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今月の一言

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アマガエルを補充しようと思い、散歩がてら近所のカエル・スポットに家族で繰り出しました。
以前にも書きましたが、ただ今、私はカエル飼育にいたくハマっております。現在、アマガエルたちをプラケースのジャンボで飼っているのですが、流木やポトスで美しくディスプレイし、かなりすばらしい快適空間になっているものと自負しています。水場も設けてあって、毎日、新鮮な水に交換してあげています。その上、餌入れには常時、おやつのミルワームがたっぷり入っているし、三日とあけずに主食のコオロギが降ってきます。これぞまさしくビップ待遇ってやつです。ただ、さすがに食べ過ぎて、この頃、お腹周りがメタボになってきているのが玉に瑕ですが、天敵もいないし、彼らにとってここはパラダイスじゃないでしょうか? 羨ましい限りです。なろうことなら、私と立場を入れ替えてもらいたいくらいです。


そんなアマガエルたちですが、最近、少し数が減って15匹になり、同居しているヤエヤマアオガエル3匹と合わせて、現在、プラケの中には総勢18匹が暮らしております。そんなにいて、狭くないの?と思われるかもしれませんが、そこはそれ、流木や植物のおかげで立体的に空間が仕切られており、全く狭さは感じられません。(少なくとも、私には。)
それにしても、18匹とは・・・・・・なんとも歯切れの悪い、中途半端な数ではございませんか。ことこういうことに関しては、小うるさいタイプの私としては、なんとしてでもあと2匹追加し、ぴったり20匹体勢にしたい。だからどうってこともないんですが、十進法で日常生活を送っている人類としては、ここがこだわりどころというものであり、また、このようなどうでもいいことに血道をあげるのが文明人というものの証でもあるのです。


そういうわけで、いつもアマガエルがうじゃうじゃいる丸秘のポイントにやってきたのですが、いつの間にか夏草がもうもうと茂っていて、足の踏み入れ場もありません。 それでも無理やり分け入ってみたのですが、いつもなら足元から慌てて飛んで逃げていくのに、今回は残念ながらまるで姿が見当たりませんでした。
道路一本隔てた向こう側にある田んぼを覗いてみると、小さなオタマジャクシがたくさん泳いでいます。
遅かったか!
季節がら、どうやら彼らは産卵を済ませて、既にどこか別の場所に移動した後のようです。
それにしても、夜な夜な、遠くの田んぼから聞こえてくるカエルの大合唱。あれを思うと、どこか近くに潜んでいるような気もします。
どうにかならんものだろうか? せっかく来たのにと、未練たらしく、背が伸びた夏草の中を足音高く踏み込んでみましたが、どうにもこうにも、アマガエルのアの字も見つからないのでした。


仕方がない。秋になれば、また戻ってくるさ。
そう見切りをつけたとき、田んぼの一箇所にジッと見入っていた息子の鋭く呼ぶ声がしました。
駆けつけてみると、息子の足元近い岸辺から水の中にドボッ!と飛び込んだ、5cmほどのカエルが一匹!
スイーッ、スイーッ、と後ろ足の水かきで効率よく泳ぐその姿は、なんと、トウキョウダルマガエルじゃありませんか。
子供の頃、トノサマガエルと間違えて呼んでいた、あの緑かがった体色の、頭がちょっと尖った、よく跳ねるカエルです。
ちなみに関東にはトノサマガエルは生息しておらず、実は全てこのトウキョウダルマガエルなのであります。
違いは、体の斑点が一つ一つ独立しているのがトウキョウダルマで、それが不連続にくっついているのがトノサマガエルです。また、トノサマガエルのメスは体色が薄茶なのに対して、トウキョウダルマは雌雄の色に違いがない点に特色があります。


しばらく見ていると、水面に浮かんでいるカエルは、うまい具合にこちらの方に戻ってきました。有効射程距離に入るや、私は素早く腕を伸ばして、むぎゅうっと鷲掴み! 手の中で猛烈に暴れるカエルを、そのまま、もってきたケースに放り込みます。
ジタバタしていたカエルはすぐに大人しくなり、しまいには頬を膨らませて鳴き始めました。
私はこの近所にはアマガエルしかいないものと思い込んでいました。とくにここは、何度も来ていたポイントだというのに、まさか、こんなところにいるとは驚きです。どこか遠くに行かないと、トウキョウダルマには会えないと諦めていただけに、嬉しさもひとしおです。


子供の頃、トウキョウダルマは時折、見かけるカエルでした。
人の気配がすると、敏感にそれと察して、あっというまにピョーンと逃げてしまい、幼かった自分には、なかなか捕まえることができなかったことを覚えています。
あるとき、うまい具合に田んぼから引き離して地ベタに追い込み、もう少しで網に入れられるというところまで迫ったことがありました。
だが、しかし! あろうことか、追い詰められたそいつは、なんと肥溜めに飛び込んでしまったのです。よほど、網で掬って捕まえてやろうと思いましたが、その網は友達のものを借りて使っていたものであり、さすがに肥溜めに突っ込むことはためらわれました。糞尿の中を気持ち良さげに泳ぐカエルの姿を、私は恨めしげに、指をくわえて見ているだけとなったのであります。


そんな思い出もあるトウキョウダルマです。
ここがポイントで、今が産卵時期となれば、探せばきっと他にもいるはず。
雄は縄張りを持つ種類なので、一箇所に固まっているわけではなさそうですが、周囲を探索すれば、もっと見つかるかもしれません。
静かにあぜ道を歩いていると、案の定、大きな個体が日光浴しているのを発見しました。
ヘビのようにそっと近寄り、電光石火の一撃!
今度も、見事、手の中に捕らえました。
その直後、今度は娘が小さめの固体を見つけ、私を呼びます。これまた立て続けにひっとらえ、もうすっかり大満足の一日となりました。


息子はオタマジャクシを掬うのがよほど面白かったらしく、学校から帰ると、カエル採りに行こう!とせがむようになりました。
小さかったオタマたちも、田んぼに通うたびに、どんどん成長していき、つい先ごろは手足が生えている個体が目につくようになってきました。
恐らく、次回は、とても小さなカエルになって、稲の茎にちょこなんと留まっていることでしょう。
こういう成長の過程を間近に見られるのも、カエル採集の面白さだと思います。


今度の週末、お子さんと一緒にちょっと田んぼに出かけてみてはいかがでしょう? もちろん、田んぼのあぜを壊すようなことはしてはいけませんし、せっかく植えた稲を傷めるようなこともご法度ですが、静かに田んぼの周りを歩くだけで、いろいろな発見があるかもしれませんよ。

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