●平成15年5月〜平成22年●

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川柳、俳句でも17文字にするのはお好きですか?
又又、短歌、都都逸も・・・

冬の季語です・・・小春、小六月、小春日和、三寒四温、
寒晴、北風、オリオン、時雨、霙(ミゾレ)、
         うつた姫(冬をつかさどる神だそうです)
         ちなみに春は、佐保姫(サオヒメ)、夏は、つつ姫、
         秋は、竜田姫だそうです。
         山眠る、山火事、事始め(12月13日、正月迎えの仕事の始まる日)
         蒲団、ちゃんちゃんこ、どてら、ねんねこ、毛布、角巻
         ジャンパー、セーター、アノラック、マスク、ショール
         熱燗(温め酒は、秋の季語です)、鰭酒、寝酒、餅、盆踊り、月見、
         三平汁、闇汁、鯛焼、今川焼、
         おでん、風邪、湯ざめ
         

         


*文字が好きな方は、メールでどうぞ。待っています。
 いっしょに俳号?(御自分の愛称)も入れてください。(酔楽)

 

平成15年

(5月〜8月)
1・五月雨に打たれしままの猫車
2・大いなる葉桜寄せて飛鳥山
3・百合の香のまとはりつきし闇うつら
4・海の香を卓一杯にほやふふむ
5・穴蔵を埋めておりなす竹落葉
6・ボサノバの聞いて昼寝や草枕
7・大いなる胸をもたげて西瓜(スイカ)食ぶ
  季語の西瓜は秋の季語ですが?
  夏の季語となると、西瓜割り、西瓜冷す、西瓜の花
8・巨いなるししおき隠す夏衣 (ししおき=肉づき)
9・身の丈を汗に濡らしてはげむ宵
10・後朝の衣透きゆる汗しとど (後朝(きぬぎぬ)=Hした朝)
11・酔ひ醒めの素足に残る爪の跡
12・疼く歯に飯の不味さや梅雨永く
13・靴底も濡れて堪忍梅雨未だ
14・菰巻(コモマキ)のまだ芳しき縄の締め
15・梅雨明けや先ずは洗濯ひとしきり
 *店の前になぜかしら蝉(夏)が転がっていました。まだ生きていました。
16・ポケットにつまみ入れたる蝉の声
17・一声を絶唱として蝉了る
18・かさかさと風に召されて蝉了る
19・力もて何処を見るや蝉の殻
20・空蝉のこの世の重さ風に受け
 *50になって
21・秋の夜の振るまい酒や五十路入る

22・天高く飛行機雲は水尾を曳く
23・秋空の飛行機雲は青に消え
24・蝉死ぬもつかみしままの空は無く
25・背なに負ふだらだら坂の残暑かな
26・はすかひのをみなを濡らす秋の雨>

(9月)
27・虫の音の原宿駅はまだ始発
28・身ほとりに寄ること覚え秋の猫
29・落蝉の闇に羽ばたく土の音
30・降れや降れ銀杏時雨の照り返し
31・秋の夜の素顔にかかる蜘蛛の糸
32・若人の競う演技も爽やかに(8月31日渋谷支部Jr.C.C.)
33.切り株の虚にまとまる落葉かな

34・来し方や指差す火星秋一日
35・冬の朝背中丸めて運座かな
36・飲むまいと思えど今日の酒月夜
   *お月様で6句
37・名月を酒の肴(サカナ)になみなみと(旧8月15日)
  
38・十六夜(イザヨイ)や厨(クリヤ)を出(イ)でて中休み(8月16日)
39・缶酎ハイ立待月を愛でながら(8月17日)
40・酒に染む暖簾(ノレン)くぐりし居待月(8月18日)
41・酔ひ醒めの胸のふくらみ寝待月(8月19日)
42・ひと寝して更待月(フケマチズキ)や恙無く(8月20日)

43・身ほとりに落葉にからむ瀬音かな
44・落ちるまい落ちるまいとて秋の蝉
45・路地巡る子供神輿の軽やかに
46・汗死んでだらだら坂の残暑なほ
47・今宵こそ虎と飲み干す寝待月
48・はすかひのをみな濡れ染む秋の雨
 (10月)
49・窓を開け部屋に薫風曳き入れて(薫風(クンプウ)=夏)
50・身ほとりに寄ること覚え秋の猫
51・虫の音や引きずる足の家路まで
52・日をかへす秋の黒蝶輝けり
53・たまゆらの秋蝶仄と力染む
54・行く秋を足袋の白さが受け止めて
55・冷まじきところ受けたる盆の窪
56・穴蔵の酒場に憩ふ秋の暮
57・一人居の酒のつまみや今日の月
58・恋文のここが思案や懐手
59・寄り添へばをみな(女)かぐはしそぞろ寒
60・看板を消してほつとす十三夜
61・路地裏を抜けて高層十三夜
62・手袋に指の温もり残しけり
63・恋文の筆の重さに懐手
64・恋文の携帯メールくさめ打つ
  (11月)
65.酔ひ醒めは初湯に入り迎え酒
66・ 初売りは今年占う葛篭(つづら)かな
67.猫の尾の初日に向かふきまぐれや
68.初手洗指に絡みし抜け毛かな


   *立冬が過ぎそろそろ冬の句を
69・四方に開く千手観音冬に入る
70・冴ゆる手の千手観音四方に開く

   *入院灰句
71・相部屋の冷たきベッド初入院
72・手術着を被りて待つや隙間風
73・いざ行かん毛布被りて手術室
74・看護婦のかすかに聞こゆ虎落笛(モガリブエ)
75・看護婦に答えし先ずは熱燗と
76・小春日のカーテン揺れて白衣過ぐ
77・乙女子のコートに抱かる見舞花
78・神無月やがて生きめく波動かな
  *追句
79・点滴の一滴一秒時刻む
80・黄昏(タソガレ)に死して蟷螂(トウロウ=カマキリ)鎌残す

    (12月)
81・極暑かなだらだら坂に影一つ
82・歳暮酒飲み干すほどに朝(アシタ)かな
83・プレゼント解けぬ紐の聖夜かな
84・初電車乗れば空気も付いて来る
85.・春風に誘はれ向かふ酒の駅

