文化人形は大正〜昭和初期にかけて少女たちに愛されたお人形。2005年初夏に「リンゴ姫とキンギョ姫。」という文化人形の本を読み、作者の市川こずえさんの「プカプカ堂」を訪ねた。以前、紙粘土人形作りで挫折したことで人形作りが不安だと打ち明けると、「布の人形は素材がやわらかいからやさしく出来ますよ」と励まされた。ちょっとしたコツなどを教えていただき、少しずつ材料を集め始めた。
その頃、祖母の危篤状態が続いていた。祖母は米山京子さんの布人形作りが趣味でとても上手だった。私には祖母が亡くなってからではないと作り出せないことがわかっていた。祖母が亡くなるととたんにエネルギーが軽くなり、人形作りがスタートした。  
人形の写真は上から新しい順に並んでいる。
身長はほとんど29センチ前後。
お腹に鳴き笛入り。  

えぷろん姫

中央の柄布切り替えを無くし、白いレースの前掛けをつけた。

ボンネットはピンク色のちりめんで表情を和らげた。

小鳥姫

赤い縮緬絹と小鳥柄の木綿布。今回はしおり紐無し。竹久夢二デザインの小鳥柄の布で大正ロマン風。

小鳥姫はぐんと目を大きく描いた。今までで一番、市川こずえさんの人形に近い雰囲気かも。

三色姫

赤い縮緬絹とピンクの絹の柄布。袖は黄色い縮緬。柄布は古布なので多少くすんでいる。レースやリボンの色あわせには毎回時間をかける。

表情は明るい感じ。文化人形のスタンダードな前髪。

小鹿姫

赤い縮緬絹とかわいいバンビ柄の木綿の柄布。手足に巻く赤い紐は、正統派(?)しおり紐にこだわっている。

おとなしめな表情。芯は強そう?

レンタルボックス形式のギャラリーに出品することに。記念撮影。

さくら姫

赤い縮緬絹と桜模様に染めてある木綿布。手足の布は一般的には人絹を使うようだが、私は高級なシルクを使っている。

こんなのっぺりした布人形でも、角度によって表情が変わるのが面白い。さくら姫はわがままそうだったり、やさしそうだったりする。

ももこ姫

ピンクの縮緬絹と水色の赤ちゃん柄の木綿布。薄い布には接着芯を貼っている。袖は黄色の古布。

のんびりした表情。ヘアスタイルはおかっぱ。顔は絹のシフォンジョーゼットなのでとてもきめ細かい雰囲気になる。

唐子姫

記念すべき最初の人形。唐子姫を作る為に手芸材料店に何時間もいたような…。紅い絹布の鮮やかさも古布ならでは(お値段も高かった)もう手に入らないので、この後の人形は新しい絹のちりめんを使っている。文化人形は安価で庶民的なお人形なのに、素材にこだわったら高級品になってしまった。チープ感は無いけど、懐かしさの結晶としての“大人の人形”になったのではないかと勝手に満足。

愛猫びくりんと一緒に。唐子姫についてはこちらもある。

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