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今月の一言

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このところ、時間がたつのが妙に早く感じられる。
そんなの、歳をとった印でしょ! と言われそうだが、どうもそれだけとは思えない。
何かに夢中になっていて、あっという間に時が過ぎてしまうというのなら分かるのだ。
だが、最近、私が感じているそれは、あきらかにそういう類のものではない。
特にたいしたことをしているわけでもないのに、時計に目をやると、あれれ、もうこんな時間! というパターンが続いているのだ。
その日の出来事を思い返して、何をしたのか指折り数えてみる。すると、実に少しのことしかやってないことに気がつく。
どう考えても、勘定が合わない!
これではまるで、時間泥棒に時間を盗まれているみたいじゃないか。


たとえば、息子を迎えに駅まで歩く。
私は若いころから早足が自慢だ。
駅までは、かかってもせいぜい20分というところか。
颯爽と背を伸ばし(たつもりで)、いつもどおり、せかせかと快足を飛ばす。
景色が目の隅を次々に流れてゆく。
その体感速度は、十数年来、変わっていない。


なのに、どういうわけか、駅までが奇妙に遠い。
せっせと足を動かしているのに。
いつもの時間感覚だと、もう着いてもいいはずと身体が告げている。
なんかおかしい。
ふと懐中時計に目をやり、思わず取り落としそうになる。
まだ道半ばだというのに、もう20分近く経っている!


足が遅くなったのだろうか?
いやいや、決してそんなことはないはずだ。
悔しまぎれに言うんじゃない。
いくら歳をとったといったって、まだ四十だ。日ごろ、運動不足だとしても、歩く速度が落ちてないことくらい、自分でよく分かっている。
でも、現実に時計は私が鈍足になったことを示している。
不思議だ。
自分の感覚と現実の時間が過ぎ行く速度に、どうやら大きなズレがある。


子供のころは、確かに時間がたつのがゆっくりだった。
一日が、とんでもなく長かった。
学生時代も、やはり一日がとても長く感じられた。
時間は、いくらでもあった。
使い切れないくらいあった。
お金はなかったけど、時間だけは売るほどあった。


それが今では、一日が過ぎるのなんて、瞬く間だ。
それどころか、一週間が束になって飛んでゆく。
歳をとるとそうなると、よく言われるが、このところ、なんだかそれが加速している気がする。
若いころに、のんびり時間を使ったから、歳をとったときに、そのツケで、使える残り時間が少なくなってしまったんだろうか?


いやいや、そんなネガティブなことを考えているバアイじゃない。
これは、もう、なんとかしなければなるまい。
たぶん、本当に時間泥棒がいるんだ。
そうだ、灰色の男たちが、われわれの眼をかすめて、時間を奪い取っているに違いない!
こんなご時勢だ。きっとモモは忙しいだろう。
せめて今から亀でも飼ってカシオペアと名づけ、未来を予言する訓練をはじめよう!


・・・・・・ああ、いや、ダメだ。そんなことしている時間がない。

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