86・雪雑り(ユキマジリ)<霙(ミゾレ)のこと>傘に重たき職場行く




平成16年


    (1月)
87・鉄道員(ポッポヤ)の鉄路確かむ去年今年
88・夜勤明け初日を浴びる影揺れて
89・とくとくと聞こえしレール春電車
90・窓越しの指でなぞった初日の出
91・ ホトトギスホームのさきの梢から
92・風を乗せ支線に変わる春電車
93・支線駅時計ゆるりと春電車
94・春の風電車の窓を抜けてゆく
95・酒をきくあれやこれやと品定め
96・雪解道(ゆきげみち)人恋しくて山羊のなく
97・ぐい呑の人肌浸かる春の夢

98・水尾を曳く飛行機雲は海空へ浮世さまよふ長き残して
99・寒空へ飛行機雲は紛れけり
100・温室に背中合わせの猫2匹
101・コート着るポケットの屑捨ててから
102・粉雪の風に遊ばれ風に舞ふ
103・木枯しに背なを押されて酒場口
104・嚏(くさめ)してシャッター降ろす酒場かな
    <くさめ、くしゃみ=冬の季語>
105・ドアノブの重たき酒場梅雨に入る

 (2月)
106・闇になく逢瀬楽しと猫の恋
107・闇に聞く風に隠れし恋の猫
108・ なにごとぞ街ほとばしるはたた神
109・手毬花一花ごとに雫おき
110・河童の手かりてなるほど胡瓜もみ
111・汗弾け渋谷娘はカッポする

112・春浅きおみな佇む飾り窓

 (3月)
113・薄紅の君が瞳に花宿り
114・初花や君がみどりの髪に添へ
115・風誘ひ花を巡りて花に逢ひ
116・空を溶かすか蝉時雨
117・花冷えやをんなは触れて灯をともす
118・ふくらみは冷たき雨や花雫
119・ゆったりと雨に濡れ染む花つぼみ
120・えいそれやロストボールは花に消え
121・ててれ干す雀は遊ぶ春の風(ててれ?=ふんどし)
122・風死んで生き返るまで待つ
123・片蔭に影を落として潜みけり

124・満開と携帯電話が花コール
125・風なせば空にあこがる塵の花
126・朧夜の道は彩なすはだれ花
127・風道に花誘はれて波果つる
128・春風に衣流るる花休み
129・散る花も残る桜も日に浴びて
130・なほざりに濡れて傘さす春の雨
 (4月)
131・ 風死んでだらだら坂に影を置き
132・鉛筆にまとはりつきし残暑かな
133・耳鳴りは老いの初めか蝉時雨
134・背なに負ふ残暑厳しき蕩(トロ)けかな
135・地を背にし空を掴むか終(ツ)ひの蝉
136・逃げ道はゆらりと下る蝉の坂

137・吹きおれば風に従ふシャボン玉
138・ 坂の上逃げ場も無きや四方の蝉
139・酔ひ醒めの小袖にこぼる桜かな
140・コンクリートに花張り付いたビルやさし
141・虫の音を人の隙間に終電車
142・朧夜の地下鉄工事粛粛と
143・身ほとりに寄せれば零る花の塵
144・押し開く風なすままに稲穂道
145・のっと出て欠けたる月の春の宵
146・玉杯の月を揺らすや春の風
147・朝に良し花のかんばせ水温む
148・良き事や急ぐ家路に躑躅(ツツジ)咲く
149・躑躅咲く電話ボックスはすかいひに(はすかい=ナナメ)
150・はすかひの女は欠伸(アクビ)花疲
151・のびのびと膝をくずして花疲
152・身を置けば花の蘂(シベ)降る目に追はれ
153・みそかけに忘れ去られし花衣(みそかけ=ハンガー)
154・煮含めば鍋に遊びし蕗の糸(蕗=夏の季語)
155・咲きすさぶ君が先行く躑躅径
156・小仏の御目に触るる野水仙
157・身ほとりの兎まどろむ春日和(ハルビヨリ)
158・額の花そぼふる雨を受けて咲く(額の花=額紫陽花(夏の季語))
159・鉄路打つ音は地下へと春の雨
160・ベランダに雨誘はれて躑躅咲く
161・百合の香に誘はれ闇も仄白く(百合=夏の季語)(ホノシロク)
162・大いなる穀雨(コクウ)静かに葉を濡らし
163・枝折戸を抜けて百合の香身にまとひ
164・窓を開け部屋一杯に木の芽風
   
165・茹で上げの蚕豆摘む二つ三つ(蚕豆=ソラマメ)
166・坂の上の雨に濡れ染む若葉かな(若葉=夏)
167・ 手におはす光さやけき若葉かな
168・ 日を散らす若葉かそけき朝(アシタ)かな
169・うらうらと春の日浴びる眠り猫
170・うち出(イ)でて天降る(アモル)春雨傘も無く
171・住むところ 帰れるところ風ぬくし
172・乙女子の衣輝く緑の日
173・照り返す青葉若葉の風遊び
 (5月)
174・ 包まれた白い恋人チョコレート解けては消へる粉雪の味
175・たんぽぽの絮(ワタ)蔭なく憲法記念日
176・風誘ふ軽き若葉は日を散し
177・蕎麦すする立待月を背なに負ひ
178.花衣こずゑに掛けて風に咲く(なぜか春の句が)

