第3日(5/3)お城ホテルでピクニック

早朝に目が覚めて窓の外を見ると、ホテルの前の芝生に子連れの水鳥が湖から上がってきて餌をついばんでいます。 親の後をチョコチョコついて歩く雛がかわいい。

  
ホテルで飼われていた猫
このいすが指定席らしい

朝食は、ビュッフェでハム、チーズ、シル(ニシンの酢漬け)、 レバーパテ、各種のパン、シリアル、ヨーグルトと盛りだくさんでつい食べ過ぎてしまいます。わけあって ヨーグルトを絶っていた息子も、おいしそうなイチゴヨーグルトに魅せられてどうしても食べたいというので 「まあ、いいか」と取ってやりました。このせいで、後で苦労する羽目に...(ストックホルムで判明します)。

せっかく湖があるのだからボートに乗りたい。と、フロントで聞いてみました。"No problem! OK!" との返事 です。はい、で、どうすればいいのかしら。朝見たときにはボートは岸に引き上げてあり、これを自分で 水上に引きずり出せってことだろうか。こちらの人はこのくらい自分でやるのが当たり前なのかなぁ。 いろいろ考えた末に、とりあえずやってみてだめだったら助けを求めよう、と覚悟を決め湖畔に出ました。 すると、なんのことはない、ちゃんとボートが桟橋につながれてライフジャケットまで準備してありました。 そういえば、さっきフロントで聞いたとき、外から入ってきたおじさんにフロントの人が何か言ってたのは、 これを頼んでいたのか。さっきの覚悟はなんだったんでしょ。

3人でボートに乗り込んでいざ出発。湖には小さな島が2つある。その島の向こう側に行ってみよう。 日本で乗ったことのあるボートでは、確かオールにツバのような物が附いていて、 手を離してもオールが落ちてしまうことはなかったと思うのですが、ここのオールはただの棒です。 これを流したら、手で漕ぐしかありません。絶対落とさないでよー、と夫に釘を刺し、漕ぎ出しました。 雲一つない青空に、静かな水面。水面を渡って聞こえてくる水鳥の声。風は少し冷たいくらい。 時々、雁のような大型の鳥が飛んでいくのが見えます。あれを見ていると、ニルスが雁の群と一緒に 旅をするというあのお話がとても現実味のある物語に思えてきました。


ボートから見たホテル
  

島に近づいてくると、急に水深が浅くなり、木の根っこにオールがぶつかり始めました。 ここで座礁したらにっちもさっちもいかなくなります。あわてて深い方に進路変更。 2つの島の真ん中を通って向こう側に抜けました。島を回り込むと、お城ホテルの向こう側の 小高い丘の柵の中に茶色い馬がいるのが見えました。後であそこに行ってみようね。 しゃべっていると、どこからかこだまが帰ってきます。息子は、「だれかいるよ!」 と不思議そう。島に向かって叫んでごらん。「やっほー!」「ヤッホー ッホーホー」、「まーくん!」 「マークンアークンクン

ひとしきりこだまと遊んで、桟橋に戻りました。少し近くを歩いてみることにしました。 このあたりはオリエンテーリングコースにもなっているらしく、あちこちにオリエンテーリングポストが 設置してあります。遊歩道もあり、個人の所有地も入り組んでいるので看板で注意を促しています。 さっきの馬の丘は個人の土地のようで、すぐ近くまではいけませんでした。柵の脇にあった、おそらく別荘であろう その素敵な小屋までは道路からランプで飾られた小道がつけてあり、夜になるとそれが瞬いて 極めてロマンティックな雰囲気を醸していました。

遊歩道を林の中へ入っていくと、小さな流れがあり、その向こうに突然2頭の鹿が現れました。 こんなに簡単に野生の鹿に遭遇するとは!カメラを持っていなかったのが悔やまれました。 鹿はこちらをじっと見、しばし立ち止まっていましたが、そのうち軽やかに跳ねてあっという間に 木立に消えました。ちょっと幸せな気分になりました。

ホテルに戻ると、朝頼んであったランチができていました。バスケットに詰めて持ち運べるように してくれています。私は、外でピクニックランチ、と浮き浮きしていたのですが、息子は歩き疲れたのか 「外で食べるの、いやだ」とだだをこね始めました。もう、せっかくのランチなのに! 遠くまで行くのは諦め、ホテルのすぐ近くの草地でバスケットを開けました。なんてかわいらしいんでしょ。 中に入っていたのは、地面に敷くクロスに、カレー味のグリルチキンを挟んだバゲットサンド(これが、 すばらしくおいしかった!)、トマト(丸ごと3個)、ジュース、ミルク。グリルチキンがなぜか串刺しで パンに挟まっていたのと、ミルクが蓋の開いた1リットルパックだったのはご愛敬。とにかくおいしくて 楽しいランチでした。

ランチバスケット

午後は部屋で一休みし、また近くをぶらぶらしているうちに夕食の時間となりました。今日のメニューは ラムです。普通ラムの骨付きといったら骨1本分だと思うのですが、一切れが2本分で厚さ3センチはある ラムが二切れ出てきました。上にはタイムが乗っていて、ソースにもハーブがたっぷり。 柔らかくて、ちっとも癖がなくおいしい!息子には大人のディナーは量が多すぎるので、スープと デザートだけ頼んでいたのですが、ラムを分けてやろうと思ったら、昼に歩き回ったのが今頃効いてきたのか なんとテーブルに突っ伏して眠ってしまいました。私たちのテーブルの近くを通るレストランの給仕の人や 他のお客さんがそれを見て「あらあら」という風に笑っていました。ホテルのレストランとはいえ、 こぢんまりとした気取らないところなのでよかったわ。

食後に一人でお散歩に出てみました。ルンドの知人から、スウェーデンにはハリネズミが多くて公園などで 普通に見られると聞いたので、ひょっとして、と期待して。道の脇の土手の枯れ葉の積み重なった下から なにやらカサカサと音がします。ずーっと音がしているんだけど、見えません。葉っぱを動かしたら逃げちゃう だろうなぁ。薄暗くなっていく中、じーっと見つめていたけれど結局出会えませんでした。 草地にたくさん咲いていた小さな白い野生のアネモネは、日が暮れると閉じてしまっています。 ホテルの方に帰ろうとすると、数十メートル離れた道の向こうに何かが動くのが見えました。人かな、と思ったら ぴょん!と跳躍して湖の方に駆けていきます。鹿だ!今度はカメラを持っている!と、構えたところに、 ブーッと車が通ってせっかくのシャッターチャンスを逃しました。でも私の前で、ほの暗い空の下の 湖をバックにぴょーんと跳んで、くっきりとシルエットを目に焼き付けてくれました。

左:昼間のアネモネ
右:夜


明日でここともお別れです。

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