10月の八丈島島旅
2011年10月7日−10日
Good-by 2011’島旅
三宅島
旅の終わり

 船は、レインボーブリッジの下を通過し、まもなく竹芝桟橋に到着した。青ポシェも、無事生還を果たした。後は、東京タワーの下を通過し、約3時間のツーリングを経て自宅の到着するのみである。
 私にとっての、2011年の島旅は、こうして静かに終わったのであった。

御蔵島
さるびあ丸から見えた景色

 さるびあ丸は、10時に八丈島を出発した。御蔵島、三宅島を寄港して竹芝に午後9時頃到着する長旅である。2等和室の乗船券を持っていたが、特2等に切り替えての船旅を楽しんだ。

10月10日

 8時40分頃温泉を出た。寒くならないように、少し厚着をした。
 40分ほどで底土キャンプ場に着いた。午前中横間浦で見た若者グループがまだ調理をしていた。帰ってきたばかりのようだ。
 
 空を見た。かなりの星が見えた。植物園にも行っていないことを思いだした。あのグリーンぺぺはどうなったのだろう。大半のテントは明かりが消えていた。私も洗面をして、10時近くになってテント内の灯りを消した。

 さすがに「見晴らしの湯」は遠かった。中之郷を越え、末吉の村落に行き、そこから坂を下りていく途中にある。
 キャンプ場から、寄り道をしなければバイクで40分ほどだろうか。温泉の近くまで来ると、規則正しく空中を光が走っていく。末吉にある灯台が、船の安全を示しているのだ。灯台のあかりがきれいだと思った。
 500円を払って、中に入る。午後9時半が閉店時間だと言われた。
 露天に入る。この温泉の名前になったように、露天風呂からの見晴らしが、ここの売りである。しかし、暗い海しか見えなかった。時々流れてくる、灯台の灯りが、不思議な演出をしていた。熱くもなく、寒くもない風が心地よかった。

 八丈ストアーで、昨日に続いて鮭寿司とのり巻を買った。先ほどハイビスカスの天ぷらうどんを食べたが、満腹感までほど遠い。それに、昨日食べた寿司味が気に入ったからである。

 夕食を済ますと、そのまま、バイクで大坂トンネルを目指した。どうしても温泉に入りたかったが、あまり遅くなると寒くなると嫌なので、早めの行動である。

 樫立まで来ると、明かりのともった提灯が並んでいる場所があった。一度通り過ぎたが、気になってバイクで引き返した。どうやら、お祭りをやっているようだ。島のお祭りとなると、なぜか心が引かれる。警部の景観に断って邪魔にならないところにバイクを停めた。そして灯りがこんこんとついている神社にお参りしたところ、宮司らしき人がいて、交通安全のお札とお持ちを下さった。

金比羅神社祭り、見晴らしの湯

 しょうさんたちに挨拶をし、南原園地に夕焼けを見に行った。何度見ても、心が落ち着く。

 しょうさんからハイビスカスの天ぷらを作ってもらうだけでは悪いので、うどんをごちそうしてあげようと思った。スーパーで、うどんとスープを買った。乾麺では時間がかかるので、生麺を買った。
 しょうさんは、すでにハイビスカスとアシタバの天ぷらを作り終わっていた。私も慌てて、うどん2人分を作ったが、しょうさんはすでに食事が済んだと言い、固持した。すぐそばに、天ぷらを先に食べていた釣り人がいたので、彼にごちそうしてあげた。

 

 うどんを食べながら、しょうさんと釣り人の3人で世間話をしていたら、夕焼けの時間が近づいてきた。

ハイビスカスの天ぷらうどん

 登龍園地からの景色は、残念ながらややがすっていたが、素晴らしい景色であることには変わりない。5分ほどそこにたたずんで、景色を楽しんだ。まるで天界から下界を見下ろしているような気になった。
 対岸に見える八丈富士が、少しずつ見えにくくなった。道路が、少しずつ下に下りていった。道路標識をたどりながら、底土港までついた。

 シーズンオフと言うこともあり、こちらを回ったらほとんど車とすれ違うことはなかった。すれ違ったのは2台、追い抜かれたのは3台・・・。

登龍峠道

 シャワを浴び、濡れた衣類をバイクのかごにしまった。
 あまりゆっくりしていると、登龍峠を回ってキャンプ場に行くのが遅くなる。しょうさんと4時過ぎに約束しているので、遅くなることはできない。明るいうちに戻らなければならない。
 中之郷を出て、末吉周りで進んだ。末吉に入ったところで、白バイを先導にパトカーが2台、消防車が5台という大きな集団と出会った。何か事件かと思い、おどろいた。でも、あれは何だったんだろう。

