ベルさんはその生い立ちが前作から興味深かったのですが、
前作では謎は語られることなく、しかもシャロームは途中で消えて
しまうのでその辺りが消化不良に終わってました。
今回見られたイベントによると、ベルゼーヴァの元々の両親は普通の
人間でディンガル家の一員ではあったが地位は低く、貧しかったとの
こと。ザギヴもやはりディンガル家の出身ですが、ドルドラムによると、
バロルの圧政によりディンガル家の者でも厳しい生活を強いられて
いたようです。バロルは自分の娘でも殺してしまうくらいですから、
ディンガルにあっては皇帝一家に生まれたほうがかえって辛い人生を
送る運命だったのかもしれませんね。
ちなみにザギヴのフルネームはザギヴ・ディンガル。
ベルさんはベルゼーヴァ・ベルライン。
名字から判断するとベルさんの家は本流からは遠いようにも
思えます。
さて、貧しい生活を送っていた両親の前に妖術宰相ゾフォルが
現れます。ゾフォルは両親に、一夜だけ肉体を貸せば、その後の
地位と財産を保証する、とゲーム中のゾフォル爺さんを見ている人
なら到底信用できない話を持ちかけてきます。
両親はその言葉を信じシャロームに肉体を貸し、その結果生まれた
のがベルゼーヴァだと・・。しかしその時に強力な魔法をかけられた
のが原因でベルゼーヴァの両親は死亡。彼は言います。
両親は愚かだった。それとも弱かったのかもしれない。
あるいはその両方かもしれない。
いずれにせよ、弱さは大きな悲しみを生む、と・・。
いつも、4天王を「凡人に過ぎない」などと他人を辛らつに批評して
いるベルさんが、両親についてはその愚かさ、弱さを指摘しながらも
トーンが低いのが印象的でした。
両親への怒りはなく、ただ悲しみを感じているような・・。
自分を息子と呼ぶシャロームを軽蔑し、憎んでいるようですが、
これはやはりシャロームやゾフォルのせいで両親が死んだから
でしょうか。
私には、ベルゼーヴァは両親を愛しているように思えました。
たぶん顔も知らない両親を・・。
それとも、愛ではなくて哀れみだったのでしょうか。
ベルゼーヴァの人間らしい一面が意外でした。
そもそも、この話をしたきっかけが主人公に両親や故郷のことを
聞き、主人公を落ち込ませたのを気にして、ということなので。
私は旅先スタートで、父親のフリントも死んでしまい孤独。
その他のスタートでも、主人公は最初から孤児であるか、親は
いてもすぐに死んでしまうかで、家族には恵まれてませんね。
唯一、黄金畑スタートは弟がいるので嬉しいですが。
普段はなにやら主人公に文句を言ったり高圧的な態度を
取ったりのベルさんですが、このイベントでずいぶんこっちの
好感度が上がりましたよ(笑)。
ベルさんは特別何が他の人間と違うのか、というとよく分から
なかったりして。頭脳が優秀ってことでしょうか。
シャロームが乗っ取っても平気な肉体を持っている、というのも
ありますね。ゲーム中を見ると、彼自身は魔力が強いという
印象は受けないのですが・・。
もちろん、他の人間と違うのは何よりあの髪型だろう、という
突っ込みは忘れてません(笑)。あんなシリアスな世界観・キャラに
あの髪型・・・。ガルドランがトンガリ頭ならわかるけど・・。
顔グラでは辛うじてトンガリ頭はカットされているのでその真実の
姿を見るのは意外と難しいのです。
ベルさんは「人類の革新」を果たす、という野望だけはしっかり
義理の父(?)のシャロームの考えを受け継いでいて、もう決め
ゼリフはそれしかないだろう、というくらいに言ってくれます。
シャロームとは方法論が違っていて、シャロームはネメアを魔人の
出来そこないと評価していないのに対し、ベルさんは逆にネメア命。
2人とも無限のソウルを持つ者は評価してるみたいですね。
それならベルゼーヴァを無限のソウルを持つ者に仕立て
上げられればよかったのに、うまくいかなかったんでしょうか。
人工的に発生させるのは無理そうですが・・。これは何としても
ベルさんを仲間にしなければ、と思う今日このごろです(笑)。
