イリヤの空、UFOの夏 その4

発行所:株式会社アスキー・メディアワークス
著者:秋山 瑞人
ILLUSTRATION:駒都 えーじ
DESIGN:鎌部 善彦
定価:本体570円
ISBN:4-8402-2431-5


あらすじ:
 浅羽は傷ついていく伊里野をただ見ていくことに耐えられなくなっていった。遂に、伊里野を連れて逃げ出した浅羽。だが、彼の優しさは戦時下の逃避行をより困難なものにしていった。


感想:
  本シリーズ最終巻。伊里野と浅羽の夏が今、終わりを迎える。

―以下、未読者注意―
  二人は幸せな逃避行から、だんだんと追い詰められていく。小学校に住み着いて、吉野と知り合った時点では良かったのだが、やがて別れはやってくる。

 教師として人間を取り戻しつつあった吉野であったが、社会的落伍者へ戻ってしまう。そしてそこから三人と一匹のつかの間の平穏は崩壊してしまう。ここで感じたのは、浅羽の甘さだ。人が良いにしても吉野に気を許し過ぎた。しかし自分が同じ状況であっても、同じような行動を取りそうだが。

 浅羽の一言によって、伊里野は浅羽を認識できなくなる。これが堪らなく悲しい。だが、浅羽は自分のしたことの始末は自分で負わなくてはならないのだ。

 この時点から伊里野は精神的な退行を示す。読者としては耐え難い悲しみを伴うことだが、ここから二人の恋の物語を再び感じることができる。二人の恋について、伊里野視点で見ることができるのだ。

 やっとのことでたどり着いた祖母の家。ここで榎本と再開する。そして、階段+ラーメンという懐かしいシチュエーションで世界の真実を知ることが出来た。この世界をめちゃめちゃにした原因。伊里野の戦っている物。責任は伊里野にないにも拘らず戦わなくては、人類は滅亡してしまうのだ。

 最後の最後に、伊里野は出撃を拒否する。この際の伊里野を救いたいが為に出撃を引き止める浅羽と、浅羽を救いたいが為に出撃しようとする伊里野の関係に心動かされる。相思相愛の二人とはこういうものだ。物語の最後に救いがあって良かった。


得点評価:4.5point

 

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