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外国産カブトムシの飼育方法・詳細

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ここでは産卵セットや採卵の方法などを画像を使いながら説明します。
これはあくまでも、私の飼育スタイルであり、自分にとってはベストな方法なのですが、誰もがそうとは限らないと思います。
ただ、大筋としての飼育方法は、そうそう、変わるものではございませんので、これを叩き台とし、ご自分に最も合った方法を、それぞれが工夫されんことを切に願います。


ヘラクレス・リッキー♂ ヘラクレス・リッキー(ワイルド)
130mmUPの♂。
本種を使って、ブリーディング方法を説明していきます。

普段はプラケースの大に独身住まいし、高蛋白ゼリーをたらふく食べています。
ヘラクレス・リッキー♀ こちらは♀です。
(産卵セットから取り出したばかりなので、体中にマットがこびりついています。)
交尾

まず、交尾をさせます。
ワイルド個体であっても、産卵セットに♀を入れる前には、必ず交尾させるようにしています。
これは無精卵を産んでしまうことの防止です。
持ち腹を期待して交尾させずにセットした場合、運が良ければ有性卵を得られますが、私は無精卵ばかりだった苦い体験が何度もあり、ワイルドであっても、必ず、目の前で交尾を確認するようにしています。
普段は、もっと大きくて足場が安定する材の上に♀を乗せ、その背中に♂をそっと置いて交尾させています。
尚、産卵数が落ちてきたときや無精卵を産んでしまう場合には、追い掛け(再交尾)しますので、ブリーディング中は♂を手放すことはできません。

マット 産卵セットの作り方を説明します。

これは、産卵セットに使うマットです。
2次発酵がきっちりと済んでいる黒腐れしたカブトマットを使用します。使用する前には、よく攪拌し、2,3日、ガス抜きします。それでも、尚、臭いがする場合には、毎日、1回は攪拌し、臭いを飛ばしてから使用するようにします。

マットは餌交換などにも使うのですが、このような園芸用の土入れを用意しておくと、作業を効率的に行なうことができて非常に便利です。

※画像をクリックするとマットのUPが見られます
産卵セット1 まず、市販のプラケースにマットを入れ、底を固めます。掌や拳骨でぐいぐいと固め、逆さにしても落ちてこないくらいにまで固めます。
今回、セットに使ったプラケースはジャンボサイズです。♀の大きさに合わせてプラケースのサイズを選んで下さい。
一般的に中型種はプラケースの大で十分ですが、ヘラクレスなどの大型の♀には大では少し、狭いです。)
産卵セット2 底から5センチ〜10センチくらいを固めてやります。 本当はこちらが固めてやらなくても、♀は自分で産卵床を固めるのですが、無駄な体力を使わせたくないのと、やはり、予め固めておいてやった方が産卵数が期待できることから、この作業を行なうようにしています。
産卵セット3

固く詰めたマットの上に、軟らかくマットを入れてゆきます。 大体、ケースの8分目くらいまで入れてやります。
その上に、転倒防止のための材を入れます。
これはひっくり返ったときの足がかりになりますので、少し、大きめの材を敷いてやるようにします。(小さな木っ端を入れても足がかりにはならず、意味がありません。)
この中に♀のみを入れます。そして、餌となるゼリーなどを入れてやり、コバエの出入りをシャットアウトするために蓋とケースの間に新聞紙などを挟んでセットは完了です。餌を切らさぬように日々、チェックします。

※画像をクリックすると上からの図が見られます

採卵1 卵の採卵方法を説明します。

セット後、2,3週間したら採卵します。
大きめの衣装ケースを用意します。 産卵セットから転倒防止材などを取り除き、プラケースをひっくり返して中身を全て衣装ケースに移します。
尚、衣装ケースが用意できない場合は、床にレジャーシートや新聞紙を敷いて代用しても構いませんが、再セットするときに効率的なので、やはり衣装ケースを使った方が便利です。
採卵2 プラケースからマットを全部、移したところです。底の方は固まっているので、逆さにしても、なかなか落ちてきません。プラケースの底を軽く叩いたり、揺すったりして、全部、出すようにします。
採卵3

次に、固まっているマットをほぐしながら、採卵してゆきます。このとき、一握りくらいずつを薄く広げるようにして丹念に探していくと、卵を取りこぼしません。
また、卵を回収するときには、指で握り潰さぬよう細心の注意を払って作業します。 特に産卵直後のものは、まだ、かなり軟らかいため、ちょっとした力加減で簡単に潰れてしまいます。 このため、慣れないうちはスプーンを利用して周囲のマット毎、掬うようにするといいでしょう。