 カメラを持って1往復したら、泳ぎにくいこともあり、予想以上に疲れてしまった。30分を超える、シュノーケリングだった。岸壁についていたはしごを登って、桟橋のコンクリートの上に横たわった瞬間、足がぴくぴくした。足がつる直前だったようだ。半分青ざめた状態で、シャワーを浴び、足湯に浸かった。ここでも石の上に横たわった。石の熱が私の体に吸い寄せられて、心地よい。

 左側の壁伝いに、女の子が2人ほど泳いでいるのを見た。船着き場の方にも、年配の男性が上半身裸でひなたぼっこをしていた。もしかしたら、泳いで、体を休めているのかもしれない。
 私はバイクで対面の防波堤側に行った。ここからエントリーして、往復しようと思った。

藍ヶ江港でも泳いだ

 1時間近く、泳いでしまった。今回持ってきたヤシカの水中用デジカメを使った。50枚以上撮影したのに、ちょっと動くとぶれまくりの写真しか撮れなかった。楽しみしていたのに、まさかの気に入った写真0枚だった。
 シャワーを浴び、水を絞った後、溶岩でできた石の上に横たわった。夏ほどではないが、20分ほどですっかり乾いた。温かくて気持ちよかった。真ん中の人工プールの周りをゆっくり回った。

 おっちょが浜に来て驚いた。なんと幼稚園ぐらいの小さな子どもが、お父さんに浮き輪のロープを引っ張られているとは言え、海の中にいるのだ。私は興奮したようになってしまい、シュノーケリングをすることしか考えられなくなった。
 下まで来てダイバーにくくと、水温は、26,8℃だという。気温も、今日は申し分ないほど温かい。Tシャツ1枚でも、バイクに乗っていて寒くない。
 もう泳ぐしかない。
 ヤッホーーー

 同じ場所なのに、昨日とは全然違う海に来ているような感じだ。
 何にも言葉が出てこなかった。何か言葉を発するための、脳のはたらきが停止してしまった感じだ。
 先ほど寄った、横間浦の緑が私を呼んでいるような気がした。

 海を見ていたら、大型ワゴンで若者たちがやってきた。彼らに見覚えがある。底土キャンプ場にいて、昨日アカハタを何匹が突いてきて、食べていた連中だ。そうか、こんな風に、島旅を楽しんでいるのかと思った。
 横間浦の玉石を洗っている海がきれいだ。透明感もそうだが、色が素晴らしい。波もほとんどない。昨年の夏よりも、穏やかなくらいだ。
 どうしよう?ここで泳ごうか?
 一番下の玉石の所まで行った。玉石がごろごろしていて、海の生物たちと会うには、かなり沖合まで行かなければならない。ムムムム・・・。今日は、やめよう!!!!

 この玉石が積み重ねられたところに来ると、八丈の歴史を感じてしまう。里長のため、海岸からこの石を持ってきた島民の苦労はどんなものだったろう?ここだけ、時間が止まっているような気がする。

 展望台もでき、前よりも八丈小島がよく見えるようになった。昨日の天気なら、海の色は景色を台無しになってしまうが、今日は、夏の日も劣らぬ暗い素晴らしい景観だ。

 上の方にも、一周道路が続いている。ほとんど雲が出ていない。下を見るとガスっていて町並みがくもって見える。今日なら山頂まで登っても、八丈島を見下ろせるだろう。頂上への登山道まで行ったが、逆に、海もきっといいだろうと思った。そうだ、早く海を見に行こう。泳ぐなら、早いほうがいい。
 牛を放牧しているところも、今日はパスして、富士中学校の方面へ下りることにした。

 八丈富士が大きく見えてきた。富士の麓に近づいてきた。所々にある木々の隙間から海を見ると、昨日とは打って変わってきれいな海が広がっている。青い海が戻ってきた感じだ。

 思いの外、早めに準備ができ、8時にはもうキャンプ場を出発した。今日のコースは、午前中、八丈富士川のツーリング。お昼頃海で泳いで、午後は三原山周辺のツーリング。そしてしょうさんのハイビスカスの天ぷらを食べて、夕焼けショー。夕食を食べた後「見晴らしの湯」に行って、星空を見ながら寝よう。盛りだくさんだが、無理ならどんどんカットしていけばよい。

