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暑さ対策

<<< 熱いハートでクールに夏を乗り切ろう! >>>

日本の夏は暑い。
なに、赤道直下の国に比べれば・・・という向きもおありでしょうが、暑さの質が違うのです。
あちらは、幾ら暑くても、からっとしているのに比べ、我が国はムシっと湿気が強く、不快指数でいえば比べようも無い暑さといえます。


この暑さ、当然ですが、虫にもよい影響を与えません。
そこで今回は、どうやって暑い夏を乗り切るかを特集します。


子供の頃、カブトムシの飼育を掲載しているムックなどを見ると、よく書いてあったことが、この一言でしたね。


「カブトムシは風通しの良い、涼しい場所で飼育しましょう。」


でも、カブトムシって、夏に生きる虫でしょ?
なんで、涼しいところじゃないと駄目なの?


そんな疑問が湧いてきませんでしたか?


確かに、日本のカブトムシは暑さには割りと強い方です。
陽炎がゆらりと立ち上り、ものの影が真っ黒に見えるほどの真夏の昼間。
僕らはカブトムシとさんざんっぱら遊んできたけれど、だからってすぐに彼らがくたばったりはしませんでした。
ぐたぁって弱ってしまったなどという経験もありませんものね。


でも、もともと彼らの生態をちょっと考えてみますと・・・
日中、太陽がかんかんと照りつけるさなか、彼らはどこにいるでしょう?


そうですね、涼しい土の中に潜って、暑さをやり過ごしているのですよね。
なにしろ、彼らは本来、夜行性なのですから。


カブトムシは、必ずしも暑さに弱いってわけじゃないのですが、でも、とりたてて暑さが好きってわけでもなさそうなんですね。


ただ、では、飼育するときに、なぜ、涼しいところで、となるのでしょう?


実は、カブトムシが本当に弱いのは、暑さよりも、それによって生じるいわゆる「蒸れ」に対してなのです。


本当かって?


確かに、子供時代、プラケースの中に土を入れ、すいかの食べ残しなどを放り込んでおくと、いつの間にかぐちゃぐちゃになっちゃって、ものすごい状態になってしまいましたね。
それでも、カブトムシは生きていたし、元気でした。
だったら、湿気にだって強いはずでは?


そういう高い湿度になっても、平気なことが多いのは事実だし、種類によっては、相当に湿ったマットを産卵条件にするものもいるくらいです。


ただ、ひとつ思い出してもらいたいのですが、あの当時、コバエの発生を防ぐために、蓋とケースの間に紙やらビニールを挟むなんてやっておりましたでしょうか?
そして、その状態のまま、風通しのあまりよくない部屋で、暑い日中を過ごさせた経験なんてあります?


そういう場合、内部は物凄い「蒸れ」が発生して、それこそ、いかに強いカブトムシといえども、あっという間に死んでしまうでしょう。


まして、外国産のカブトムシは、日本よりも更に冷涼な場所に生息しているものが多いのです。


つまり、現在の私たちの飼育スタイル、即ち、室内でカブトムシを飼育するというものでは、まず、風通しが幾ら良いところといっても、しょせんは限界がありますし、まして夏のうだるような暑さの中、湿り気の高いマットにくるまれたりしたら、外国産のカブトムシの命なんて、それこそ花火のように儚いものになってしまいます。


では、どうすれば安全に夏を乗り切ることができるのでしょう。


一番の理想は、一日中、冷房の効いた部屋で管理することです。
当店のブリードルームはまさにこの状態なのですが、ただ、これ、電気代が馬鹿高くつくという弱点がありまして・・・
小数の虫だけを飼育されているお宅では、あまりにもコストがかかりすぎ、家庭不和の原因にさえなりかねない方法かもしれません。


温室と専用のクーラーのセットという手もあります。
これは温度管理もバッチリで、もっとも優れた方式の一つでしょう。
しかし、専用クーラーは初期導入費用が非常に高く、やはり、相当の覚悟を決めて購入する必要がある方式といえます。
本格的なマニアならともかく、なかなか普通のご家庭では、虫のために数十万もする装置を買い求めるということは、難しいことかもしれません。


できるだけコストをかけたくない!というご家庭で簡単にできる方法は、というと・・・実はこれ、幾つかございまして。


ただ、お金をかけない、ということは、その代わりに、それなりの手間をかけてやるということを意味します。
まず、この点をご了解頂いた上で、紹介して参りますね。


ペットボトルで氷を作っておき、これをケースの壁面につけてやるという方式があります。これは割と効果的に冷やすことで出来ます。
ただ、夏の暑い中、氷はすぐに溶けてしまいますので、何本も作っておいて次々に交換してやらねばなりません。
気温がいくらかでも下がる夜間は、この限りではありませんが、少なくとも日中は、こまめなケアが必要になってくるので、そういったことが得意な方向きの作戦といえます。


ちなみに、冬場の保温と同様、この場合も発泡スチロールとの組み合わせは有効です。氷が溶ける時間をかなり延長してくれますので、飼育ケースが少ない場合は、ぜひ、発泡スチロールの箱を手に入れて、その中で管理する\方式をご検討ください。


扇風機の風を当てるという作戦もあります。
出来ればこのとき、ケースと蓋の間の紙などを取って、風を直接、ケースの中に送り込んでやることができれば、蒸れを防げますので、大変に良い結果となります。
が・・・カブトムシ飼育につきもののコバエが、室内に溢れるという危険は冒せないという場合、これは難しいかもしれません。
ちなみに、扇風機の風をケース側面に当てるだけでも、幾らか温度を下げる効果は期待できますが、効率はあまりよいものではありません。


扇風機とクーラーの中間的存在として、冷風扇というものがあります。
わりと安く購入でき、しかも、冷たい風を送ってくれるという優れものなので、意外と重宝しますが、大きいタイプだと、やはりランニングコストがそれなりにかかります。
そこで、トイレ用くらいの小さいもの(1万くらいで売っています)をうまく利用してやるということが、奥の手となってきます。
勿論、広い空間をカバーすることは不可能で、それでは冷房効率が悪くなりすぎますので、例えば園芸店で売っているビニール温室とこの冷風扇を組み合わせて、即席の冷房部屋を作ってやるという手が有効な手段です。


但し、冷風扇は、大抵の場合、水を蒸発させるときに生じる気化熱を使って冷風を作る仕組みなので、わりとしょっちゅう、水を補給してやらないとならなくなります。
しかし、その手間を割り引いても、この方法は盛夏を乗り切るには大変、有効で、私としては現在のところイチオシの作戦です。


勿論、日中、誰もいなくて水の補給が出来ないという場合は、どうにもなりません。
ですが、ここに述べてきたことは、全てあくまでも、一つのヒントなのであります。
こういった方法を叩き台に、あとは各人の創意と工夫により、暑い夏を乗り越え、元気にカブトムシたちと秋を迎えるようにしようではありませんか。

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