未だ私たちが言葉を持たなかった頃、感動のあまり胸を割っていでた声が、捉えた世界をたった一音にしてしまったことから、音が世界を内包し、抑えきれぬ感動を響き返す心の化身であることを知った。この感動の一音こそ、発声した瞬間の心そのもの、言葉はその感動と感動の連続体、心の絆なのではないのか。
言葉本来の心の絆を取り戻すために、感動の音を求めて聖地を訪ね歩いてみた。澄んだ空気とお日様を受けとめて輝く透明な水の働きが出迎えてくれた。
覗き込むと、私自身の顔が映り、背景には大空が広がる。夜のかなたに星が煌めき、古からの風が吹いてくる。想像してみてください。無数の銀河の最果てに、この宇宙が開闢した、その瞬間までもが水鏡に映りだされていることを。世界が開闢する前夜、その混沌のゆらぎの中で形もなく私たちは眠っていたのだ。
こんな魔法の働きを持っている水鏡の写真を修め、そこから汲んできた水に音をともしていった。心の絆を取り戻すための感動の音、あからわをんまでの四十八音を授かった。音が融けている水にはどんな力が秘められているのだろう?祈りの雫を幾つか選んで音の融けた言霊水を創ってみてはどうだろうか。
い
ん
り
よ
ほたる川
る
か
け
や
に
も
す
は
し
み
ゐ
ろ
こ
そ
れ
ふ
ぬ
わ
き
ゑ
つ
お
あ
な
ほ
へ
た
せ
む
ち
て
え
う
を
ひ
の
さ
ま
く
ゆ
ら
め
ね
と
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