 最初に東海汽船に行き、明日バイクを持ち込む時間を聞いた。
 次にそこどこに沿って神湊方面に進んだ。

八丈島散策
ハイビスカスの油炒め

 朝が来た。
 暗い内に出て、末吉の方に行き、朝日を写真に収める予定だったが、すっかり寝坊してしまった。
 まるで夜中に雨が降ったかのように、カバー部分がすっかりぬれていた。足もとの芝も、びっしょりだった。これなら、タープを張れば良かったと思ったが、もう手遅れである。トイレに行った。
 その後、何枚か写真を撮った。よく考えたら、底土港は東の方を向いているので、ここでも朝日が拝めるではないか。

10月8日
10月8日

 船の中で知り合いを捜そうとしたが、あまりにも混雑がすごくて、移動ができない。釣り道具だけでなく、ダイビングの大きなカバンが所狭しと並んでいて、通行を妨げているのだ。
 特2等の部屋に荷物を置くと、珍しくデッキに出たくなった。今年は、これで島旅が終わりかと思うと、少しでも思い出を作っておきたいという衝動にかられる。レインボーブリッジの下を船が通過する瞬間を、若い連中に混ざってみていた。といっても、彼らみたいに歓声は上がらなかったが・・・

 株主優待券が使えないと、7000円ぐらいの金額が変わり、大幅に変更を余儀なくされることになるが、かろうじてそれは避けられた。これで夕食は抜かなくてすむと思い、近くの店で250円の牛丼並を食べた。株主優待券を持参していれば、大好きなつけ麺にあるつけたところだが、それぐらいが覚悟しよう。同時に、近くのコンビニで100円セールをしていたおにぎり3個を購入した。これは明日の朝食分だ。

 東海汽船の待合所に戻ると、長蛇の列ができていた。一瞬、夏の大島航路と間違えそうな人混みだった。もしかしたら、大島航路よりも混んでいたかもしれない。変なサテライトを通過するより、岸壁からタラップで直接乗り込む方が私は好きである。並ぶのが嫌いな私は、かなり後ろから乗り込むことになった。

竹芝到着が不幸の始まり・・・

 竹芝でゆっくりするつもりだったので、急いだ結果、6時40分には竹芝に着いていた。7時にバイクを預けられると思っていたら、係員に7時半だと言われた・・・・・・・。仕方ないので、ベンチに座り、バイクを預けられる時間を待つ。
 驚いたことに、7時頃からキャンセル待ちをねらうために並んでいる人がいた。話をしたら、御蔵島でドルフィンスィームを楽しむらしい。八丈航路のベテランらしく、何度も八丈島や御蔵島に渡っているようだ。半袖半ズボンだったので、寒くないのか心配してしまった。

 時間をつぶしていると、仕事で八丈島に行く人が、同様にバイクを持ち込んできた。その方とも話をした。八丈島は初めてらしい。いくつか質問され、わかる範囲で答えた。

 乗船券販売開始は8時からといわれたが、インフォーメーションセンターでは、早めに売り出していた。予約ナンバーを告げ、株主優待券を渡し、往復の金額を出した。
 突如応対してくれた女性が立ち上がり、何か確認しに行ったようだ。戻ってくるなり、「この券は昨年の物なので、使えませんよ」と言った。寝耳に水というのはこのことだろう。よく確認しないで持ってきてしまったようだ。「後で送るから、今日は株券扱いにしてほしい」と提案したが、上司が出てきて「今日はノーマルな金額でしか販売できない」ときっぱり言われた。少し善後策を講じたいので、その場では購入しないで、どうしたらいいのか考えた。

 真っ先に、9月にご一緒したmyoさんたちのことだ。「式根島に行く」といっていたことを思い出し、「余分に券があったら貸してほしい」とメールを出した。返事はすぐになかったので、浜松町駅まで歩き始めた。 以前、島仲間の一人に、神田の大黒屋に行けば売っているという噂を聞いたからだ。

 浜松町に着いたのは、7時52分。もし8時までなら間に合わないが、じっといていることができず、150円の切符を買うと山手線に文字通り、跳び乗った。
 神田駅に着いた。交番で道を聞き、店まで行ったが、並んでいる数軒の金券ショップはみんな閉まっていた。力が抜けた。「やられた」といって、がっかりしている時間はない。