179・ベランダに折れて動かぬ鯉幟
180・語り合ふ真中にありてソーダ水
181・ 859・花衣掛けて梢に咲かす風
182・なんとなくゴジラは遊ぶ五月来る
183・斗酒ありて塩たっぷりの胡瓜もみ
184・五月雨やなぞる鏡の文字濁り
185・読みかけの本積み上げて五月尽
 (6月)
186・六月の雨粒踊る潦(ニハタヅミ=水溜り)
187・夏服を着せて合掌道祖神
188・薫風や棚引く雲のおくりもの
189・飲みかけのアイスコーヒー押しやりて
190・軽やかにをみな路行く衣更
191・春コート背中半分日照雨降る
192・目に追へば闇夜に点る蛍かな
193・一足の靴も乾くや梅雨晴るゝ
194・貸別荘浅間を背なに夏来たる
195・夏衣上から下へ女透く
196・ギヤマンに酒なみなみと満たしけり(ギヤマン=ガラスの器)
197・団扇もて片膝くづす女かな
198・青嵐吹くや大樹に音なして
199・大グラス泡から泡へビール飲む
200・ほろ酔ひの箸に絡みし海雲(モヅク)かな
201・はんなりと波に揺られて海月かな
202・はんなりと波間に揺れる海月(クラゲ)かな
203・夏海の群れて群青魚影かな
204・薫風を栄華に止めて六義かな
 (7月)
205・緑蔭の茶屋に誘はれ新茶汲む
206・常世からアイスキャンデー夏来たる
207・公園の海にささめく星見合
208・止む雨に大島渡る夏の橋
209・夏潮に沖縄はなる飛機映し
210・熊蝉の鳴く夜も慣れし今日の宿
211・(沖縄美ら海(チャラウミ)水族館)天上の甚平鮫に見下さる
212・紫陽花の色も褪せたる夏の午後
213・ヨイトマケ汗の結晶背なに負ひ
214.仰向けの動かぬ蝉やこれ以上
215・心天澄みし器に突き出され
216・とっぷりと汗に漬りし作務衣かな
217・風死んで空なるところ皆止る
218・紫陽花のはだけて揺れる夏の午後
219・西日さすだらだら坂の乳母車
220・油照り(アブラデリ)影はみずから湯気を出し
221・梅雨晴の一気に上る体温計
222・明日こそ梅雨明け宣言選挙行く
223・乙女さす軽き日傘や鈴の音
224・梅雨明けて日の塊が落ちてくる
225・粛粛と出水の街に茜さす
226・ペディキュアの素足に映えて渋谷街
227・アンクレット素足に絡む逢瀬坂
228・夏の日の身体休めて通夜に行く
229・うたかたの生れ祝ひや夏の菓子
230・荷を負ひて己がかげろふ油照
231・風死んで光り重たき五十路かな
232・身を干せば光り重たき大暑かな
233・玉水の汗に濡れ染む額髪
234・浅漬の胡瓜艶良し夜半の酒
235・老ひつかぬ届かぬ先の高き天
236・風死んでふやけた頭発酵す
237・白玉や鍋にゆらりと浮き沈み
238・短くもかばね生き抜く夏の雨
239・夏草や触れて息なす日は天に
240・夏草や触れて息なす夕間暮れ
241・一と雨に揺れて息吹くや夏の草
242・ごきぶりを打ち逃したる五十路かな
243・打ち逃すゴキブリ追ひし五十路かな
244・酔ひ醒めのここは極楽夏の雨
245・惜しげなくだらだら坂に日は盛る
246・うち出でて今日の暑さを記憶せよ
(8月)
247・だんだらと夏の盛りに身を置きて
248・風溶けて汗は自ら焦げていく
249・風溶けて汗も自ずと焦げてゆく
250・食なくも歯には優しき冷奴
251・レース編みほつれて久し金魚玉
252・むせ返る雨後の界隈冷し酒
253・底煮えの巷蠢く(チマタウゴメク)残暑かな
254・初秋や身に懐かしき風抜けて
255・爽かに胸の膨らむ朝(アシタ)かな
256・聞こえぬや鵙(モズ)のため息贄(ニエ)遊び
257・青茹での今日の塩梅月見豆
258・片蔭にとろけるままの身を寄せて
259・ 一人居のちりを残して年暮るる
260・身を置けば一と風軽き夏の果て
261・閑散とネオン街行く虫の音
(9月)
262・大いなる雲は静かに秋の雷
263・梨食うて火照る襟足上の空

264・ポケットに忘れた手紙コート着る
(11月)
265・ポケットに破れた手紙秋時雨
266・日溜りに己が影跳ぶ秋雀
267・日溜りに跳び跳ぶ遊ぶ秋雀
268・日溜りに遊ぶ雀やケンケンパツ (季語なし)
269・日溜りに遊ぶ雀に秋の風
270・店先の目には眩しき秋果買ふ
271・船上の空行く雁の道標
272・柿食へば己が歯型は寂しかり (1年前歯で入院?)
273・柿剥ひて歯型は入れぬ種の艶
274・行く秋の薄き便箋遅筆かな
275・しぐるるや隣の樋(トヒ)の音に聞く
276・しぐるるや樋の流れの音に聴く
277・大みみず土より出でて凍え死か
278・冬晴の雀跳び鳴く車寄せ
279・しぐるるやしぐるる音に分け入りぬ
280・坂だらら寒きひじかさ降るふるる(ひじかさって、雨の事です)
281・ 一人居のほうじ茶すすり年暮るる
282・ふりかけの湯気に香たつ朝餉かな
283・何処より枯葉誘ひし風の道
284・ふりかけの湯気に香たつ朝餉かな
285・酔ってなほ風邪を友とす鼻すする
286・狛犬の鼻天辺(テッペン)に風邪の神
287・冬晴のこもるラジオの独居かな
288・木枯しに動く月とは酔ひの夢
289・道ふらら酔ひ醒め眩し冬日かな
290・ビル裏のネオンにまさる冬の月
291・ポッカポカ兎まるまる冬うらら
292・どこ行くも枯葉引きずる風の道
293・酔ひ覚めの湯気に顔あり朝の粥
294・紅唇の燗酒揺れる猪口の味
(12月)
295・狛犬もあへて友とす風邪の神
296・酔ってなほでんぐり返る風邪の神
297・鯛焼きの重きあんこに温さ益す
298・降る降るる枯葉くるまる風の道
299・酔ひ覚めのふりかけ美味き朝餉かな
   
