第2日(5/2)コペンハーゲン-Ystad-お城ホテル

ほとんど寝られないまま迎えた朝、それでもさほど疲れた感じがしないのはちょっと興奮しているせいかも。 息子は夕べ早めに寝たせいか、5時頃に起き出しました。朝食まではまだだいぶあったので、町をお散歩して みることにしました。さて、顔を洗って化粧をしようとポーチを開けると、なんと口紅がありません。出発当日の朝使うものは 忘れがちなので、わざわざメモしてテーブルに置いておいたのに忘れてしまったのです。しかも、成田の 免税店で同じものを安く売っていたのに、「口紅1本使い切るまで相当かかるし、今買わなくてもいいわよねー」 と素通りしてしまいました。

普段あまり化粧にこだわる方ではないのですが、さすがに口紅がないと締まらない顔になってしまいます。 写真だって撮られたくありません。今日から2泊するお城ホテルはおそらくなんにもないところにあるので、 コペンで買わなくては。

早朝のコペンハーゲンの町
朝なのに車のライトが点いています。
獣の目みたい。
電柱から渡したワイアにぶら下がっているのは街灯かと思ったけれど、夜も点いていなかった。なんだろう?

とりあえず半端な化粧で散歩にでました。まだ早朝のせいかほとんど人は歩いていません。近くに公園があったので 入ってみました。犬の散歩をしている人が1人いるだけです。こちらの気候は、日本(東京)でいうと3月始め くらいでしょうか。水仙が満開。チューリップはどれもつぼみが堅くてうっすらと色が差し始めているというところです。 木々もやっと芽が膨らみ始めたばかり。あと1ヶ月もすれば新緑がきれいなんだろうなぁ。

聞いたことのない鳥の声がいっぱい聞こえます。そういえば、夕べは夜暗くなってからも鳥の声がしていました。 鳥は昼間鳴くもの、と思っていましたが、ヨーロッパにはナイチンゲールなんていう鳥もいたんだった。 あれがナイチンゲールかどうかはわからないけど。

公園には池があって、白鳥がしずしずと泳いでいます。池の向こう岸に人が3人いるのが見える、と思ったら いきなり”Good Morning!! Sayonara!!”と叫ばれました。こんな遠くからでも(結構大きな池です)日本人て わかるのかしら。そして、3人のうちの一人の男性(残りは若い女性でした)がいきなり服を脱ぎ捨て (全部です、上も下も)、池にじゃっぽんと飛び込んだのです。ああ、目が悪くて良かった。 3月始めの気温を思い出して下さい。はっきり言って冬です。酔っぱらってたのかなぁ。

見えにくいけど、
左の下の方の岸の近くにいるのがくだんの男性。
白鳥たちが様子を見に近づいていくのがおかしい。

白鳥たちは「なんだなんだ、こいつは」という感じでその男性の方に近寄っていきました。それに向かって カメラを構える息子。その男性はそれに気づいて"おーーい"みたいなことを叫んでいます。コペンハーゲンは 最近治安が悪化していて麻薬中毒者も多いと聞いていたので、なんだか怖くなってしまいました。 そうそうにそこは切り上げて、彼らに鉢合わせしないように回り道をして帰りました。ただの気のいい若者 だったのかもしれないんですけどね。
コペンハーゲンのホテルの部屋
ベッドの幅が狭い!
あちらの人はこれではみ出さないのだろうか?

ホテルに帰り、朝食を食べてから、買い物です。店はほとんど10時からしか開かないので、その前に 市庁舎を見学することにしました。市庁舎はチボリのすぐ東側にあります。がっちりとした煉瓦造りの建物で、 自由に入って見ていいようでした。中の螺旋階段の下で息子がデジカメを構えて私と夫を撮ろうとしていたら、 通りがかった男性が「撮りましょうか?」と言ってくれましたが、「彼は自分で撮りたいんですよ」と言うと、 笑って納得してくれました。この庁舎は100年ほど前に建てられたものですが、趣のある廊下からドアの中を のぞくとパソコンが並んでいて、古い建物を残しつつ、ちゃんと現代の仕事ができるようにするのが ヨーロッパなのかな、と思いました。日本には見学するに値する自治体の庁舎があるだろうか?
左:市庁舎正面
右:庁舎脇の花壇