 次の策を考えねば・・・・。携帯を見る。まだ返事はない。
 奥の手。。。。東海汽船の乗船券売り場で見ていて、株主優待券を持っている人に片っ端から声をかければ、1人ぐらい売ってくれる人はいるだろう。

 東海汽船の待合所に着くと同時に、myoさんからメールが届いた。なんと!なんと!、島だでなく山に登るという。ということは、知り合いに出会うか、株主優待券を持っている人に当たるしか方策はなくなった。

 つり客にねらいを絞り声をかけた。最初の人が反応した。値段をどうするか?500円にするか、1000円と弾むか。もし低い値段をいって、購入できなかったら、元も子もなくなる。簡単な引き算をして、仮に2枚を2000円で買っても、ノーマルに買うよりは5000円ほど安い。決まり!!!!
 おもしろいことに、最初声をかけたときはびっくりしていたが、「1枚1000円」という言葉に、目の色が変わったのを感じた。あっさり交渉終了。

 連休前なのか、あるいは早い時間帯なのかわからないが、割合と都心はスムーズに走ることができた。
 いつものように東京タワーの下に着て、ほっとする。ライトアップしていた。やはり東京タワーは明かりがともらないと、全然つまらない物になってしまうと思った。よく見ると、満月に近づきつつある月が、見えた。

 7日午後、休暇を取った。焦るとろくなことがないので、のんびり行くつもりだった。バイクの荷台のコンテナに荷物を積み込んでいった。バイクだが、ガソリンは満タンにした。
 問題は服装とシュラフである。最高気温25度、最低気温17度の予報であった。夏用のシュラフは軽くていいが、寒いと体調を崩してしまう。かといって、厚手のシュラフを持ち込むと、荷物がかさばる。そこで、夏用の薄いシュラフと、コールマンで出ているインナーシュラフを持って行くことにした。服装も、中綿が入っているジャンパーを一番外側に着ることにし、内側のシャツ類で調整することにした。
 財布を忘れそうになったが、しっかりポシュエットに入れた。

 今工事の時期なのか、やたらと道路が混んでいた。五日市街道から井の頭道路を通過する、いつもの道を選択した。青梅街道沿いに新宿を通った方が1時間近く着くが、バイクも島旅の楽しみの1つである。
 途中、いつものすいているマックで休憩がてらハンバーガーを食べようとしたら、その店はラーメンチェーン店に変わっていた。
 2時間近く走って、マックとダイソーがつながっている店舗があったので、そこで休憩する。ハンバーガー2個とホットコーヒー。やや寒かったので、ラーメン類の方が良かったなと後悔した。
 靴下と下着を忘れていたので、ダイソーで2組買った。

10月7日
はじめに

 昨年、久しぶりに訪れた八丈島の雰囲気が良かったので、今年もぜひ行きたいと思っていた。そのため、8月17日から4泊のキャンプ生活を計画し、船やバイクの予約もした。ところが、今年は天候不順で、計画した日は、雨雲が連日八丈島を通過し、降水確率40〜60%の日が並んでいた。ただでさえ雨が多い八丈島なので、キャンプするには、不都合だと思った。その時は、式根島に行ったが、やはり八丈島に行きたい。
 9月前半の連休は台風にたたられ、後半は切符がとれなかった。キャンプしながら海で泳げる限界は、10月の3連休が最後だろう。その日にかけたが、出遅れて2等和室の切符はとれなかった。キャンセル待ちも、100人以上いるという話であった。
 バイクの方は早めに予約が取れていたので、後は乗船券が2等椅子席から変わることを期待していた。特2等がとれた段階で、長旅なのでゆっくりベッドに寝ながら行くことに決まった。日数は、船で1泊、キャンプで2泊である。

竹芝まではすいすいだった

 一度テントに入ったが、9時過ぎにテントから出てきた。
 隣のテントの住人が、ダブルバーナーを使って食事をしていた。見ると、八丈ナンバーだが、原付バイクがあるではないか。バイクを見ると、妙に親密感を抱く。話しかけてみた。

