<CD - Classic #S07>
「アンセルメ&スイスロマンド」

エルネスト・アンセルメはスイス・ロマンド管弦楽団との共演で多くの作品をDECCAに残しています。 DECCAの録音技術とも相容れ、どれも名盤との評判が高いですが、そんな中からBEST 100/50に入っているものを紹介します。   by Masa



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チャイコフスキー:.バレエ《白鳥の湖》 作品20抜粋(6曲)、バレエ《眠りの森の美女》 作品66 抜粋(5曲)、バレエ《くるみ割り人形》組曲 作品71a

録音:1959年 ジュネーヴ
古今東西のバレエ音楽の中でも最も普遍的な人気を獲得している名作が、チャイコフスキーの作曲したこの3作品です。それらの聴きどころを一枚に収めたこのアルバムは、スイス生まれの大指揮者アンセルメが録音した、名盤の誉れ高い各々の全曲盤からの抜粋。「バレエ音楽の神様」と呼ばれたアンセルメの豊富な経験に裏付けられた巧みな演奏は、華やかな舞台を彷彿とさせる楽しさに満ちています。
ラヴェル:1.ボレロ、2.スペイン狂詩曲、3.亡き王女のためのパヴァーヌ、4.ラ・ヴァルス、5.クープランの墓

録音:1963年(1.2.4)、1961年(3)、1960年(5) ジュネーヴ
スペイン舞曲のリズムに乗って、たった2種の旋律を楽器を代えながら繰り返し、圧倒的なクライマックスを築き上げる前代未聞の名曲《ボレロ》をはじめ、フランス近代の作曲家ラヴェルが作曲した管弦楽曲の名品を収めたアルバムです。その巧妙で精緻なオーケストレーションを、ラテン的な明晰さと生き生きとしたリズム感覚で的確に再現したアンセルメの定評の高い演奏。
ドビュッシー:1.牧神の午後への前奏曲、2.《海》−3つの交響的素描、3.夜想曲、4.交響組曲《春》(ビュッセル編曲)

録音:1957年(1.3.4)、1964年(2) ジュネーヴ
伝統的な和声法や形式感から脱却してフランスの近代音楽を確立したドビュッシー。輪郭を溶かし込んだようなサウンドからモネやルノワールらの絵画にもたとえられ、音楽における印象主義と呼ばれたその代表的なオーケストラ曲を収録した一枚です。作曲者と親交があり、演奏に関しても様々な助言を受けたアンセルメの演奏は、古典的なドビュッシー解釈のひとつの規範とも言えるものです。
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):1.組曲《展覧会の絵》
ムソルグスキー(リムスキー=コルサコフ編曲):2.交響詩《禿山の一夜》
3.歌劇《ホヴァンシチナ》 前奏曲(モスクワ河の夜明け)

録音:1959年11月(1)、1964年4月(2.3) ジュネーヴ
ロシアの作曲家ムソルグスキーのピアノ曲を、フランス近代を代表する作曲家のラヴェルが、管弦楽の粋を凝らして編曲した《展覧会の絵》。現在では原曲以上にポピュラーになっているこの作品を、色彩的な作品の演奏には定評のあるアンセルメが指揮した名盤です。聖ヨハネ祭の夜に集う悪魔や妖怪たちの饗宴を描いた《禿山の一夜》と、冴え冴えとしたロシアの夜明けを描写した〈モスクワ河の夜明け〉も収録。
ボロディン:歌劇《イーゴリ公》〜〈だったん人の娘たちの踊り、だったん人の踊り〉/ボロディン:交響詩《中央アジアの草原にて》/リムスキー=コルサコフ:序曲《ロシアの復活祭》/リムスキー=コルサコフ:歌劇《皇帝サルタンの物語》〜〈熊蜂の飛行〉/グリンカ:歌劇《ルスランとリュドミラ》序曲/リャードフ:《ババ・ヤガー》 作品56/リャードフ:《キキモラ》 作品63/グラズノフ:交響詩《ステンカ・ラージン》 作品13

録音:1954年-1964年 ジュネーヴ
ロシア音楽の特色は、大地のぬくもりを感じさせるどことなく憂愁の色合いを帯びた旋律と、原色的で大らかなサウンドにあると言えます。このディスクに収められた作品は、いずれもそんな醍醐味を伝えてくれる名曲ばかり。ロシア音楽を得意としたアンセルメは、民族色をいたずらに強調することなく、持ち前の洗練された感性で作品のロマンティックな魅力を引き出しています。
シャブリエ:狂詩曲《スペイン》/オッフェンバック:喜歌劇《天国と地獄》序曲/オッフェンバック:喜歌劇《美しきエレーヌ》序曲/フランク:交響詩《呪われた狩人》/デュカス:交響詩《魔法使いの弟子》/エロルド:歌劇《ザンパ》序曲/トーマ:歌劇《ミニヨン》序曲/オネゲル:交響的楽章 第1番《パシフィック231》
録音:1960年-1964年 ジュネーヴ
エレガントで洒落たメロディ、機知に富んだ明るく洗練された感覚、管楽器が華やかに活躍するサウンド等々、フランス音楽の伝統は、ある意味でドイツ音楽の対極にあるものとしてイメージされてきました。このディスクに収録された8曲の管弦楽曲は、そんなフランス音楽の魅力に触れることの出来る作品ばかりです。定評の高いアンセルメの演奏がさらにその魅力を明快に伝えてくれます。
フォーレ:1. レクイエム 作品48
2. 組曲《ペレアスとメリザンド》 作品80、3.《ペネロープ》 前奏曲、4. 組曲《マスクとベルガマスク》 作品112

録音:1955年10月(1)、1961年2月(2-4) ジュネーヴ
ドビュッシーとほぼ同時期にフランスで活躍したフォーレのレクイエムは、父親の死を悼んで作曲されたもので、全編にしっとりとした悲しみの情感と死者の安息を願う敬虔な祈りが込められた清澄な音楽。カップリングのオーケストラ作品も洗練された透明感のある味わいが顕著です。フランス語圏を代表するふたりの大歌手を独唱に迎えたアンセルメの古典的な名演。
ビゼー:《カルメン》組曲(9曲)、《アルルの女》第1組曲(全4曲)、《アルルの女》 第2組曲(全4曲)

録音:1958年4月 ジュネーヴ
情熱の国スペインを舞台に、奔放な恋に生きるヒロインをめぐる悲劇を題材とした《カルメン》は、フランス・オペラの代表的傑作としてあまりにも有名ですが、その中の名旋律は独立したオーケストラ作品としても広く親しまれています。一方、ドーデの劇に基づく《アルルの女》も〈ファランドール〉や〈間奏曲〉など、なじみ深いメロディが登場する名作。フランス音楽を得意とするアンセルメの代表的名盤。