300・道の辺に枯葉うづまく風溜り
    <やっと300迄たどり着きました。まだまだ・・・>

301・恋文の思案にふける懐手(フトコロデ)
302・とっぷりと肌染みとほる柚子湯かな
   
303・年輪の己が込めたる薪を割る
304・一人居の熱き粉茶に年暮るる
   
305・一人居のゴミを残して年暮れて
   
306・数え日のドミノ倒しは引っかかり
307・初雪の空中止まって消へにけり
   

平成18年

308・あれこれと焦げ飯にぎる小晦日
309・こそこそと動くな今日の嫁が君(嫁が君・正月三が日に出てくる鼠)
310・大晦日通勤電車は軽く揺れ
311・だらだらと酒びたりの年は暮れて
312・卓囲み我が家の雑煮ふるまひて
313・初手水光授かり玉雫
314・初手水こぼる玉水光り合ひ
315・初仕事千客万来恵比須顔
316・故郷の蜜柑重なる仏座前
317・年酒酌むおらが田舎の言葉して
318・酢海鼠や寒露寒露と酒手合
319・鏡割り入れ歯はずしてしるこかな
320・鍋つつく背中丸めて隙間風


321・ 黄に深く稲穂は重く風に置く
322・木枯や窓にもたれし肘の傷

323・メールして熱燗すする二人酒
324・窓を打つ俺が田舎の雪連れて
325・降る雪や切れたネオンの文字消して
326・降る雪や消えて足音靴跡も
327・降る雪や足音忍ぶ逢瀬かな

(弐月)
328・どっと来て立春大吉渋谷支部
329・重いのは夜の春雪4センチ
330・もの憂いてやがて確かに春の風
(拾弐月)
331・座しても風鳴く窓の隙間風

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12月24日(日)、六義園、冬季俳句会開催
       天気晴朗風は穏やか肌身に少し寒し・・・


   *当日の俳句
1.冬空にカラス鳴き群れ明けの光へ
2.静かなる風に吹かるる小さき草(佳)
3.砂利の上ガサガサ歩く落葉道
4.落葉舞ひ鳴くや空には寒烏
5.風に舞ふ落葉はひらり靴に降る(麗)
6.あら楽し浮世忘れて六義園
7.小春日や番ひ(ツガイ)に優し浮寝鳥
8.クリスマスイブにもめげず六義園
9.円すいに飾る雪吊松ツリー
10.足元にちぎり絵描く枯れ紅葉(芳)
11.冬空に烏鳴く鳴き六義園
12.風おして茶屋に置かるる枯葉かな
13.コート着るボタン一つの掛け違ひ
14.彩りの落葉踏みしむ風の道
15.師走空ひこうき雲の滑走路
16.陽をまとい肩を寄せ合ふ番ひ鳩
17.赤海鼠(アカナマコ)切りて冷たき海を見る
18.菰巻(コモマキ)のまだ芳しき縄の締め
   以上18句。天は、10番。地は、2番。人は、5番でした。
   次回の大会は、来年春の予定です。

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332.木枯や窓拭く芥こちら見て
333.冬日浴び街の息継ぐ朝(アシタ)かな


平成19年
(1月)
334.初日浴びあ〜乾杯美味し酒あり
335.もっ切りにこうべを垂れる年酒かな
336.四日かな夢幻のなさけ姫はじめ
337.乙女子の肌に弾けし柚子湯かな
338.初雪の止る虚空に消えにけり
339・
340・刃もこぼる崩れ崩れの鏡割り
341・家族あり兎も元気寒見舞
342・酒きれて指のゆるみも寒の内
343・着膨れて一肌脱ぐと左党かな
344・高層を見上げてたどる寒の月

(2月)
345・春立つやカーテン模様日の光
346・履き捨てて恵方を向くや春の靴
347・目刺食う銀舎利味噌汁沢庵
348・銀舎利に白子干ふわふわかけて
349・降りしのぶ今だ雪なく余寒かな
350・背伸びして懐寒く春いまだ

(3月)
351・ 摺り寄せて檸檬(レモン)冷たき香を放ち
(10月)
352・己が身を木陰に隠す曼珠沙華
353・からすみを炙ってすする今日の酒
354・ストローで雲をかき混ぜすすぐ秋
355・足跡の消へて雨さす十三夜
356・雀鳴く庇は跳ねる秋の空

357点け忘る逢瀬の宿や秋の暮

358・秋の雨路面電車の轍濡れ
359・秋(安芸)の雨消えて宮島波の音
360・小春日や一キロ超えのモルモット
361・方丈の部屋に籠りて時雨聞く
362・起こすみな天に初雷地に工事
363・囀りの快きかな酔ひの酔ひ
364・日を浴びて弾く枝先剪定す
365・メール打つ花の逆光負ひながら

(4月)
366・風遊び抜けて窓から春コート
367・メール打つ花の逆光包まれて
   
368・春寒や三日三晩の風邪いまだ
369・腕枕もの憂く春の夢の夢
370・泡沫の夢を絞りし金魚玉

(5月)
371・神木の影に追はれて春暮るる
372・レースカーテンそよぐ指先風に触れ
373・酔ひ臥して祭囃子の遠く遠く
374・山車通り足の乱れや祭人
375・麗かな美瑛の空からメール打つ
376・北国の一息ついて若葉萌え

(6月)
377・狛犬の木陰に座る皐月かな
378・鳥つるむ石蹴る先のお邪魔むし
379・狛犬にさやれば動く蟻のみち
380・ついと来て路地を曲って夏つばめ
381・梅雨の日の彩りそよぐインコ買ふ
382・道半ば背中ゆるめて梅雨の蝶
383・中空に羽音残して夏の蝶
384・梅雨晴れや草の枕をくしけずる

(8月)
385・いまだ今二十五年(トセ)の祝ひ酒
386・蝉鳴くや締め切る窓の隙間から
387・干からびた引きずる足の極暑かな
388・振り絞る汗の噴出すこの身かな
389・背中まで絞れば汗の身は薄く
390・影揺れて爪先上り道炎ゆる
391・靴底にだらだら坂の油照り
392・靴底に響く炎暑のむせ返り
393.妻の膝豊になりてレスカ飲む
394・蝉鳴くや駅に電飾に雑踏に
395・かはたれの夢はおぼろに夏衣
396・目覚めれば触れぬ人肌汗しとど
397・大いなる胸をもたげてスイカ食ぶ
398・風抜けてをみなを残し夜の秋
399・風残しをみなを残し夜の秋
400・仰向けの落ち蝉揺らす室外機
401・落ち蝉の地は冷たきや空を食み
402・布団からほふく前進梨をむく

