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防寒対策 |
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日ごとに募る寒さの中、どうやって大事な虫たちを暖かく過ごさせるか。
外国産のカブトムシやハナムグリを飼育する際、いかに冬を乗り切るかということは、ブリーディングの成否を握る鍵のひとつといっても決して過言ではありません。
なにしろ、彼らにとって日本の冬は寒すぎるのです。
勿論、低温に強い種類もおりますが、それでも、厳冬の季節、常温での管理はまず不可能なのです。
そこで、どうしても保温が必要になるのですが、この方法には実に様々なものがあります。
どれも一長一短があり、残念ながら、今のところ、これがパーフェクト!といえるものはございません。
参考までに、思いつく限り列記して参りますので、各自が飼育している種類の耐寒性能や飼育量などをご勘案の上、どの方式にするかご検討頂けると幸いです。
まず最初は、部屋ごと暖房してしまうというもの。
虫専用の部屋をお持ちの方は、この方式を取られているケースが多いように思います。まさに大量に飼育しているマニア向けの方式ですね。
当店もブリードルームを設けており、もう何年もエアコンを切ったことがありません。正直、電気代が幾らかかっているのか、今となっては家計とごっちゃになって正確には分からない状態です。
・・・ここまでいけばしめたもの。
普通は、あまりの電気代に、奥さんがお冠になると思いますので。(^-^;;
ことほど左様に、この方式はランニング・コストがかかってしまうという点が欠点です。 勿論、管理の面では非常に簡便なのですが。
最近のエアコンは消費電力を低めに抑えている設計になっているようですが厳冬の季節には、やはり、かなりの電気代が露と消えるのは免れません。
冷暖房完備の小型温室というものもあります。
流石に専用のユニットとあって、夏の冷房までこれ一つでまかなってくれる優れものです。 特に虫専用に作られたものは、温度管理もエアコンより更にシビアだそうで、まさに鬼に金棒です。
これ一台あれば・・・と思いますが、ユニット式ということで、収納できるケースの量はある程度限られます。(一般家庭の飼育量なら十分かも?)
また、性能が抜群なだけに、お値段も抜群にお高いのが玉に瑕です。
このため、小数精鋭で高価な虫をブリーディングされる、高級志向の方にお勧めの方式と思います。
同じ温室でも、観葉植物用の温室を利用するという手もあります。
ガラス製、ビニール製とありますが、後者の方が割安です。
但し、密閉性が高いガラス製の方が、より保温効果はよいようです。
保温装置は、ひよこ電灯を利用したものや温風器を使ったものなどがあり、価格もピンキリです。
このシステムの弱点は、やはり、収納できる量に制限があることと温度管理が不安定になりがちという点です。
シビアに温度管理しなくてもなんとなかる強健種であればいけると思いますが、高めの温度を好む種類については不安が残ります。
次に、飼育している量がそれほどない場合や、保温する必要がある種が限定的である方など、少量の生体を保温する際の方法についてご案内します。
この場合は、できるだけ低コストに、かつ、効率よく一冬を乗り切る方式に重点をおいて紹介してゆきます。
但し、これらの方法で保温できるのは、どうしても少量になってしまいます。
大量に飼育されているマニアは、上述で紹介した方式のどれかにならざるを得ないのが現状です。
とはいえ、一般的にご家庭で飼育される量ならば、今回、紹介する方式で十分なのかもしれません。
或いは、いろいろ飼育しているが、保温がどうしても必要という種類はごく少ない方などには、むしろ、こういった方式がピッタリだと思います。
それでは具体的に説明して参りましょう。
「寒い冬に保温する」ということを細かく考えてみますと、
「温度を上げること」と「温度を維持すること」
この二つの要素が必要になってくることがお分かりになると思います。
そこで、まずは「温度を上げる方法」を紹介して参ります。
熱帯魚を飼育していたなどで、水槽や水中ヒーターが余ってはいませんか?
もしこれらがあったら、加温は実に簡単です。
を張った水槽に保温したい虫の容器を入れて、ヒーターで水ごと温めてやればよいのです。
水量は飼育容器の蓋より低い位置になるように調整して下さいね。
勿論、サーモスタットで水温は適温(25℃くらい)に設定して下さい。
ヒーターだけだと、ぐつぐつ沸騰してしまいますから。
この方法は湿度もたっぷりなので、マットの乾きもゆっくりとなり、非常に管理が楽になります。冬場は乾燥が進み、油断するとあっという間にマットがカラカラに干からびますが、そういう心配もかなり緩和されます。
そんなの持ってないよ、という方には、ペット用のヒーターを使うという手があります。
子犬用の小さいもので十分です。
この手の製品は、平らな面で温めることができるため、実に使い勝手が良く、一つ持っておくと何かと便利な優れものです。
使うときには、ヒーターに直接、飼育ケースが触れないように、少し間に下駄を履かせてやりましょう。
ただ、ペット用ヒーターは温度調整が出来ないものが多くて、あまり高い熱量は確保できません。このため、後述の「保温する方法」と組み合わせて使うことを強くお勧めします。
この他、使い捨てのカイロで温めるという方法もありますが、流石にコストパフォーマンスがかかりすぎ、お勧めできません。
湯たんぽを使うというやり方もありますが、温度の上下が激しいことと、毎度、お湯を沸かす手間を思うと、やはりペット用ヒーターに軍配が上がります。
さて、これらヒーターを使った加温方法には、実は、一つ、大きな弱点があります。
それは、ヒーターって、実は、案外、馬鹿にならない電気代がかかってしまうということなのです。
通電している間中、メーターがゆっくり回り続けるのが分かるほどです。
つまり、一冬、これだけに頼り切ると、あとで請求書をみて青ざめることになりかねません。
そこで、次に必要になることは、効率よく「保温する方法」です。
タオルや新聞紙を飼育ケースに巻きつけるといったやり方も考えられますが、効果は薄く、あまりお勧めはできません。
水槽を使うにせよ、ペットヒーターを使うにせよ、保温するには、周囲をぐるりと囲ってしまうことが一番です。
では何で囲うのがいいのかというと、最も簡便で管理も楽な方法は、皆さん、ご存知の「発泡スチロール」を使うやり方です。
発泡スチロールの断熱効果は非常に高く、これで綺麗に囲ってやると、それだけでも相当に温かく、厳冬期に昆虫を出荷する際、どのお店でも使う必須アイテムになっているほどです。
熱帯魚を飼育している方はご存知かも知れませんが、水槽のガラス面に発泡スチロールの板をくっ付けて覆ってやると、水温の下降が非常に緩やかになり、電気代がかなり節約できるのです。
昆虫飼育の場合は熱帯魚と違い、鑑賞のために前面ガラスは覆えないということもないので、更に効果は抜群です。
お近くのDIYなどで、加工しやすい板状のものが安く手に入ると思いますので、ぜひ使ってみて下さい。
尚、発泡スチロールを使う場合には、念の為、通気するための穴を確保するようにして下さいね。 小さい穴で構いませんので。
以上が当店お勧めの防寒対策です。
これを参考に、ぜひ、寒い冬を無事に乗り切って下さいませ。 |
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