第4日(5/4)X2000でストックホルムへ
今日は、ストックホルムへ向かう日です。交通手段としてはコペンからの飛行機という手もあったのですが、
鉄道の方が途中の景色も楽しめるし、空港で待つ時間とストックホルムで空港から中心部へ出る時間を
考えると大して違わないかな、ということで、スウェーデンの新幹線、X2000に乗ることにしました。
このチケットはスウェーデン在住の知人に3月に買ってもらい、彼女が一時帰国したときに
受け取っていました。週末割引(金曜は週末なのです)で、片道大人一人670クローナでした。4時間半乗って
日本円で8400円くらいとはずいぶん安い。しかも、5才の息子の分はただなのにちゃんと指定席も
確保されているのです。スウェーデンも日本同様(日本より早く)少子化に悩んだ国だから、
子供への優遇が多いのかな。
今日のお天気は曇りで、車窓の風景もあまりスカッとは見えないのですが、田園風景あり、森あり、
湖あり、でなかなか楽しめました。実は、X2000は日本の電車と違う「振り子式」とかいう
構造で、独特の揺れ方をするので酔いやすい、と聞いていました。夫があまり乗り物に強い方では
ないので一応酔い止め薬を持ってきていました。結局飲まなかったのですが、全然酔いませんでした。
心配して損しちゃった。実際、どう揺れ方が違うのか私にはわからなかったし。
私たちの指定の席はボックス席のように向かい合った4人席で、真ん中に結構広い折り畳みの テーブルがあり、社内の売店で買ってきたパンなどを食べるのにとても便利でした。 機内食も含めてこのときまで食べた経験で、マヨネーズであえたサラダはおいしい、という 思いこみがあり、売店でパスタサラダを買ったら、これが大失敗。味は薄いし量は多いし、 おまけに、ちょっと付け足しに食べようと思っていたのに、パンが付いてきて、 お腹はぱんぱん。サンドイッチはどれもおいしいのになぁ。息子は、シナモン風味の 渦巻き型パンが気に入って、この後どこへ行ってもカフェではこれを食べていました。 さすがに4時間半は長く、車窓を眺めているうちにすっかり眠くなり、親子共々ぐっすり 寝てしまいました。途中起きると、前の方の席に赤ちゃんを連れたお母さんが乗ってきました。 その赤ちゃんがこちらを見てニコニコ笑うのがあんまりかわいいので、息子用に 持ってきたポケモン折り紙で風船を作って渡してあげました。お母さんもにっこり笑って 「ありがとう」。ストックホルムに着いたとき、その赤ちゃんの近くを通ると、 お母さんが「こんなに素敵になっちゃったわ」 とよだれでべちゃべちゃになった風船折り紙を見せてくれました。 ところで、あちらのベビーカーはものすごく大きくてがっちりしているのに驚きました。 日本のベビーカーはひたすら軽くてコンパクト、というのが追究されている感じですが、 向こうで見たのは、車輪も大きく、本体はステンレスでパイプも太く、いかにも重そう。 どこへ行ってもエレベータやエスカレータが整備されているし、階段には必ずスロープ があるというのが、これを使える理由でしょう。とっても頑丈にできているらしく、 空港の荷物ターンテーブルに、折り畳んだベビーカーがベルトコンベアからガッチャン!! と飛び出してきたのにはびっくりしました。スーツケースと一緒に運ばれても大丈夫なのね。 X2000は市の中央駅に直接着くので、そこからすぐに地下鉄に乗れるのが、やっぱり飛行機より 便利です。ストックホルムのアーランダ空港は空港直行の特急列車で中央駅から40分くらい。 ちょっと距離があります。 ストックホルムは、曇っていてものすごく寒い!風も強くて真冬並です。 南部スコーネ地方とのあまりの差にちょっとびっくり。私は中綿のブルゾンを持っていって いたのですが、それでも中に厚手の物を着ないと心細いくらい。 「うーん、北欧に来たのだな」と実感がわきます。 ホテルは中央駅から地下鉄で一駅のエステルマルム駅から徒歩1分にありました。 私の最大の関心事は「夜静か?」ということです。ホテルのフロントはやはり若い女性 でした。赤毛で目のぱっちりしたかわいらしい人です。流れるようなBritish Englishで 「ツインの部屋をご予約ですね。それから、your beautiful childのためのエキストラベッド も承っております」とにこやかに迎えてくれました。エレベータは手で扉を開けるタイプで、 目的の階に着いたのに押しても開かなくて焦りました。どうも、中途半端な位置で箱が止まって しまったらしく、もう一度1階に戻ってやり直したらちゃんと開きました。部屋に入ってみると 内装はどうということないのですが、中庭に面していて静かさはバッチリ。助かった! ここで息子が、「さっき、僕のことおぼっちゃまって言われたね」といいます。 え?フロントで?そんなこと言ってないよ?...しばし考えた結果、"your beautiful child" が「おぼっちゃま」に聞こえたんでは、と思い至りました。あのとき、彼女は息子の方を 見ながら言ったので、彼は自分のことを言われたとわかったのでしょう。偶然同じような意味の 言葉に聞こえたというのも、なんだかおかしい。 もう6時(といっても外は明るい)なので、晩ご飯を食べに出なくてはなりません。 息子の希望を優先しようと聞いてみると「ラーメンやさんがいい」。むむむ。 中華料理屋ってこと?北欧まで来て中華食べるのもなぁ、と思いつつも、聞いてしまった手前 今更だめとも言えず、ガイドブックにあった中華料理屋へ行きました。スープから始めて 何種類か頼んだ料理は結構おいしくて、まあ当たりかな、と思っていたところに、 中華麺が出てきました。む、これってインスタント?スープはいいんだけれど、麺は どうみても油で揚げたインスタント麺。えー、ひどーい。日本だったらどんなに安いラーメン屋でも これはないよなー。この麺ならいっそスープもインスタントの方がいいかも。とショックを受けながら も貧乏性の悲しさ、食べてしまう自分がちょっと情けない。 食べ終わって、ぷらぷらしながらホテルまで帰りました。町並みはコペンハーゲンよりずっと すっきりしていてきれいでした。石造りの建物に、大きな木の扉、扉にはどれも美しい彫刻が ほどこされています。古い建物がほとんどのようでしたが、どの扉の横にもおそらくオートロック と思われるテンキーのついたパネルが埋め込まれていました。あの石の壁にどうやって配線を 通すんだろう、とちょっと不思議に思いました。ホテルに帰る途中には、刺繍の店、インテリアショップ、 キッチン用品店、ブティック、etc.とウインドウを眺めるだけでうっとりするようなお店がたくさん。 「明日はここでいろいろお買い物だー」と浮き浮きして帰りました。 ホテルの中庭の向こう側はどうやら普通のアパートのようでした。こちらに来て気がついたことですが、
窓にカーテンを引いていない家が多いのです。ここでも、夜はこちらから向こうの部屋がしっかり見えて
しまいます。キッチンで何か作っているのやリビングでテレビを見ているのが見え、しかも、窓際は
キャンドルやランプできれいに飾ってあるので、つい見てしまうのですが、これって覗きかしら?
本当は双眼鏡で見たいくらいでしたが、さすがにそれはまずいでしょう(それに持ってもいなかったし)。
夜はほぼ完璧な静かさの中で安らかに眠れました。 |