(10月)
403・つつむ手に味噌汁ほのと朝寒く
404・鳩吹くや鳩の囮になれぬ身を
405・行く秋や街の外れにインコ鳴き
406・紅に染む林檎二つを鞄から
407・風が鳴るインコの羽音今朝の冬
408・風は秋揺らすカーテン彩なして
409・巨いなる胸の膨らみ十三夜
410・降れや降れ銀杏時雨の照り返し
411・身ほとりの落葉に絡む瀬音かな

412秋茄子や焼いて味噌もてもう一献
413・ミリオンの街灯燈す十三夜
414・台風や何処にも行かず煮びたし喰
415・ししおきの椎茸炙る芳しき
416・冬の朝背中丸めて運座かな
417・歩くほど人に近づくそぞろ寒
418・さりげなく人近づきぬそぞろ寒
419・うそ寒や永久磁石の冷たさよ
420・切り株の虚に籠りし落葉かな
421・小春日や湿りし衣の皺残し
422・冬晴れやだらだら坂を上りつつ
423・爪紅で摘んでキッスプチトマト
424・極月や片付け思うことにして
425・トマト食ぶ齢重ねた薄き歯で
426・あいの風透ひた衣を身に纏い
427・雨すする道芳しき落葉かな
428・箱舟に波の穂散らすあいの風
429・雲被る北国街道しまき風
430・コート着る老波増えた手をさすり
431・夕立や皆んな空見る雨宿り

432・散る花やそれぞれ向かふ風の道
433・夜桜の香り求めて風の道
434・風花を乗せて重荷の陰を曳き
435・街ビルに凭れては消へ寒の月
436・酒を酌(ク)み仄(ホノ)と紅染む雪見舞ひ
437・啓蟄や葉擦れの音は野の目覚め
438・染み一つ増えて暖簾の去年今年

439・冬笹の四方に向かいて空を指し
440・雪吊りの風のハープに流れをり
441・一息の風に召されて落葉降る
442・落葉鳴る瀬音微かに消へにけり
443・居を止めて枝垂桜の冬忍び
444・窓を打つ落葉時雨の朝(アシタ)かな
445・振り向けば山茶花散るや今日の宿
446・潜り戸を抜けて木枯し六義園
447・気を散らすチャクメロ歌う寒烏
448・菰巻のまだ芳(カンバ)しき縄筵
449・さざなみや落葉の波の風遊び


平成20年

450・初春やみくじ大吉当たるまで
451・また一つ暖簾(ノレン)の擦れや去年今年(コゾコトシ)
452・啓蟄や葉擦れさやけき野の目覚め
453・後朝(キヌギヌ)や布団くるくる夢ん中
454・春の雨空に繋いでメール打つ
455・湯上りは肌に花咲く蜜柑風呂
456・軍靴鳴る雪降る社建国紀
457・のっと出て月白々と春の山
458・現れてのそと日輪春の海
459・雁風呂へ月を残して出でにけり
460・雁風呂へ月を忍ばせ窓を背に
461・神の木に降りて淡雪虚空から
462・告白はヴァレンタインデー薔薇一輪
463・春を見に笑顔優しき人に逢ふ
464・嘘泣きは携帯電話春の雨
465・メール待つ風の悪戯春帽子
466・シャンソンを聞く雪降る街の足音
467・しばれてもしばれても郷に暮すも
468・酒(ササ)利いて仄(ホノ)と紅染む雪見舞ひ
   
469・コート着る釦(ボタン)一つの掛け違ひ
470・街ビルに凭(モタレ)れて消へし寒の月
   
471・恙無く(ツツガナク)仰ぐ日輪初三十日(ハツミソカ)
472・中天に仰ぐ寒月指に止め
473・熱燗や五臓六腑に辿り着き
474・紅唇(コウシン)を隠す白息吐息かな
475・付き合いは酒と肴(サカナ)とメル友と
476・万華鏡冬灯にかなふ星明り
477・風呂吹きや箸にほろりと崩れけり
478・紅唇や白き吐息に掻き消され
479・マフラーを指に絡めてメール打つ
480・仮宿は忍ぶ恋路の冬籠
481・風ゆらぎ急ぐ女(オミナ)に雪添ひて
482・風そよぎ急ぐ乙女に雪は舞ふ
483・消しながら爪先上がり雪の宿
484・降る雪や忍ぶ恋路は仮の宿
485・化粧するかそけき街の雪模様
486・木枯しや入れて吐き出す大海鼠
487・香を放つ脱いだコートをままにして
488・風花やびんのほつれのたまかづら
489・二つ身の相合傘に雪時雨
490・一つ身に傘は重たき雪時雨
491・薄雪や月皎皎と銀の道
492・出窓から陽に誘われて雪しずれ
493・待ち人はドアに音なす雪しずれ
494・忍ぶれど音なす扉雪しずれ
495・日溜りに番ひ(ツガイ)誘はれ浮き寝鳥
496・風誘ひ集ふ日溜り浮き寝鳥
497・熱燗や寒露寒露と今日の糧
498・膝つめて羹(アツモノ)摘む雪見酒
499・風ゆらぎ傘に顔出す雪月夜
500・風花の遊ぶ虚空に留め置きて
501・風花や触れて梢の花とせり
502・風花を乗せて重荷を解(ホド)きけり
503.酔ひ醒めて見上げる先の冬の月
504.冬月夜快速電車通過駅
505.左党かな煮凝つまむ箸の先
506.咳をして仄と紅さす微熱かな
507.後朝の寝屋に忘れし冬帽子
508.温もりは吐息を包む掌
509.スコップの逆光にして今朝の春
510.冬薔薇路傍の石に崩れ落つ
511.彩りの落葉踏みしむ風の路
512.大家族籠からこぼる桜餅
513.燭の火を消して窓開く聖夜かな
514.風ゆるみ天狗目覚めて山笑ふ
515.木枯しや水面に映る月を食む
516.あえかなる蝶は三途に迷ひこみ
517.冬籠りがばりと起きて酒を酌む
518.冬籠り壁に凭れてメール打つ
519.夜もすがら烏鳴かなむ冬の月
520.風誘ひ虚空に遊ぶ細雪
521.セーターを編めば転がる毛糸球
523.セーターを大きく編んで二人入る
524・雨吸って落葉筵の芥かな
525・夕立や傘さす人に寄り添ひて
526・緑蔭やソフトホォーカス雨上がる
527・ぼけ抜けてこの世の猫は日向ぼこ

