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トンボの飼育方法

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シオカラ

トンボは飼育が結構、難しい生き物です。生きている餌しか食べませんし、虫かごの中では、すぐに羽を痛めてしまうからです。
そこで、成虫は捕まえても放してやり、飼育するのはヤゴにしましょう。 ヤゴから成虫に変わるときって、テレビでは目にしたことがあるかと思いますが、実際のシーンは、とても感動的なものがあり、何回、見ても決して飽きることのないドラマです。


1.飼育セット

プラケースの大が使いやすいでしょう。 水を7分目くらい入れ、軽くエアレーションします。 底には砂利を敷くと落ち着きます。 また、複数のヤゴを入れる場合には、落ち葉や流木の切れ端など、隠れ家を入れてやりましょう。 それでもヤゴ同士、激しく共食いする可能性はありますが・・・水は水道水を直接、入れても大丈夫です。カルキ抜きしなくても、彼らは死んだりしませんから。
後述しますが、一番、良いのは終令の大きなヤゴを捕らえる事です。終令のヤゴは、もう、殆ど食べる事も無く、じきに羽化しますので、紙コップで飼育することが可能であり、手間がかかりません。

2.餌

ベストは糸ミミズといわれております。 成虫と同様、生きているものしか口にしません。 小皿を沈め、その上に糸ミミズの塊をそっと、落としてやります。 糸ミミズは大抵のペットショップで販売しているので、簡単に入手できると思います。
ただ、あまり積極的に食餌している光景を目にしたことがなく、仲間が最良のご馳走になってしまうケースが多いので、本当は多頭飼育するのではなく、1匹飼いするのが正解のようです。

3.羽化時の注意

野外では羽化するとき、水草などを伝って空中に出て羽化します。 このため、飼育下でも、同様の環境を作ってやる必要があります。 割り箸などを剣山に突き刺して立てた状態にし、水底に沈めます。 プラケースの蓋を開け、そこから空中に長く割り箸が出て、あたかも、水草がニューと水中から伸びて突き出ているかのように整えます。 このため、割り箸は2本使い、輪ゴムなどで結んで長くしてやる必要があります。 
注意する点は、蓋をきちんと開けてやることです。 いっそ、蓋を外してしまってもいいかもしれません。 蓋の開け方が足りないと、折角、羽化しても、蓋が邪魔をして、水面に近いところで羽化してしまい、羽が水につかり、ぐしゃぐしゃで伸びきらなかったり、最悪、水に落ちて死んでしまうからです。
それから、割り箸などの水草に見立てる棒は、プラケースに立てかけると、ヤゴがそこから脱出し、室内をウロウロするハメになりますので、必ず、水中からスックと立ちあがるようにし、壁面に伝い逃げる事が出来ないようにしましょう。


シオカラトンボ♀の連続羽化画像 及び 飼育風景

飼育カップ

このように紙コップに水を入れ、割り箸を割らずに縁に刺し込みます。 この中にヤゴを1頭だけ入れます。 これにより共食いを防ぐ事がほぼ可能になります。
餌としてイトミミズを少量、与えます。
水がにごったら、取り替えてやります。 特にイトミミズを与える場合、1日で水が腐敗することもありますので、ご注意下さい。ヤゴは滅多な事では死にませんが、腐敗した水は臭いので、家庭内の平和のため、毎日チェックしましょう。

カップ群

上述の紙コップをプラケの特大と衣装ケースに並べた図です。 100頭以上のヤゴを一気に飼育しているため、水替えも馬鹿になりません。 通常の飼育では、せいぜい、10頭くらいまでに留めるのが妥当と思います。
尚、このようにプラケなどに入れておく事で、ヤゴの脱走防止にも役立ちます。 紙コップ飼育の場合、ヤゴは割りと脱走しますので、このような工夫をするといいでしょう。

羽化1

2001年6月10日 0時52分2秒

ヤゴの背中が割れて、中から成虫の頭が出てきたところ。
シオカラトンボのヤゴ。
この個体を以降、ヤゴAと呼ぶ。

羽化2

1時7分7秒

別の個体も羽化をはじめた。
こちらを以降、ヤゴBと呼ぶ。
この日は結局、3頭のヤゴが羽化した。

羽化3

1時14分15秒

少しずつ、頭を下に下げながら、胸部がヤゴから出てきた。
画像はヤゴA。

羽化4

1時15分12秒

大分、体が出てきたヤゴB。
手をゴニョゴニョ動かしたり、体を振ってみたりして、少しずつ、抜け出していく。

羽化5

1時21分16秒

ヤゴAが、突然、腹筋運動を行い、頭をグイっと持ち上げた!

羽化6

1時21分21秒

さっと、お腹を抜き出した。
ここまでのところは、一気呵成に羽化が進行している感がある。

羽化7

1時33分13秒

ヤゴBも腹部の抜き出しに成功し、脱いだ殻にぶら下がっている。

羽化8

1時45分53秒

少しずつ腹部と羽が伸び始めた。

羽化9

1時50分15秒

羽が広がってゆく。

羽化10

2時0分4秒

大分、羽が広がり、透明感も出てきた。
もう、すっかりトンボの形になってきた。

羽化11

2時13分56秒

ボディの色はまだ薄いが、シオカラトンボの♀らしい黄色みが、ちょっとずつ出てきた。
実はこの後、ヤゴA、ヤゴBは共に落下してしまい、羽が綺麗に伸びきれず、羽化不全になったしまった。(T_T)
原因は恐らく、ストロボのたきすぎだろうと思われる。 張り切って連続羽化撮影に精を出したのだが、どうやら撮り過ぎたらしい。 非常に悔やまれる結果となった。 皆さんも羽化中のヤゴを撮影する場合には、十分にご注意願いたい。

羽化12

7時25分40秒

恐らく、3時以降に羽化を開始した個体。 私のストロボ攻撃に遭わず、無事、羽化に成功し、すっかりシオカラらしい色合いになっていた。
この後、ぱっと羽を広げ、暫く休んだ後、彼女は開け放たれた窓から、澄んだ青空の元に飛び立っていった。 今頃はどこを飛んでいるのであろうか。。。

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