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コラム

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うちにいる大きなカブトムシやハナムグリには、全く触ることさえできない娘が、これだけは大好き!という虫がダンゴムシです。


小さくて、くるりと丸くなる姿が愛らしいそうで、保育園に通っていた去年、毎日のように園庭にしゃがみこんでは、たくさん集めていたとのこと。
園の他の子からも、娘のイメージは「ダンゴムシ!」につきるというほどで、どうやらぞっこんだったようです。


まるで王蟲とナウシカのようだ・・・


はい、親馬鹿です。


そういえば、子供の頃、私も随分とダンゴムシに遊んでもらいました。
本当にどこにでもいる虫で、誰でも簡単に捕まえることができることを思うと、子供にとっては、もしかしたらカブトムシよりも、ずっとフレンドリーな存在なのかもしれません。
人気という点では、勿論、遠く及びませんが。


掌に載せると、慌てて体を丸め、じぃっと我慢。
ころころ転がされても、尚、我慢。


静かになったかな? そろそろいいかな?


そっと体を開いて、無数の足をいっせいに動かし、そらっ、逃げろ!


そのときの、掌に走るこそばゆい感覚を、私は今でも鮮明に覚えています。


いつも穏やかで、楽しい遊び友だち。


それがダンゴムシではないでしょうか。


しかし、ある出来事があってから、私は急にダンゴムシと疎遠になってしまいました。


あれは確か、まだほんの5,6歳の頃。
明日も遊ぼうと、たくさん集めたダンゴムシたちを虫かごに入れて物干し竿に吊り下げておきました。


そして、翌朝。


虫かごの中が何か変です。
ダンゴムシが一匹もおらず、代わりに羽のある虫が入っているのです。


よく見ると、それは小さな蜂でした。
なんという種類のものなのか、まるで分かりませんでしたが、何匹も虫かごに入っていて、それをみた私は、とてもショックを受けたのです。


ダンゴムシは蜂になるんだ。


心からそう思い込みました。
今から思えば、ありえないことですが、当時は本気で信じていました。


そして、このことがあってから、私はダンゴムシへの関心が一気にさめてしまったのでした。


あんなにかわいいダンゴムシが、一晩で、怖い蜂に変身したのですから。


掌に載せたそれが、いつ、殻を破って、中から蜂が出てくるともしれない。
そう思うと、恐怖すら覚えました。


それにしても、遠い昔に見たあの蜂は、一体、なんだったのでしょう?
ダンゴムシを狩る蜂がいて、それが虫かごの中に残っていたのでしょうか?


このことは、あれから30数年たった今も解けない謎なのです。

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