528.廃屋にざらつく風や桐一葉
529・木枯や子を持つ母の強さます
530・木枯や逃げた衣はまろまりて
531・春雨やほつれた髪の雫から
532・夕立やぼけて傘置く何処やら
533.井戸水にトマトくぐらせ波の花  
534.痩せ我慢土鍋頭に土用灸
535.冷房室外機熱風にして立つ    
536.緑陰に風の音きく梢から
537.足早に鞄抱えて師走かな
538.朱に染めて土用波打つ大鳥居
539.冷房のきいて囁く談話室
540.夕立やほつれし髪の濡れたまま
541.夕立や逢瀬の宿の別れ際
542.緑蔭や木漏れ日揺らす風の波
543.緑蔭や風立つ毎にざわめいて
544.緑蔭やざわつく風に揺らぎおり
545.緑蔭や揺らめく風に日を散らし
546.もぎたての塩はらはらとトマト食ぶ

547.なぞるほど暦の果ての軽さかな
548.泉湧く水分石(ミズワケイシ)に見送られ 
549.岩音は水面にかえす蝉時雨
550.一人居の傘に染めたる梅雨に入る
551.洗はれて揺らす草葉や夏の雨
552.一と日ごと名残の花を愛でにけり
553・筆を執り一つ咳する恋のぶれ
554・手袋をぬいで恋文メール打つ
555・部屋に入り気早かにぬぐ手袋
556・語らひは熱燗囲み夜もすがら
557・夜もすがら雪見る窓に顔映し
558・夜もすがら加減乗除や受験前
559・焼き網に炙る棒鱈火に染まり
560・棒鱈を酒に浸して食む齢
561・炙る烏賊呷る熱燗恋もんもん
562・片膝を立てて足袋先素足延ぶ
563.置き去りの携帯電話鳥雲に

(4月)

564・葉はままに剥がしてままに桜餅
565・残寒を宿す鉄路に杭を打つ
566・初虹や谷内六郎連れて来し
567・濡文をしたため仰ぐ春の月
568・水温む月を揺らして行潦(ニハタヅミ)
    行潦・雨が降って地上にたまり流れる水、水溜り
569・花散るやそれぞれ向かふ風の道
570・風神の一つ咳する花吹雪
571・夜桜に曳かれて香る道標
572・白波の寄せ来るごとく花の塵
573・雨に染むはだれ桜の紅仄(ベニホノ)と
574・花の屑地に誘はれて雨に伏す
575・疼く歯に先ずは温まる海雲汁(モズクジル)
576・一と日毎はだれて残花葉を前に
   
577・砂山にそぼ降る雨の春の宵
578・行く春や夜会の調べ窓辺から
579・砂山に消えてトレモロ春の雨
580・日に染めて布団を被る今朝の夏

581・闊歩する渋谷の乙女夏来たる
582・脱がされてサマーコートの渦の中
583・茜さす頭もったり風邪ん中
584・洗はれて草葉を揺らす夏の雨
  
585・一人居の傘は冷たき梅雨に入る
   
586・夏蝶は風に押された道標
587・招かれて紫陽花通り菓子横丁
588・よそゆきの花を鏡に夏の蝶
589・はふはふと山椒降らして鰻食ぶ
590・羽ばたけば風に震える極暑かな
591・片陰に背黄青鸚哥(セキセイインコ)呑まれけり
592・青空を掴み掛けたる蝉の殻
593・空蝉や陰を残して明日を待つ
594・三脚を片すのもさま剪定師・剪定は春の季語ですが
595・夕立を過ぎて都電の鉄路踏む

    


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8月10日

第4回B.2俳句大会
  1・秋立ちて30度届かぬ空やっと (真)
  2・アルデヒド汗と噴出す熱帯夜 (真)
  3・東京の空を荒して雷雨かな (中シー)
  4・盛夏の日出待ちの蕾待ちぼうけ (貴)
  5・汗かいて栓抜く音の涼しさや (真)
  6・献花する黄菊白菊原爆忌 (中パパ)
  7・一泡や喉で忘れる痛風か (真)
  8・泉湧く水分石(ミズワケイシ)の音なして (マスター)
  9・蜻蛉や不可視の道を飛び行けり (中シー)
 10・蝉の声かけ声のよう生まれし日 (貴)
 11・岩音は水面にかえす蝉時雨 (マスター)
 12・雲動く残暑厳しき昨日今日 (中パパ)
 13・秋立ちてなお気炎吐く百日紅 (真)
 14・夜もすがら呷るビールの恋忘れ (マスター)
 15・散歩して汗ばむ肌に蚊の羽音 (貴)
 16・缶ビール覗けば揺れる金の闇 (中シー)
 17・もろもろの亡き者の声法師蝉 (中パパ)
 18・くぐり門抜けてしとどに蝉時雨 (マスター)
 19・秋蝉よ忘れていずや羽化の夜 (真)
 20・野に帰る母の顔に化粧して (中パパ)
 21・忙しさに心待ちする帰省かな (中シー)
 22・魚群れの水のさざめき一時の涼 (貴)
 23・片蔭に消えて一人の影法師 (マスター)
 24・お茶っ挽き色香お手上げ五輪の夜 (真)
 25・落ちるまい落ちるまいとて秋の蝉 (マスター)
 26・六義園最多住民油蝉 (中シー)
 27・水面(スイメン)に輝く陽射し鯉の水面(ミナモ) (貴)
 28・飛び石を伝って響く蝉の声 (真)
 29・うなぎの碑大潮の海見下ろして (中パパ)


