機械どもの荒野

出版社:株式会社早川書房
著者:森岡 浩之
カバーイラスト:大本 海図
カバーデザイン:ハヤカワ・デザイン
定価:本体620円+税
ISBN:978-4-15-030917-6

あらすじ:
  近未来、荒廃した地上には機械で出来た動物が闊歩していた。その動物を狩って生計を立てる狩人のタケルはある日、話をする機械と出会う。機械の助けを聞き、半信半疑ながらこれに乗ったタケルは、幼馴染のカーシャ、鴉と共に機械の根拠地を目指す。


感想:
  著者の星界シリーズとは一線を画し、人類の違った未来を描いた作品。

―以下、未読者注意― 
  未来の荒廃した世界、そこを支配する機械文明、反抗する人類のならず者たち。私の好きなエッセンスが詰まった作品だった。

 主人公が熱血漢からは程遠いところがまず気に入った。大義と情熱に燃える主人公よりも、本能に生きつつノリでも行動する主人公の作品は読んでいて楽しい。脇を固めるカーシャと鴉もそれぞれの個性があって楽しめる。機械に支配されても良いと言いながら、タケルとカーシャに協力する鴉の存在はなんだか愛くるしいキャラクターだ。

 また、東明は一度は街のためにタケル達と敵対する。だが平和な生活を見つけると、手のひらを返して敵意を解く。さらに自分の子供達の危機がわかるとタケル達と共闘さえする。この一連の彼の心の動きが、決して正義感などではなく、等身大の率直な感情で変わっていく部分で親近感を覚えた。この小説はキャラクターそれぞれの個性が魅力的と言える。

 彼らの行為は、結果的には人類という種を滅ぼすことになったのかもしれない。しかしそれでも人は前進することを止めない。なんだかこのテーマは漫画版「風の谷のナウシカ」の結末を彷彿とさせた。


得点評価:4point

 

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