卵を回収し終わったら、マットは水分を調整の上、産卵セットを作り直して♀を入れるようにします。)

採卵4

回収した卵は、タッパーにマットを薄く敷いておき、その上に並べてゆきます。
こうすることで、一つの作業(ここでは卵を見つけるという作業)だけに没頭できる為、効率が、大変、良いです。
(採卵しながらカップにマットを詰めて卵を入れていくということを、1卵、見つける度にやるよりも、同じ作業を集中して行なっていく方式の方が作業時間が短くて済みます。)
また、いくつ採卵できたかが一目で分かるため、次に行なう、カップにマットを詰める作業の際に、幾つのカップを用意しておけば良いのかが予め分かるという利点があります。

※画像をクリックすると卵のUPが見られます

採卵5

回収した卵を丸カップに収納します。
予めカップは卵の数だけ用意しておき、マットを軽く詰めておきます。このとき、マットは産卵セットで使っていたものを使っても良く、新しく用意したマットを使っても良いです。前者の場合、水分が抜けてしまっている可能性があるので、適切な水分量に調整してから使用します。後者の場合は、十分にガス抜きしたものを使用します。
卵1つにつき、カップを一つ使うようにしますが、たくさん採れた場合などでは、1つのカップに複数個、入れても構いません。 但し、このときは必ず卵と卵の間を空けるようにし、孵化したら1頭ずつに分けてやるようにします。
私は200ccの丸カップを愛用していますが、これは、この後のマット交換の頻度などを計算に入れて、これが一番、効率的な大きさであると判断した為です。

採卵6 カップに卵を収納したところです。
私は孵化の様子などが観察しやすいように、カップの壁に卵が来る様にセットしています。
ティースプーンの持ち手の方でマットに穴を穿ち、そこに卵を落とし込み、上からマットを軽く被せるようにします。
尚、この方式の弱点は、卵がカップの壁に直接、触れると、凝結した際に水分が卵に直に触れてしまうという点です。 これを防止するには、収納後、カップの壁側から、卵を軽く、押してやり、壁から若干、離してやるといいでしょう。
採卵7 丸カップは、このように積み重ねて保管する事が出来ますので、省スペースになります。
この後、カップはできるだけ温度の高いところで保管してやります。 卵の細胞分裂を活発に促し、早く孵化させるためです。
逆に、温度の低いところに置くと、孵化率が著しく低下し、その後、暖かな場所に移しても、最初から温めてやったものと比べ、孵化率は回復しませんので、ご注意下さい。
初令幼虫

日が経つに連れ、卵は、丸く、大きくなってゆき、幼虫の姿が透けて見えるようになります。
いつ、産んだのかによっても異なりますが、大体、2,3週間もすれば、孵化が始まり、小さな初令幼虫を見ることができることでしょう。

糞が目立ってきたら、マットを入れ替えてやり、乾燥し過ぎないように注意して育てます。
これはその後、順調に成長して2令幼虫になったものです。
このまま放置すると、更に幼虫は大きくなり、やがては、この大きさのカップでは収まらないくらいになってゆきます。 その間には、1、2回、マットの交換が必要になってくるはずです。

3令幼虫

3ヶ月くらい経つと、幼虫は3令に眠起します。そして更に半年くらい経過すると、このようになります。
3令になった段階で、カップは一回り以上、大きなものに交換してやります。
これは650ccのカップですが、これでも小さく感じられるようになったら(幼虫がとぐろを巻き、マットが少量しか入らなくなるときが来ます)、プラケースの小など、より広い環境に移してやります。
私ができるだけ省スペースで管理するのは、主に置き場所の問題があるからですが、ふんだんにスペースがある方は、もっと早い段階から、大きめのケースで飼育されることをお奨めします。
(その場合、マットが糞だらけになる前に劣化したり水分が抜けてしまう可能性があるので、日々の観察を怠らぬようにして下さい)

蛹 やがて幼虫は蛹になります。
うまくすると、このようにプラケースの側面を蛹室の一部に見たてて作成してくれますので、蛹化・羽化の様子を観察することが出来ます。

尚、ヘラクレスのような大型カブトでは、♂は蛹化に際し、プラケースの中以上を用いますが、♀はプラケースの小で十分です。
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