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コラム

<<< 灯火採集 >>>

以前、友人たちと秩父に採集に行ったときのことです。
日中は主にカナブンや蝶、カミキリムシなどを採りまくり、いよいよ夜を迎え、これまた楽しい灯火採集。
ライトトラップを設置して、虫が飛来するのを待つ採集方式も効率よくていいのですが・・・どうも、あの、虫が来るのをじっと待っているという姿勢が「お大臣の趣味」みたいで(失礼!)、いまひとつ、私にはピンと来ません。やはり、大人たるもの、車をガンガン駆使して、機動力に任せて灯火を回りまくる。これが、せっかちな私の性にピッタリ来る採集方法なのです。
と、いいながら、実はこのときが、生まれて初めての灯火採集でした。
どうしたらいいのか、よく分かっておらず、とにかく車で山道を走り回り、街灯があればそこでストップ! 友人と一緒に、光の及ぶ範囲をくまなく捜査。道路の真ん中でも、運が良ければ、飛んできたばかりで、まだ車に踏まれていないミヤマクワガタやカブトムシが転がっています。


最初は、街灯の薄明かりに目がついていかなかったのですが、やっているうちに段々と慣れてきて、幾つか採るうちに、身も心もすっかりハンターになっていきます。
車を走らせながら、濃い灰色に染まった道路に目を凝らし、あっ、何かいる! ぱっと車のドアを開け、すっとんでいって確認。 残念ながら、踏み潰された遺骸の場合もありましたが、これも段々と目が鋭くなっていって、車からいちいち降りなくても、あれは潰れているね、なんて分かるようになっていくのです。


こうして、一晩を徹して採集を続けているうちに、随分とカブトムシやクワガタムシを捕らえましたが、そのうちに、幾つか、虫が採れる条件というものが分かってきました。
本当は、これ、灯火採集のポイントかも・・・と思うので、公開しないでおこうかしらん、と思いましたが、いえいえ、出し惜しみなし!と宣言してしまった以上、書いちゃいます。それに、これらのことは灯火採集のベテランなら、きっと知っていることでしょうから・・・


最初は街灯が道端に現れるたびに、車を降りて虫を探していました。しかし、いくら探せども、まるで虫の影一つない場所もあるのです。反対にえーっと思うくらい、大量に見つかる場所もあれば、まぁまぁかな?くらいの場所も・・・その差は以下の原因によるのです。


最も採れる場所の条件とは、
@回りに他の街灯が見えなくて、その街頭だけがポツン!とあること
 >>友人との合言葉は、「久し振りに見た街灯」でした。
A青白い水銀灯であること
 >>黄色が強い街灯もありますが、これだと群がる蛾の量も少なく、いま
  ひとつです。但し、久し振りに見た街灯である場合には、水銀灯でなく
  ても虫がいる可能性はあり、要チェックです。
B周囲が針葉樹でないこと!
 >>杉林に囲まれている場合、例え久し振りに見た電灯で、水銀灯だった
  としても、蛾一匹飛んでいません。それだけ針葉樹というものは、昆虫
  に忌避されているのですね。(一部の昆虫を除く)


これが分かるようになると、「街灯に蛾が全然いないからパス。」「久し振りの街灯、蛾もいっぱい!ここはいるかも!」「黄色い街灯・・・うーん、徐行しながら見るか。」といった具合に、非常に効率的に行動でき、次々に進んでゆけるようになるのです。


更に、探し方のポイントですが、草むらがあるなら、そこも探すべし!とベテランの方に伺ったのですが、実際問題、素人には、ほぼ無理です。
だって、草むらに隠れられたら、まず、もう、見つかりませんもの・・・
私が感じた、特にポイントが高い場所は、その街灯の明かりが及ぶ範囲に排水溝があれば、その中。うっかり落ちこんでしまったクワガタなどが、ここで見つかる率が非常に高いのです。
あと、虫は物陰によるのが好きなのですね、縁石があれば、そこの影にも潜んでいます。
街灯の光が及ばないくらいの場所では、もう、見つかりません。光が届く距離内を鷹の目になって探すのです。
一度、探した場所も時間をおいて探すと、後で飛来してきたものが見つかることがよくあります。実際、5分間後にきたパーティに、まさに今まで私たちが探していたその場所で、大きなミヤマクワガタをゲットされてしまったこともあります。行きによいと思われるポイントが多発していたら、帰りも折り返し、見てみるといいかもしれません。
あとは山から山にかかる橋で、周囲に街灯がなく、その橋そのものに電灯がついている場合・・・タコトレでした。なにしろ、これは凄いライトトラップになりますから。橋をあっちからこっちに歩くだけで、手に持ちきれないくらい、いろいろな虫が採れました。
主なポイントはこれくらいですが、最後に一つ。
山の中はガソリンスタンドが殆どないので、灯火採集をやる前には、麓で必ず満タンにしてからにすることをお忘れなく。


これを書いていると、あのときの感動が脳裏に鮮やかに思い出されて、身内が震えるほどの思いがこみ上げてきます。
2004年の夏は、体を壊して採集どころじゃなかったけれど、次の夏には、また、あの興奮を味わってみたい。
青白きブリードルームの中から飛び出して、もう一度、自然の光の下で虫たちを見つけてみたいものです。
Let's 昆虫採集!

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