left-image
今月の一言

<<< 05年5月の一言 >>>

季節が進んで蚊が出てくる前に、ということで、思い切って庭の池をさらいました。


池といっても、ほんの小さなものですが、一応、大小2つありまして、魚が自由に行き来できるよう、地中深く土管で結ばれています。
小さい方の池の淵には、大きな水瓶があって、竹水洗を通じて、ぽたっ、ぽたっと、静かに、いつも新鮮な水を供給しています。
暑い日には、鳥たちが群れ集ってきて水瓶に飛び込み、ぶるるっと羽を震わせ、水浴びを楽しんでおります。


こんな風に書くと、なにやら大げさですね。
でも、更に大仰なことに、この狭い庭には、庭師の趣味で、灯籠が3つもあるのです。


さぞかし風情があることと思われるでしょう。
しかし、それは日常的に綺麗にしていればの話です。
6月になると庭師が手入れにやってきて、伸びすぎた枝を落としていってくれますが、見栄えがするのはそのときだけです。
池に至っては、実に数年間も掃除をしておらず、さすがになんとかしないとならんだろうと、重たい腰を上げたのが実相なのです。


毎年、庭木から落ちる大量の葉が池の中に降り積もり、いつしか厚く沈殿していました。
それでも水は澄み、毎年、メダカが自然に発生していますので、生物学的には、実は好適な環境なのかもしれません。


しかし、見た目は「庭の池」というより、正直言って、単なる「どぶ池」といった方が相応しい状態です。
なんせ、池の水面近くまで落ち葉がこんもり積もっているほどなのですから・・・
これでは、風情があるというよりも、なにやら寒気がするような凄まじささえ覚えます。


そこで、覚悟を決め、今回、大掃除に及んだという次第だったわけです。


網を入れ、落ち葉を掬い出す。
にごった水をポンプで抜き、壁面についたコケをデッキブラシで精力的にこそぎ落とす。


底の方はすっかりヘドロのように腐っていて、引き上げるとぷーんと臭気が鼻につきます。
うっかり手につくと、石鹸で洗っても落ちないくらいの激烈な香りです。
恐らく水底は嫌気性のバクテリアが発生して、この落ち葉の層は全体としてフィルターのような役割を果たし、池の水を清浄に保つ働きをしていたのでしょう。


数時間かけて、やっと大方の落ち葉を拾い上げたのですが、フナやメダカがいるため、全ての水を抜いて掃除をすることは諦めました。
このため、新しい水を入れてやっても、ひどい濁りはとれず、綺麗にしたという実感に乏しかったのが残念でした。


しかしながら、「水清くして魚住まず」と申します。
文字通り、この場合も、全ての水をいっぺんに交換してしまっては、有益なバクテリアまで死滅してしまい、かえって池のためにはなりません。
翌日には、攪拌により濁った水も、綺麗に汚れが沈殿して、期待通りに澄み渡ってくれましたので、この判断は良かったのだと思います。


仕上げに、ウォーター・レタスという浮き草の仲間を浮かべ、新たに買い求めてきたメダカを100匹ほど放ちました。


これで漸く、満足致しました。


久方振りの肉体労働に、体は疲労でくたくたになりましたが、最初、おずおずと怯えていたメダカたちが、やがて、勢いよく、ぱーっと群れで泳ぎだすのを目にした途端に、こちらまで元気が湧いてきました。


水瓶も綺麗になり、水浴びに来る鳥たちも喜ぶことでしょう。
ただ一つ、遺憾なことは、このメダカが、鳥たちにとって、格好の餌となってしまうことです。


夏を迎える準備を一つ終え、さっぱりしたところで、次はベランダを綺麗にしようかな、と思っています。

池
>> 戻る >>

Copyright (C) 2001- 3horn All rights reserved