第8日(5/8)イケアでお買い物
Y子さんのベッドを息子と二人で使わせてもらい、ぐっすり眠って目が覚めたのが6時くらい。
今日もすばらしいお天気。彼女が立ててくれた行動予定では、今日はマルメの近くにある
イケア(IKEA)に行くことになっています。イケアは日本で言えばホームセンターのような
大規模な家具、雑貨、インテリアのお店だそうです。北欧といえば物価が高いというのが
まず浮かぶ印象でしたが、ここはすごく安いとのこと。興味津々です。Y子さんのアパートは
すっきりものが少ないシンプルなインテリアで、イケアで調達したものが多いと聞いて、
ますます期待が高まります。 まずルンド駅から電車でマルメまで行きました。車内で検札が来たので、Y子さんに「切符持って くれてますよね」と言うと、「買ってすぐに渡しましたよ」。えー?ほんと?焦って探す私。 ルンドで自分で払おうとしてお財布を出し、Y子さんが買ってくれたので結局お金は出さなかったのは 覚えていたのですが、切符を渡されたことは全く覚えていません。入れるとしたら財布以外にないけれど、 こちらの切符はまるでスーパーのレシートみたいなペラッとした紙切れで、実際レシートでいっぱいの 財布の中から探し出すのはやっかいです。私ががさがさと財布をあさっていたら、検札のおじさんが 「これじゃない?」と指さしてくれました。あったー!さすが車掌さん。 あとから聞いた話によると、万一検札の時に切符や定期券を持っていないと、問答無用で 6000円くらいの罰金を取られるとのこと。どんな泣き落としも聞かないそうです。その場に お金がないと、振り込み用紙を渡されるそうです。見つかってよかった。 マルメからはバスに乗ります。ここでも、電車の切符でそのままバスに乗れました。 このシステム、すごく便利ですが、観光客は知らないでまた切符を買ってしまいそうです。 途中のバス停の名前に”セルシウスなんとか”というのがありました(半年以上経って 記憶が定かではないのです。ひょっとしたら、ルンドの駅からY子さんのアパートへ行く 途中だったかも)。セルシウスというのは、セ氏○度というときのあのセルシウスです。 スウェーデンの人だったんですね。その人とどんな関係のある場所なんだろう。 バスは郊外のがらんとした場所に止まりました。うーん、これは地元の人と一緒じゃないと 来るのは難しいわね。イケアはどーんと広い床面積でワンフロア見るだけでもたっぷり 1時間以上かかる感じ。こういうところが大好きな私はきっと1日いても飽きないことでしょう。 しかし、ほんとに安い!ステンレス製のキッチン用品なんか、日本で買えば倍近くするような 値段で出ている!持って帰れるなら買いたいよ!家具も組立がほとんどですが、シンプルで センスのいい物が安い。日本にもこういうのがあってもいいよね。聞くところによると、 実は日本にも進出したことがあるのだが、値段設定を高くしたためあまり売れなくて撤退した らしい。これで安いと言うところがミソだもの、そりゃそうでしょう。 ゆっくり見たいけど、子供にとっては面白くないわけで、「もう帰るー」を連発し始める息子。 気を引くために子供用品売り場に行ってみました。おもちゃも安い!とたんに興奮した彼が 「これ欲しい」といったのは、虫のカッコをしたテント。こんなの持って帰れないよ。 結局子供用のおままごとエプロンセットを買いました。保育園でお料理をするときに使わせよう。 どうしても実用品にいってしまう私です。あとは、持って帰れる範囲で日本とは微妙にデザインの ちがう小物類をいくつか買ってイケア巡りは終わりました。 お昼は、中のカフェテリア形式のお店で、 選り取りみどりのお料理がこれまた安い。タンドリチキンを選んだY子さんをならって私も。 えー、おいしいじゃない!酸味が効いててスパイシー。スウェーデンの料理は、南からの移民のおかげで おいしくなったとか。私が「この旅行で食べたスウェーデンらしい料理といえば、ホテルの朝ご飯の チーズやシル(ニシン)くらいだわ」というと、Y子さんは「実際それくらいしかないんです」と言います。 あとは昨日Y子さんが作ってくれた、「ヤンソン氏の誘惑」という名のジャガイモのグラタン。これは 紛れもなくスウェーデン料理とのこと。そういえば家にあるお料理の本にこれが載っていた。 命名の由来は宗教上の理由でお魚を食べられないヤンソン氏もあまりのおいしさに誘惑に負けて食べてしまった ということらしい。アンチョビが入っているのです。このアンチョビ、すごくしょっぱいというのが 日本での常識ですが、スウェーデンにはなんとお砂糖で甘いアンチョビもあって、こちらの人は 甘いので作るんだそうです。Y子さんによると、この甘いアンチョビで作ったヤンソン氏は まず日本人の口には合わないそうで、昨日はしょっぱい方のアンチョビで作ってくれました。とっても おいしかった。息子も喜んで食べていました。