開店時間が近づいてきました。実は、「せっかくコペンに行くのだから、ロイヤル・コペンハーゲンとジョージ・ ジェンセンの本店に行きたい、でも時間がないかも」、と半分諦めていたのですが、口紅が買えそうな デパート(イルム)がすぐ近くだったのでついでに寄ることにしました。口紅を買って、両方の店にも 入ってみましたが、どちらも日本より安いとは言え基本的に高級品なので、つい貧乏性が出てしまい、 結局何も買わずじまい。

ここで再び忘れ物に気づいた私です。デンマーククローネは成田で5000円分しか両替していなかったので、 旅行前に口座を作ったシティ・バンクのカードでおろそうとATMの前に立ち、財布を捜したら...あれ、ない。 いくら探してもありません。まだ1度も使ってないのに。結局見つからず、クレジットカードのキャッシングに 急遽切り替えました。まさか落とした?ちょっと冷や汗が流れました。(結局帰国したら自宅のウォールポケットに 入っていました。そう、私が入れたのです。無意識に。)

チェックアウトしたら、スウェーデンに向かって出発です。駅の窓口でYstadまでの切符を買いました。 途中、マルメでスウェーデンクローナに両替をするつもりだったので、途中下車しても大丈夫かを聞きました。 基本的には改札がないので途中下車にはなんの問題もないのでした。さて、どこから乗ったらいいのかな、と ホームの案内を見ても、そもそもどこ行きに乗ればいいのかがわかりません。うろうろしたあげく、DSB(デンマーク の国鉄)のユニフォームを着たおじさんに聞いてみました。ところが、身振りで「わかんないよ」と いうのです。仕方なく、さっきチケットを買った窓口へ行って聞いたら26番線とのこと。ホームの方に戻ると さっきのおじさんがモップで掃除をしていました。駅員さんじゃなかったのね。夫が「見るからに駅員て 感じじゃなかったよね」と今頃言います。でも、鉄道関係者ならわかると思ったんですもん。たぶん、英語が わからなかったんでしょう。

26番ホームは、別のホームを通り抜けた先にあります。距離はあるけど、とにかくこちらの駅は必ずエレベータ かエスカレータがあるので、大荷物をもった旅行者には大助かりです。コペン中央駅からマルメまでは 電車で30分ほど。国境の海を渡って、あっけないほどすぐに着きます。途中検札があっただけで パスポートのチェックも何もなし(スウェーデン在住の知人によると全くランダムにパスポートチェックがある とのことです。麻薬捜査犬が乗ってくることもあるとか)。ところで、このあと何回か電車に乗り、検札を受けましたが、 検札係がほとんどと言っていいほど女性だったのには少し驚きました。それに、ホテルのフロントも 過半数が女性でした。女性が外の目立つところで働いている、というのが北欧に入ってまず感じたことです。

マルメで両替をし、サンドイッチの昼食をとって、今度はローカル線でYstadに向かいます。ローカル線の ホームには、待合室から近いホームを端から端まで通り抜けないと行き着けません。出発時間まで余裕があると、 のんびりトイレに行っていた私たちは、最後はスーツケースと子供の手を引いて走る羽目になりました。 電車に乗ると結構混んでいます。やっと3席のうちの2つ空いているところを見つけて、座ろうとすると、先に座っていた 中年の女性が、息子に隣においで、と手招きしてくれました。ところが、息子は恥ずかしがって尻込みしています。 どうしても座ろうとしないので、女性の隣には私が座りました。途中、広々とした田園風景を見ながら1時間ほど 乗ってYstadに到着です。

Ystadは港のある町です。お天気はすばらしく、町並みがとっても明るくてコペンとはずいぶん違う雰囲気です。 時間があるのでしばらくこの町を見てみることにしました。観光案内所で聞いてみたら、スーツケースを 預かってくれる(といっても、案内所の隅に置いていっていい、ということですが)というので、荷物を 置いて出かけました。かわいらしい家の並ぶ裏通りはほとんど人通りがなくほんとに静か。家々の戸口の 脇には、必ずと言っていいほどバラが仕立ててあります。まだ葉っぱも出ていないただの棒ですが、これも あと一月もすればきっときれいに咲きそろうのでしょう。ある家の前で、老夫婦が伸びた蔓バラを剪定しよう としていました。おばあさんが脚立に乗って蔓を切ろうとしています。それにカメラを向けた息子を見て ふたりで照れていました。デジカメで撮った写真を液晶画面で見せてあげたら、ニコニコして「旅行者? あっちにカトリックの教会があるから見てくるといいよ」と教えてくれました。
バラの手入れをする老夫婦
おばあさんの腰を支えているおじいさんの手が優しい