シャローム
「汝に強力な資質を授けた余に対して、その口の聞き方とはな。」
なんだか反抗期の息子に手こずる苦労性の父親のイメージが
浮かんできて、思わず笑ったセリフです。ベルさんの生い立ちを
知ると、反抗するのも納得なんですが。
彼は「人類の革新」が人生のメインテーマですが、実は隠れ
テーマは「壁から脱出」でしょう(^^;)。古代の魔法王国ラドラスの
王で、人類の革新を成し遂げ、不滅の肉体を得るが世界の
バランスを保とうとする竜王に目をつけられ、魔道の塔の壁に
拘束されてしまいます。しかしそんな姿でも日々人類の革新を
目指して努力を怠りません。
魔道の塔に現れる者をかどわかして色んな悪事を働いてます。
ゾフォルの協力を得てベルゼーヴァを誕生させたり、主人公を
使って自分の封印を解かせたり。壁につながれていてもその
気力は衰えを知りません(笑)。
シャロームは世界のバランスを保つため、人間が超人的な力を
得るのを妨げようとする竜王打倒を目指して、またも主人公を
たきつけようとします。主人公、いいように利用されてます。
ベルさんもシャロームも無限のソウルを持つ者を評価してるけど、
シャロームの場合は「便利なもの」と利用価値の高さを評価し、
道具として見ているようです。
ベルさんの場合はそこまではなくて、無限のソウルを持つ者=人類の
革新をなし得る可能性のある者、として純粋に主人公個人を
評価しているように思えます。どちらも、「特別な能力」のみを評価し、
人間が普遍的に持つ力(逆境を耐え抜く力、困難を克服する力、
悲しみを乗り越える強い意志など)を評価できないのは不幸なこと
だと思いますが・・。無限のソウルを持つ者だって、ただそう生まれた
から力があるんじゃない。人間が本来持つ力を発揮し、周りの
人々にも力をもらって成長してきた。ただ生まれつきの力に
頼っているだけではここまで強くならないだろう、と思うのです。
みんなに支えられて今の主人公がいる、そう思いたいですね。
特別に優れているというわけではなく、あくまで自分の不断の努力と
他人を思いやる心でこうなった、と。
比較するのもどうかと思いますが、だからこそ同じ無限のソウルを
持つノエルはベルさんやシャロームからそう注目されていないの
では??ノエルのキャラ語りで書いたので繰り返しませんが、
無限のソウルを持っていても、それをどう伸ばせるかは個人の
資質や努力にかかっているんじゃないでしょうか。
ベルゼーヴァは主人公のことを「無限のソウルの資質を持つ者」と
たびたび呼びます。その資質を驚異的にまでに伸ばせたのが、
主人公だったのではないか。無限のソウルの資質を持っていても
伸ばせない者もいるし、平凡で終わる者もいる。あるいはその力を
他人に利用されてしまう。ノエルのように・・。それはそれで幸せ
なのかもしれないけれど、一歩間違うと大きな災いになりかねない
のは無限のソウルを持つ者の宿命ですね。
無限のソウルを持っていても、それを伸ばせるかどうかは普遍的に
人間が持つ力にかかっている。
シャロームはその辺を理解していたのか、もしくは理解しようと
しなかったのでしょうか。ベルゼーヴァはまだその辺の理解が
出来そうな余地があるのでいいんですが、シャロームが封印を
解かれ、ベルさんの体を乗っ取ってエンシャントの城門に現れた
時に不安を覚えるのは私だけではないはず。
シャロームに回復してもらうのもなんか抵抗が・・・。
EDは見ていませんが、複雑な気持ちになりそうですね。
単純な善悪では図りきれないからこそ、不思議な魅力を感じは
するのでしょうが・・。
私はまあ、ベルゼーヴァのほうがお近づきになりたいですね。
シャロームは頑固すぎるので(笑)。いや、確かに年だし・・。
4人の巫女たちはシャロームの遠い末裔だそうで、シャロームを
野放しにしておくと利用されそうな気がする・・・。危うし巫女さんたち。
ラドラスやアルレシアの設定もかなり細かく造られているみたい
なので、想像が広がりますね。