 彼は、船の予約の関係で、私より1日早く到着したとのこと。現地でレンタルバイクを借りていた。値段を聞いたら予想外に安く、八丈島だけなら、今度私もここで借りたい気になった。ダイビングに来たというので、八丈島の海のことをいろいろ聞いた。更に話が弾んで、仕事の関係で沖縄に住んでいるという。私がよく行った、ルネッサンスにも関与していたらしい。更に更に、しばしば伊豆諸島を旅していて、最も訪れる回数が多いのは神津島だという。もしかしたら、夏の時期神津島ですれ違った可能性だってあるのだ。

 気付いたら、1時間以上はなしをしていた。いつの間にか夜露も降りてきて、体もかなり冷えてしまった。インスタントコーヒーをごちそうになり、テントに入った。
 灯りを消すと、すぐに意識がなくなった。

夕食、そして・・・・・

 夕食は、まだ八丈島に来て魚を食べてなかったので、島寿司を食べようと思った。株主優待券ことがあるので、あまり今回は贅沢をできない。メダイの寿司の方が安かったが、金目鯛を食べたかったので、300円を上乗せした。1パック8個しか乗っていなかったので、当然足りない。後は安い鮭のお寿司も買った。べっ甲の方は、思ったより甘ったるく感じた。しかし、おいしく食べた。

 南原園地に行く。20人以上の人々が、カメラを持って集まってきていた。ピンクがかった空が、あっという間に暗くなっていった。その変化の途中、一人、また一人と帰路に向かっていった。
 午後5時半を確認したところで、私もバイクのエンジンをかけた。あまり暗くなると、道路の状態がわからないので、完全に暗くなる前に移動を始めた。

 途中、もう夕日ショーが始まっているのを知った。坂上から坂下を結ぶ、この陸橋の上で見ていても良かったが、南原園地に行った方がいいような気がして、そちらへ向かった。

夕日&夕焼けを見よう!

 この後、末吉の方も回ってみようと思い、バイクを進めた。しかし、登龍峠を回っていたら、夕焼けに間に合わなくなるぞと、計算した。蛍の見えるところで、Uターンをした。大阪トンネルを通って戻った方が賢明だ。昨年のように、八丈小島を背景に夕日&夕焼けを見ようと思った。この時期なので、暗くなってから、夕食の食材を求めても、時間的には十分大丈夫だろう。

 店頭でソフトを食べている人に魅せられ、私もソフトを食べたくなった。久しぶりに味わう「中田屋のソフト」である。アシタバとバニラのミックスを頼んだ。最初口に含んだ瞬間、「こんな味だったっけ?」と思った。最近は、コンビニでもどんどんおいしいソフトやアイスが出ている。そんな中、昔ながらの味を味わった。270円だった

 温泉にも入った。ここは無料の温泉である。
 夏と比べると、空いていた。地元の人がいて、そこで大きな声で話をしていた。

 海に入れないとすると、島の散策か温泉しかなくなる。今回は、釣り道具を持参していなかった。
 昨年に引き続き、裏見ヶ滝を見に行った。看板の所から10分も歩かないうちに到着する近さだが、ヘゴシダが好きな私は、何枚か写真を撮った。 滝の落ちているところは、誰もいなかった。のんびり、滝の落下しているところを見ていた。

裏見ヶ滝と温泉

 足湯から出ると、下の藍ヶ江港まで出かけた。泳いでいる人はいなかったが、釣り客はたくさんいた。
 下を見ていると、イカの赤ちゃんがたくさんいた。

 どうも私は、足湯があまり好きでないようだ。すぐに飽きてしまい、出てしまった。普通の温泉なら、かなり長い間浸かっていられるが、足湯ではどんなに粘っても10分が限度だ。

 海の色を見て、今日は海に入るのを断念した。そこで、足湯に浸かった。

 食事をしていると、地元のおじいさんがやってきた。私に話しかけてきた。自分のことを、なぜか話しかけてきた。あまりここで時間をつぶしたくなかったので、適当に話を切って先を進むことにした。今度は、隣の中之郷にある藍ヶ江である。途中、ピンクのきれいなハイビスカスがあった。裏見ヶ滝温泉周辺では、ヘゴシダがあった。 

藍ヶ江

 しばらく海を見ながら、ボーーっとしていた。しかし、なかなか体が温まらない。これが夏とは違うところだ。八丈島を過信していた。坂をバイクで登り、都道に面したところにある富次郎商店に行き、カップ麺と調理パンを買った。どこかでお湯を沸かそうと思っていたら、お湯をくれた。店のすぐ近くのバス停のベンチに座って食べた。ようやく、体が温まった感じになった。食べ終わった入れ物などは店の方が片付けてくれ、親切な店だった。また利用したいと思った。

