コラム |
<<< 神の落とし物 >>> |
この話は、全て実話である。
数人の仲間に話したのだが、なぜか、誰も信じてはくれなかった。
しかし、繰り返すが、全て実話なのである。。。
それは、まだ、サラリーマンだった頃。
呑み過ぎて終電で眠り込んでしまい、気がつくと「東鷲宮」という駅だった。
そこが、どれほど、地元の大宮まで遠い距離にあるのか、さっぱり分からなかったため、とりあえず、歩いて帰ろうと、冬の寒い真夜中、一人、寂しく暗い道のりをとぼとぼと家路についたのだが、今から思うと、これはやはり、かなりの暴挙だった。
勿論、歩き始めて、ものの3時間もしないうちに、もう後悔を噛み締めていたのだが、何事も初志貫徹を旨として生きるのが男である。
このときは、結局、8時間かけて、やっと、家に辿りついたのだった。
さて、この長旅の途中、世もしらじらと白み始めた頃、あれは確か、漸く大宮の隣町にある、宮原駅にまで辿りついたときのことだった。
急に下腹が差し込んできて、慌てて駅のトイレにかけこんだのだが・・・
そこで見たものは!
なんと、太さが大人の二の腕ほどもある、この世のものとは思えぬ物体が、長々と便器の中で横たわっていたのである。
最初、それが何であるのか、さっぱり分からなかった。
太さもさることながら、50センチ以上もの長さがあったからである。
暫し、下腹の痛みも忘れてじぃっとそれに見入ってしまったのだが・・・
全くもって、それは人糞以外の何物でもなく、しかも、途切れることなくひり出された、見事なまでの一本!なのであった。
所々に未消化のコーンが認められたが、不思議な事に、全く臭いがない。
なぜ、こんなものが、ここに、こんなにも静かに横たわっているか?
いや、それよりも、一体、誰がこんな凄まじいものを出したのか?
その横に落とされた自分のそれは、あまりにも小さく儚く、水音とともにあっという間に視界から消え去っていった。
だが、神の落とし物は、何事も無かったかのように、あくまでも静かに、でーんとそこに鎮座しており、激流に洗われてながらも、形一つ変えずにいたのである。
あぁ、私は小さい人間であることよ・・・激しい衝撃の嵐の中、徐々、悟りの境地が開かれていったのであった。 |
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