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今月の一言

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光陰矢の如し。
言いたくはないけれど、一年はあっという間に過ぎ去ってしまいます。
もう、今年もあと僅かを残すのみとなってしまいました。


子供の頃は、時間の経過が、本当にゆっくりでした。
朝、起きて、近所の子供たちの遊ぶ声が聞こえると、もう、いてもたてもいられず、飛び起きて駆け出していったものでした。 「血が騒ぐ」とでも申しましょうか。 今でも、あのときの興奮はありありと脳裏に浮かんできます。 わぁわぁ言う子供の声を耳にすると、それだけで、もう、アドレナリンが爆発的に分泌して・・・というのは、今風の言い方なのでしょうが、当時は、とにかく、自分も行きたい!という気持ちが抑えきれない衝動となって、家を飛び出していったことを覚えています。
しかし、今、少子化が進んでいるせいなのでしょうか、かつて、私が幼い頃に耳にしたような、近所で遊ぶ楽しそうな子供の声や姿を全くみかけません。
「○○ちゃん、あ〜そぉびぃまぁしょ♪」
と、玄関前で歌ったのは今は昔、息子の元には電話で、「今日、遊べる? 何時にどこそこで待っている。」 という、事務的な連絡が届いています。
確かに、今を生きる親子としては、そうやって、遊ぶ事についても、いつ・どこでという約束がきっちりなされないと、不安で仕方ないっていうのも、頷けます。
私が幼い頃は、先述の通り、遊びは、玄関のピンポーンではなく、「あ〜そぉびぃまぁしょ♪」という歌声で始まりましたが、一体、いつから、こういう文化は消えうせたのでしょうか・・・
息子が小学生になり、そうなって、はじめて、近所に、同じくらいの子供たちが、散在していたんだなぁって、やっと、分かりました。
昔のような、小さな広場、小さな公園で、子供が集まって、自然に上下の関係が出来て・・・という形にはなりえない、現代の難しい人間社会をかいま見たような気がします。


年月の経過を早いものと感じるのは、それだけ、歳をとったせいだといいます。
私は昭和40年代に生を受けた人間だけに、クレヨンしんちゃんの「大人帝国の逆襲」に出てくる夕暮れ横丁の風景に、思わず、涙してしまったのですが、本当に、この国はどんどん、変わってゆきます。
一年が過ぎ去る事が早い、と思うことと同じように、実は、自分が過ごしてきた、確かにそこに存在していた、確固たる文化だと思っていたものが、あっという間に旧弊という言葉で時の彼方に流されていくんだなぁ・・・そんなことを思う、年の瀬でありました。

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