帰りもバスに乗るためにバス停に向かうと、小さなカラスが寄ってきました。こちらのカラスは
真っ黒じゃなくて、頭がグレーでなんだかおしゃれ。生き物が好きな私はついカメラを構えてしまいます。
あ、いまいちうまく撮れなかった、もう一枚とやっているうちに、フィルムが残り少なくなっているのに
気がつきあわてて自制しました。最後のフィルムなのです。大事に使わなくちゃ。実は、ストックホルムで
デジカメの方が調子悪くなってしまいました。新しい電池を入れてもすぐ電源が切れてしまうのです。
兄のお下がりのカメラなのでもう寿命かな。あっちならもっと撮れたのに残念。
ルンドまで帰ってきてアパートへ戻る途中、ケーキを買っていこうということになりました。 私がストックホルムの市場のケーキ屋さんで見たきれいな黄緑色にコーティングされたケーキが食べてみたい、 というと、それはプリンセス・トルタというケーキとのことです。おいしいケーキ屋さんがあるから そこに行こうと、急ぎました。こちらは閉店が6時くらいなのでぼーっとしていると買い損ねて しまいます。最初にいった店では、生ケーキ類はすべて売り切れでがっかり。焼き菓子でがまんしよう とも思うけど、やっぱり諦められない。もう1軒あるのでそっちへ走ります。あった!1個だけ プリンセル・トルタが!息子も自分で選んでいそいそと帰りました。 アパートに帰って、息子がソファでごろごろしていると、ズボンのポケットから小石がいっぱい 出てきました。公園で散歩したときに地面に転がったりしたので、入り込んだみたいです。 そういえば、息子が落ちているものを拾ったりするのをみてY子さんがつい「そんなの触ったら きたないよ、○○ちゃん」と呼びかけていたのですが、○○とは彼女の旦那様の名前なのです。 今は日本に帰国している旦那様としか、家では話す相手がなかったので癖になってるみたい。 そのあとも何回か間違えて息子に○○ちゃん、と話しかけていました。 そこらじゅうに石をばらまくわけにもいかないのでズボンを脱がせて、ベランダで逆さにして 振りました。すると、何か石より大きいものがポケットから転がり出て、カランカランと 下のベランダに落ちていきました。あ、まずい。息子がスカンセンで拾って大事にしていた 瓶の王冠が落っこちたのです。息子はそれを知ると目に涙を浮かべて、切なそうに 泣き始めました。これは、見つけないわけにはいかないじゃない。さっそく階段を下りて 探しに行きました。ベランダから顔を出してもらって、このあたりかな、というところを 見ても、ない。しょうがないから、落ちていた別の王冠を拾って上に掲げて見せると、 息子は「ありがとう!」。でも、この王冠、車にでも踏まれてちょっとすり切れてるんだよね。 気がつくかなぁ。 上に上がって見せると、やっぱり違うことには気付いたみたいだけれど、一応私に 遠慮したのか、それ以上ぐずるのはやめてくれました。
さて、今日もY子さんの手料理でおいしい晩ご飯。Y子さんはお料理上手だし、作ってもらうご飯は倍おいしい。
幸せ。さらに、今日イケアに行く前に市場に行って買っておいたムール貝をワインで蒸したら、えもいわれぬ
おいしさ。でも、3人ではとても食べきれない量あります。出来立てのおいしいうちに誰かに食べてもらいたい
ね、とY子さんのお友達のルンド在住の日本人の女性に電話をしました。すぐ取りに来るとのことです。
おしゃべりしているうちにふと気がつくと、もう9時を回っています。「下にベルがあるの?」と何気なく
Y子さんに聞きました。だって、9時以降は鍵が閉まっちゃうから開けてもらわないと部屋の前まで
こられないはずでしょ。「ないですよ...。あ、そうだ!」あわてるY子さん。もうとっくに来ていていい時間です。
急いで降りていくY子さんに「電話がかかってきたら取って下さいね!」といわれ待機していると、
やっぱり電話が。相手がスウェーデン人だったら困るところだった。一度お家に戻って電話をしてきたらしく、
事情を話したら、もう一度来るとのこと。無事にムール貝を渡して一件落着しました。
Y子さんはスウェーデン語を習っているクラスでルンド在住の日本人やそのほかの国の人たちにいっぱいお友達が いるので、町を歩いていてもすぐ知り合いに会います。市場に行ったときも何人もの人とご挨拶。 ルンド生活を生き生き楽しんでいるのがわかり、こっちまで嬉しくなってしまいました。 プリンセス・トルタのコーティングはお砂糖のペーストで、ものすごく甘かったけれど、中は思ったより
しつこくなくておいしかった。好奇心が満たされて満足。明日は帰国です。
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