を雇い、全財産をはたいてでも墓所となる龍穴を探させた。何年、何十年と費やされる事もあり、風水師の中には「これで一生安泰だ」等と平気で言う者もいたようだ。しかし良い龍穴に埋葬したからといって、必ずしも良くなるとは限らない。良い龍穴を求める事は出発点にすぎない。肝心なのは祭祀の方法である。それを教えてくれるのが「陰宅風水」、つまり墓相学である。
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