青葉が芳しい皐月5月を迎えました。ゴールデンウィークの最中、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。
リーマンショック以降、低迷を続けていました弊社です。しかし、昨年はヤットコさ回復の波に乗れ、久し振りに笑顔で新年度を迎えることができました。これもひとえに皆様のご尽力の賜と、心より御礼を申し上げます。
お陰様で決算も無事に終了いたしました。そこで、弊社が昨年度一年間を通して取り組みましたことの一部を、僭越ながらご報告をさせていただきたいと存じます。
T.品質目標
1. リピート量産における顧客クレームを、年間3件以内に抑える。
l 内部での不適合も含めて、総数が6件にも達しました。その内、明らかにわが社に原因があるものは2件でありました。内容は別としても目標件数以内に押さえることができなかったことは、大いに反省をしなければなりません。厳格な品質管理こそが、お客様の満足を得るための基盤であることを再認識しています。
l 内部不適合の一つに、「時間の経過とともに製品の一部に不具合が発生する」がありました。新規初回量産時には異常がなく、お客様のご使用にも全く問題がありませんでした。ところがリピート時の翌日検査において、製品にソリが発生していたのです。結果的にはすべてを廃棄処分にしましたが、もっと早い段階での発見が可能であったはずです。原因は原料にありましたが、検査以外にも量産中の製品チェックを励行することにしました。
2. ISO継続審査において、不適合事項を2件以内に抑える。
l 本年も不適合事項はなく、2年連続の目標達成でした。本当に嬉しかったです。
l ただ観察事項として、データ分析の励行が指摘されました。それは、蓄積したデータの統計的解析だけではなく、顧客満足を推進するための事前の活用方策が足りないということが根本にありました。当方から積極的にはたらきかけることの難しさを実感しているのですが、お客様へは「痒いところに手が届く」ような発信を心がけなければならないと自戒しています。
U.環境目標
1. 投入資源1sあたりの電力消費量を4.85 kWh以内に抑え、年間電力使用量を90,000kWh以内とする。
l 結果としては、投入資源1sあたりの電力消費量は3.28 kWhで、目標の67.6%と満足できる値ではありました。しかし、年間電力使用量は113,293 kWhで目標の125.9%と大幅に超過しました。
l 量産の計画性と不良率の低減が、ようやく電力の省エネに寄与するようになってきました。しかし、総量規制がこんなに景気に左右されるものであったのかと、身を持ってその難しさを体験いたしました。
2. 原料廃棄率を20%以内に抑え、廃プラを3t以内とする。
l 成形機の平均廃棄率は19.7%、廃プラ総廃棄量は3,569sで目標の118.9%でした。廃棄率はかろうじて目標達成に至りましたが、廃プラ総量は大幅に超過しました。
l 稼働率が高い350dでは分解洗浄を頻繁に行ったことで、異物混入による不良廃棄とパージ原料の減少が大きく寄与しました。一方、フッ素専用機である50トンは廃棄率が33.7%です。このことは量産数量の少なさが原因であることを如実に物語っています。
l 加えて、廃プラの量も景気に左右され、同様に総量規制の難しさを感じさせられました。
目標達成に邁進するとともに、様々な新しいことにも挑戦しました。
まずは冒頭の写真をご覧ください。この製品は弊社の技術力の粋を集めた「開発トレイ」です。サイズ1.8×2.oのポケットが、105×124o上に1,224箇所あります。そしてポケットの底には0.4oのリブを十字に配しています。収縮率によって寸法は変わりますが、成形できる原料はABSをはじめPP、PC、マルチロン、それにPEEKです。ソリやバリは極力抑えています。お陰様で関係各位様からは過分のご評価をいただきました。
「開発トレイ」のために、「奈良発ニュービジネス発掘・育成補助金」の交付を受けました。計画書づくりや審査はもちろん、その精算と報告書作成まで、税金を使わせていただくことの煩雑さたるや筆舌に尽くしがたいものがありました。未だに、「開発トレイ」をご採用いただけるお客様にはお出会いできていませんが、培いました技術力を存分に他の製品へ活かしています。そのためにも、税金をもってして御礼をしなければならないと決意しています。
「開発トレイ」を宣伝するとともに新たな営業展開のスタートとするべく「中小企業総合展2010 in Tokyo 」に出展しました。ビッグサイトでの3日間におよそ200名ものお客様に訪れていただきました。試作原料の提供やお客様がお持ちの商品とのコラボなど、思いもよらないことがもたらされました。展示会へ出展することが、単なる宣伝や新規顧客開発だけではないことが分かっただけでも大きな成果です。
本当に簡単にではありますが昨年度を振り返ってみました。今にして思えば、一昨年のヒマな間にやっておけばよかったのにとも思いますが、結構な忙しさであったからこそできたのではないかとも思います。人間でも企業でも目的を持って充実することこそが、前進のための基本であるのかもしれません。そのことを胸中に抱きながら、本年度も品質ならびに環境の目標などを立てて挑みます。
皆様のご懸念を払拭するためにも透明性を旨として、前期終了の折には中間報告をさせていただく所存です。もちろん、秀逸良品のためには『 粘 ・技奉 ・Up 』は言うに及ばずです。とは言え、まだまだ至らぬことばかりでございます。皆様の真摯なご指導とご鞭撻を頂戴したく、衷心よりお願い申し上げます。
まずはご報告まで。
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