その教会は、たいそう素朴な雰囲気で、外側は白い壁に不揃いな石が埋め込んであり、中はすべて木造でした。 スウェーデンでのカトリック教会の位置づけというのはどういう物か知りませんが、あとで見た同じ Ystadの聖マリア教会に比べても格段に素朴な感じでした。うんと新しいのかもしれませんが、説明が なかったので、そして人もいなかったのでわからないのが残念でした。
カトリック教会(名前を忘れてしまった)の内部(左)、外側(右)

観光案内所に戻って、タクシーの乗り場(事務所)を聞いて行ったのですが、閉まっています。うーん、どうしよう。 入り口にインターホンのような物があるので受話器を取ってみました。いきなり、つながりました。 あわてて"Hello"と言うと、英語で返事が返って来て、ほっ。10分ほどで来るというので待つことにしました。 やってきたおじさんが、事務所の脇で座っていた若い男性に声をかけました。なんだそこに運転手さんが いたんだ。Ystadからお城ホテルまではおよそ300クローナと聞いていたのですが、一応前もって確認しました。 250くらいです、との返事。よしよし、予定どおり。田園地帯は結構なスピード(90キロくらい?)で、 住宅街はぐっと落として50キロくらいで、極めて安全運転でタクシーは行きます。

お城ホテル、というと豪勢に聞こえますが、実際はこぢんまりとしたお屋敷をホテルに改造したものです。 大きな湖の畔に建っていて、ボート遊びもできるとのことでした。明日丸1日何して遊ぼうかな、と わくわくしながら到着しました。部屋は3階だったのですが、エレベータがない!フロントで「エレベータは...?」 と聞いたら「残念ながら...」と言われ、さらに「お手伝いしましょうか?」と言ってくれたのですが、 フロントは例によって若い女性で、やっぱり持ってもらうわけにはいかないわよねぇ、とエッチラオッチラと 螺旋階段をスーツケースを引きずりながら登りました。でも、あとで思ったけれど、あの女性は夫より 腕力があったに違いない。

部屋に入ってまず驚いたこと。すべてがピンクである。うーむ、このセンスはちょっといただけないなぁ。 でも、ベッドは十分な広さだし、静かさは申し分なし。窓からは湖も見える。まあ良しとしましょう。 ディナーはホテル内のレストランで食べます。メインはquailという鳥の料理。quailってなんだろう、 と思いながら鳩よりは小さく、雀よりは大きい鳥が丸ごと二羽横たわっている皿と格闘しました。 鳥自体はおいしいんだけど、骨が多くて食べにくいのです。さらに、中の詰め物はおそらく内臓 なのでしょう、相当癖があってちょっと苦手でした。でも、濃厚な味のソースに赤ワインがすごく合って、 ぐいぐい飲んでしまったので、食事が終わる頃にはちょっとふらふら。quailはあとで調べたらウズラでした。
左:ピンクの部屋
ベッドの上ではしゃぐ息子
右:ホテルの周りの湖

ディナーのスープ
近くの森で取れたキノコがたっぷり
キノコの香りが濃厚でとっても美味

食後はベッドに倒れ込んでしばらくお休み。うつらうつらするうちに「ビリビリビリ!!.....ビリビリビリ!!.....」 と異様な音が聞こえました。夢うつつのうちになんだろうと思っていると、なんと電話でした。とても電話とは 思えない音です。しかも、音と音の間の沈黙が異様に長いのです。そういえばホテルの予約をしようと 何回か国際電話をかけたときも、呼び出し音の間隔がすごく長いのでとまどったことを思い出しました。 その電話は、ルンドに住む知人からの安否伺いでした。今回の旅の最後に彼女のお宅におじゃますることに なっているのです。旅行前から風邪気味だった上に、ワインで頭がぐらぐらしている、さらに寝起きだったため、 ひどい声で電話にでてしまいました。でも、声ほどは体調は悪くなかったのです。実際、風邪は旅行中に治って しまいました。思いがけない電話になんだか嬉しくなって、その晩は期待通りの静けさの中でぐっすり休みました。

   

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