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596・片蔭に押されて消える影法師
597・背なに負ふ葉擦れ伝ひし盆の風
598・盆の風木立吹き抜け火山灰(ヨナ)の村(火山灰・よなと読むそうです)
599・酔ひ醒めて取り残されし盆の汽車
600・故郷は浅間の峰や盆の道
601・沈酔や彼岸此岸も秋の夢
602・一粒の零れしままに葡萄食ぶ
603・木枯や酒酌む宵の仮の宿
604・風祭り揺れて木枯し縄のれん
605・凩や暖簾絡めて風祭
606・葉をままに剥がしてままに桜餅
607.大き葉を剥がし見とれる桜餅

608・落ちるまい落ちるまいかと秋の蝉 
609・片蔭に消えて一人の影法師
610・くぐり戸を抜けて噴き出す蝉時雨
611・夜もすがら呷るビールの恋忘れ
612・落葉して隣の窓を盗み読み


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・・12月23日開催
第5回B.2俳句大会
    の句を載せます・・・一人六句づつ
  1・主居ぬ牛舎の梁に鳩眠る
  2・野良猫とうつらうつらと日向ぼこ
  3・日向ぼこ猫と陣取り猫の勝ち
  4・目を開けて移動してまた日向ホぼこ
  5・熱燗をゆるゆるなめる二日酔ひ
  6・我輩は猫に生まれて日向ぼこ
  7・短日(ミジカビ)が落ちて大河は光りけり
  8・燗酒や最後の一滴温かし
  9・石の上一つ年取る亀うつら
 10・チン鳴れば銚子持てぬが燗温し
 11・ぐつぐつとぐつぐつの間に燗酒
 12・老警備夜鍋うどんをすすりけり
 13・日向ぼこ湯飲みの中は燗酒なり
 14・カサカサと冬草たちの小声聴き
 15・年の暮れ日向ベンチも超満員
 16・夜更けても浮かぶ白雲照らす寒月
 17・うなじから仄(ホノ)と紅染む雪見酒
 18・熱燗で心身ともに暖を取る
 19・萩にきて萩の落花や風寒し
 20・冬の陽に眩しく揺れる冬紅葉
 21・熱燗の湯気越しに見る君の顔
 22・小春日に時忘るるや六儀園
 23・飛雪の見上げる先に日の明り
 24・参道は落葉時雨の風の道
 25・しぐるるや届く身の丈指の先
 26・老犬よ耳先ピクリ日向ぼこ
 27・鳥、さかな、人、緑、空、日向ぼこ
 28・戯れ言を呷る燗酒三合目
 29・カラス蹴り静かに波立つ冬の水
 30・いささかの体力尽きて初彼岸
 31・「緑川」を燗する間葱刻む
 32・北風や今年も腹巻松の幹
 33・早朝のパソコンたちの日向ぼこ
 34・待ち詫びて熱燗すする仮の宿
 35・冬瓜の転がりをりぬ過疎の村
 36・熱燗をまづはの一杯に置き換える
                  以上36句

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・・・・*平成21年新しく初めますか?今年は、613番からです。

613・時雨聞く一箱毎の街の部屋
614.街の灯や濡れて蔭さす夕時雨

615・街の灯に濡れて影さす冬の雨
616.コート着る取れた釦も気にもせず
617・凛として触れて胎動冬木立
618・風惑ひ舞ひ来る雪の定めなき

619.だらだらとおでんとお酒うだうだと

620.夜もすがら呷るビールに恋忘れ
621・余るほど肩にくるまる春ショール
622・初春や一献語る酔ひ日和
623・乳飲み子の初日を浴びて抱かれし
624・手をかざす消える炭火の温もりに
625・追ふ影は己が片割れ春の月
626・迷ひ雲隠れ壊れし月朧
627・うづ高く花の屑おく風土産
628・風上の花より衣移ろひて
629・痩せ衣振り切る花の梢から
630・風を連れ飛花はあまねく空に触れ
631・一片の花の土産は窓辺から
632・一片の花を窓から招き入れ
633・袖に降る花の遊戯(イタズラ)蝶に化し
634・語る身や五十猶予の昭和の日
635・浮かれ身に打たれくすぐる春の雨
636・片付けた顔にゆるりと南吹く
637・頬杖を着けば机上に一滴の汗
638・どっと汗透けて溺れる溢るむね
639・傷跡も涼しくなりし隙間風
640・夜明け前酔ひ取り戻すビールかな
641・朝ぼらけ別れ間際に汗しとど
     
642・氷溶けアイスコーヒー忍び部屋
     
642.引力はアダムとイブの落し文

643・雀の子いづこに隠る水車小屋

644・一人居のアイスコーヒー氷消え
645・東雲の汗の別れの一雫
646・落ちるまい落ちるまいとて秋の蝉

647・足取りは南風に押され家の路
    
648・昇降機抜けて押し出す五月闇
649・大いなるトトロ飲み干す冷し酒
650・風死してだらだら坂に影落し
651・風揺らぎ薄めて汗を手水鉢
     
652・家宅から月下美人を携へて
653・大いなるあくび優しき月下香
654・膨らみはをみな一人の月下香
655・留め置きし月下美人を写メールに
656・月下香刻む一夜の逢瀬かな
657・開き染む月下美人を風に止め
   
658・人揺らぎしおれて一夜月下香
659・風触れて月下美人の揺らぎかな
660・受け止めし身を知る雨を月下香

661・身体ごと南風に押され辿り道

662・夏蝶の風なすままに風に消え
663・夏蝶の風になづさふひとところ
664・袖ふるる化粧こぼれし夏の蝶
665・軽き身をなほ日にかざす夏の蝶
     
666・数へつつ残る暑さを背なに負ひ

667・身を置けぬ夏蝶ほろと日に零れ
668・風揺れてすすぎし汗を手水鉢

669・咲き初むる月下美人を風に止め

670・刻む音に燃ゆる白蝋女王花
671・大皿に紫紺盛られて秋の茄子
672・落花生一ツ時炊いて味ほろろ
673・大皿に紫紺残して秋の茄子

674・手のひらの生命線に枯葉落つ
675・ビル間からいざよう月のかげろひて
676・月揺れて透ひた衣に顔映し
677・かざすてはまぶしき良夜消すしぐさ
678・月ゆれて透ひた衣に影うつし
679・ビル間からかげろう月のかげろひて
680・誘はれて立待月を目に追ひし
681・待人は茶房にかかる居待月
682・一夜かる宿は逢瀬の寝待月
683・いくたびも追へば此岸の無月かな
684・独り言たれに言いやる雨月かな
685・巣籠りや雨はどっさり台風来
686・独り言たれに言ひやる十三夜

