ボイドが発生するのは、射出成形時における製品表面と内部の樹脂温度差によることがほとんどだと考えています。具体的には、このような経緯になるのではないでしょうか。
まず、射出された樹脂は金型の製品表面部に保持圧で押し付けられて硬化が始まります。次に内部の樹脂が硬化を始めるのですが、肉厚の大きな製品はなかなか硬化が完了しません。その状態のままで取り出された製品は、未だに硬化しきれていない内部の樹脂が製品表面側に引っ張られることになり、空間が発生してボイドとなります。
対策としては、製品設計段階において、肉厚の大きい部分を出来得る限り無くすことが肝要です。射出成形における成形条件で回避する場合は、残念ながら完全な方法は無いように思われます。無理に直そうとすると、製品には違った形での不具合が必ず発生します。以下の方法はバリやソリの原因となりやすいので、くれぐれもご注意ください。
冒頭で述べましたように、ボイドは内部の樹脂が外側へ引っ張られることで発生します。そこで逆の発想をして、出来るだけ金型温度を上げて、外側の樹脂を内側に引っ張らせるようにします。そうすることで、とりあえずはボイドを回避することはできます。しかし、成形技術者ならご存知とは思いますが、必ずヒケが起きます。少しぐらいのヒケで問題にならなければ良いのですが、ほとんどの場合はお客様からNGをいただきます。従って、ヒケ解消のために強い射出圧力をかけ続けることになります。ボイドやヒケからは解放されるかもしれませんが、今度はバリの心配をしなくてはなりません。あちらを立てればこちらが立たず。要は、如何にそれぞれのバランスに配慮をするかということになり、技術者の腕の見せ所となります。ただし金型の負担が大きいので、無理は禁物であることは言うまでもありません。
ご参照いただけましたか。日々精進。「 粘・技奉・Up NEVER GIVE UP !」です。
次回は、樹脂収縮以外のボイドについて述べてみたいと思います。
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