BFJ (ブリティッシュジャズ=英国ジャズとほんの少しのニュージーランドジャズ) ホームページ ITEM 2-79-SP

クリス・マグレガーとその周辺ミュージシャンの南アフリカにおけるレコードリリースに関するメモ


英国ジャズ界に大きな足跡を残した、クリス・マグレガーをはじめとするザ・ブルー・ノーツのメンバーや、その周辺の南アフリカ出身のミュージシャンたちが、1960年代中頃に祖国を離れる以前に、現地でどのようなアルバムリリース活動を行ったかについては、私にとってはほとんど闇の中である。
90年代に入って、OGUNなどから「未発表もの」としてリリースされた、ザ・ブルー・ノーツのアルバムは、当時(1964年)の演奏を収録した貴重なもので、これらは現在でも比較的容易に入手できるが、では、南アフリカでは、「リアルタイム」に如何なるアルバムが、リリースされていたのだろうか。「60年代もの」、「南アフリカ盤」ということになると、その「レア度」は相当なもので、資金源に乏しい一介のアマチュアコレクターにはそうそう手が出ない。
と、いうわけで、結論からいってしまえば、オリジナルの現物には今に至るも1枚たりともお目にかかったことがない。そんなわけで、「景気のいい話」はもとより不可能なのだが、本件に関連した作品を以下に紹介することにしよう。

1991年頃に、南アフリカの「メジャーレーベル」 GALLOTONE の傍系レーベル TEAL から、"AFRICAN HERITAGE" と銘打たれた一連のシリーズとして、60年代の「南アフリカもの」のアルバムが再発された。(たぶん)CDとLPの両媒体でリリースされ、その全貌はよく分からないが、カタログ全体では10枚以上のアルバムがリリースされたようだ。ちなみに、この中にはミリアム・マケバのような、メジャーなミュージシャンの作品も含まれている。
このシリーズの中で、「ザ・ブルー・ノーツ周辺ミュージシャン」が参加した次の3枚のアルバムを見つけた。
1. CHRIS McGREGOR & THE CASTLE LAGER BIG BAND - JAZZ THE AFRICAN SOUND (TEAL TEL 2300) (1963)
2. GIDEON NXUMALO - JAZZ FANTASIA (TEAL TEL 2301) (1962)
3. VARIOUS MUSICIANS - COLD CASTLE NATIONAL FESTIVAL MOROKA-JABAVU 1962 (TEAL TELCD 2302) (1962) (CD)
1は、以前からその存在が知られていたアルバムで、マグレガーの率いるビッグバンドのライブ演奏である。プクワナ、フェザなど参加。オリジナルは、"GALLOTONE NSL 1011"(スリーブ写真 1a)。
2は、リーダーのピアノと、アルトサックス2本、ベース、ドラムスからなるクインテットの演奏である。アルトはプクワナと、南アフリカジャズ界の常連KIPPIE MOEKETSI、ドラムスは後に、主に欧州で活動し、ENJAからリーダーアルバムもリリースしたMAKAYA NTSHOKO。オリジナルは、当方のメモには、"RENOWN NLP 233"とあるが、わが事ながら出所が不明で、真偽のほどは確かめられない。
3は、ジャズ祭のオムニバスアルバム。クリス・マグレガー・セプテットの演奏のほか、プクワナやフェザの参加したグループの演奏が収録されている。オリジナルは、"GALLOTONE NSL 1010"だと思うが。


[スリーブ写真(1aを除く)をクリックすると、録音データなどが別ウィンドウで開きます。]

01. - C.McGregor & The Castle Lager Big Band-Jazz The African Sound ***** 1a. - C.McGregor & The Castle Lager Big Band-Jazz The African Sound -original ***** 02. - G.Nxumalo-Jazz Fantasia ***** 03. - Various-Cold Castle National Festival Moroka-Jabavu

(2007年10月)


[ 2011年4月25日追記 ]
南アフリカのレコードリリースについて詳細に記述されたサイト( http://www.flatinternational.org/ )を見付けた。[ 同日閲覧 ]
上記アルバムについてもそのオリジナルジャケットの写真などを含めて詳しく紹介されている。


[ 2016年1月22日追記 ]
1 が Jazzman Records より、LP, CD により、1a のオリジナルスリーブ仕様で再発された ( Jazzman JMANLP/CD 080 ) 。


[ 2020年8月4日追記 ]
1968年ロンドン録音、1969年に南アフリカのみでリリースされたというドゥドゥ・プクワナ・アンド・ザ・スピアーズのアルバム 4 が、 1969 年録音の未発表のアルバム 1 枚を加えたダブルアルバム 4a としてこのほど再発されたので紹介しておきたい。オリジナル盤のレア度はかなりのもののようで、オークションサイトなどでも取引の記録が見当たらない。
参加メンバーは言わずと知れた人たちばかり。大歓迎の再発だ。
プクワナのスペルがいつもと違うね。
4. DUDU PHUKWANA AND THE "SPEARS" (QUALITY LTJ-S 232) (1968) (未見)
4a. DUDU PHUKWANA AND THE "SPEARS" (MATSULI MUSIC MM 115) (1968, 69) (2LPs)


[スリーブ写真をクリックすると、録音データなどが別ウィンドウで開きます。]

04. - D.Phukuwana And The Spears (Quality) ***** 4a. - D.Phukuwana And The Spears (Matsuli)