687・触れまいぞ寄らば刺すとて栗のいが
688・御福分け炊いて栗飯夕餉かな
689・柿剥いて艶良き皮をまろめたる

690・天高く弾む影踏み野面(ノモセ)かな
691・空高く染まる青さは梢まで
692・朝寒し好いた咲酒(エグシ)の醒めるころ
693・肌寒く吐息求めて街中に
694・押し当てて来たる明日聞く冬木立
695・ため息は雨にまつはる秋の暮
696・跳ね兎毛玉残して軽く逝き

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 12月23日
第6回B.2俳句大会

1・クリスマス二人連れなる人を見る(酔仙)
2・五重塔もみじ見下ろす京の暮(中)
3・白い指蜜柑の皮をはいでゆく(*)
4・すれ違う肩の先から蜜柑香(十四代)
5・公園を走る犬の息も白い(十四代)
6・青空を凍る富士山冬岬(司牡丹)
7・凛として触れて体動冬木立(酔楽)
8・ウトウトとおこたに蜜柑時過ぐる((司牡丹)
9・路地中ばおじぞう様は風の中(中)
10・寝そべって流れる星を数える夜(司牡丹)
11・酔ひさましふと気が付けば年も暮(*)
12・三日目は新巻焼いて白い飯(酔仙)
13・コート着る取れた釦をにぎりしめ(酔楽)
14・恋しくて勤め帰りのおでんかな(司牡丹)
15・冬木立切り絵みたいな夕焼け一つ(十四代)
16・仏陀道雪に閉ざされ合掌す(中)(地)
17・しばれると娘帰らぬ北の正月(酔仙)
18・振り向くと冬木立には細い月(十四代)
19・風惑ひ舞ひくる雪の定めなき(酔楽)
20・ふーふーとアツアツおでん心溶け(司牡丹)
21・押し黙る窓の向かふの冬木立(*)
22・はだか木に見え隠れする京の寺(中)
23・リフトなら影あざやかな冬木立(酔仙)
24・躓ひて暦の果を押しとどめ(酔楽)
25・落葉路この世の温み踏むごとし(中)(天)
26・おでん吹く口許見やり目を伏せる(酔仙)
27・だらだらとおでん酒酌むうだうだと(酔楽)
28・手を広げ抱えきれない冬銀河(司牡丹)(人)
29・かき集め枯葉ベッドにダイブする(十四代)(人)
30・はげ頭ふとんに隠す冬の朝(*)
31・露天の湯蜜柑浮べて月揺れて(酔仙)(天)

32・おでん煮て後は酒の来るを待つ(*)
33・六義園外は賑やか冬木立(中)
34・冬椿暖かき空に青に紅(司牡丹)
35・徹夜明けコンビニおでんと月見上げ(十四代)
36・筆を持てにはか俳人蜜柑食ぶ(酔楽)

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●平成22年●
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*今年は、697番からです。

697・大いなる寅の尾を食む嫁が君
698・片蔭に消えて一人の影法師
699・襟立てて一縷の風を押し止め
700・かじかんで結ぶみくじもままならず
701・霜焼けや徒党を組んで鳩の足
702・枯枝も折れぬ軽さや家兎
703・枯枝も折れて脳刺す酔死かな
704・とろとろと美酒におぼれし春の夢
705・総員帽振れ花より先に逝く
706・初桜迎へる先の吐息かな
707・名残雨濡れてあやなす花の塵
708・香りたつ素足のをみな闊歩して
709・箸を持て千手観音冷奴
710・片蔭に溶けて切り絵の
711・うつらつら桃源郷は冷酒池
712・素足たつ風透き抜けて波髪かな
713・ああ暑い仏の顔も三日まで
714・凌ぎぬく蝉の初声聞きながら
715・蚯蚓這う地上の楽園探しつつ
716・頑張れば足がつる体育の日
717.虫の音も二つに別る鉄路かな
718.たそがれて兎の耳は日向ぼこ


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12月23日


第7回 B.2俳句大会

1.障子貼る父の背中の丸きかな
2.叱られて隅を破った障子かな
3.なぞるほど暦の果ての軽さかな
4.病みし子とながめる障子あたたかし
5.昼過ぎの目覚めまぶしき白障子
6.手袋の代りにキミのあたたかさ
7.深酒と雑煮の果ての肥満かな
8.汲汲の心を溶かす柚子湯かな
9.君の右私の左は手袋いらず
10.温き夜とラジオは告げる初春や(天)
11.冬薔薇路傍の石に崩れ落つ
12.左右手袋かえるうれしさよ
13.障子越し古池に散らす枯葉かな
14.初春を迎へるまでのせわしなさ
15.障子越し酒盛りの音遠くなり
16.小春日にさぼりに出向く喫茶店
17.雑煮食べ今年も長いお付合い
18.久々の街に飛び交う雑煮自慢
19.温もりは吐息を包む掌
20.雑煮食う男独りも佳き夜かな
21.珍しいマフラーのキミ可愛くて
22.初夢は富士の噴火で茄子を焼く
23.手袋を借りる君のぬくもりごと(人)
24.6度C手袋ごしに伝へ合ひ
25.スコップの逆光にして今朝の春
26.夜明けより輝く銀杏の落葉かな
27.初春や今年こそはとみくじ引く
28.障子開く上は椿と下落葉
29.他人様の拍子ただ聞き酉の市
30.香るほど一縷の風や障子開く
31.ベリベリと破りし障子母想う
32.初春やなつかしき顔あたらしき顔
33.揃ふ朝家族の温もり雑煮から
34.白障子心の中も白障子
35.アパートの鉄扉も磁石で注連飾(地)
36.伸びおれば縮みもありし雑煮かな
37.雪もまた良いはと手袋渡す君
38.編み掛けの手袋古着と年を越し
39.酒飲みの父の雑煮はしょっからい
       
                 以上39句でした。

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