 仮に空がもっと晴れていても、もう夏の海の色ではないなと思いながら、海を見ていた。
 ちょうどダイビングが終わって帰ろうとする車の人に声をかけ、海の状態を聞いた。水温はまだ25℃あって、それほど寒くないという。ラッシュガードでも大丈夫かと聞いたら、30分ぐらいなら全然へいちゃらだろうという返事であった。
 その言葉を信じ、着替えをして、泳ぐことにした。真ん中の人工プールを挟んで、右側の海を選んだ。成る程、水温は、確かに高めだ。入るとき、少し水慣れの時間が必要だが、一度頭まで入ってしまえば、夏の頃の水温とそれほど変わらない。シュノーケリングをしながら水中を観察した。大きな岩に、珊瑚が付着しかかっているのが見られた。強い波が岩を洗うためか、テーブル珊瑚が岩の上で成長できないらしい。やや深めを見てみると、そこには小さいながらテーブル珊瑚がその姿を現していた。

 ぴったり30分で海からあがった。風が寒く感じた。考えてみれば、水温より気温の方が冷たいのだ。慌ててシャワーの方へ走った。最初は、温かい水が出るが、すぐに冷たくなる。しかし、気持ちよい。全身の塩を落とした。
 ラッシュガードを脱ぎ、すぐに絞る。更衣室で水着を脱ぎ、こちらも強めに絞った。簡単な着替えをし、黒い岩を選んで横になる。夏なら、焼き肉になりそうなところだが、体の暖をとるには不十分だ。とりあえず、乾かすことに専念した。

 歌碑の並ぶ最後の大きなカーブを曲がると、下にきれいな海が見えてくるはずだ。が、今日は、あいにくの天候で、雲が多く発生している関係で、景観は今一つであった。下にダイビング用の車が幾つか入っているので、ゆっくり下りていく。

 この辺り袋小路の道があるので、少し不安になるが、ちゃんと道案内番が立ち並んでいた。慣れないと、「乙千代が浜」は「おっちょが浜」とは読めないだろう。更に道を下っていくと、何個か歌碑が並んでいる。

 釣具店があった。昨年も思ったが、なぜか懐かしい香のする家屋であった。子どもの頃見たことのある、そんな記憶の底に眠っている風情があった。そのすぐそばには、うどん屋がった。確かこの辺を右に折れていくんだったなと思いつつ、右折した。八丈島の南側は黒潮の影響で岩がかなり削られ、険しい崖になっている。八丈島を一周している都道から、海へ出るためにはそれなりの坂を下っていかなければならないわけである。

おっちょが浜へ

 できたら、海へ入って泳ぎたいと思った。わざわざ伊豆諸島の南部にある八丈島まで来たので、ここの海で夏の締めくくりをしたかったからである。
 八重根のタイドプールはだめだった。先ほどの展望台から覗いた横間の海も今一つであった。あとは、おっちょが浜か藍ヶ江しかないかなと思った。
 坂上地区で一番最初にあるのは樫立である。そこにあるおっちょが浜へ向かうことにした。

最終日に見た八丈島の光景

 昨日うどんを食べさせてあげた釣り客が、かっぽれの子どもを釣ってきたと言いう。まん丸のアジの仲間だ。それを、しょうさんが、包丁でさばいてくれた。2個しかないおにぎりだったが、その釣り客にあげ、変わりの刺身を食わせてもらった。この物々交換がいいなと思った。
 その釣り客だが、家から連絡がないので、もう1日日程を延ばすという。

 9時までにバイクを東海汽船まで持っていかなければならないので、テントの撤収と片付けに生われた。あまり荷物を出さなかったので楽かと思ったら、夜露にテントが濡れ、びっしょりだったので帰って大変だった。

 少し早めに片付いたので、バイクで20分ほどは海伝いを走り、9時ちょうどにバイクを合い札で預けた。3060円だった。この後、船の出航まで、底土港周辺で、ぬったり過ごした。

 中之郷の藍ヶ江でも泳ぎたくなった。壁伝いの岩に、たくさんの生物がいることを思い出したのである。
 ここも、昨日とはまるで別人の表情をしていた。青い海が、素敵な輝きをしていた。

おっちょが浜に遊ぶ

 さすが、10月10日、東京オリンピックの開会式の日だ。見事な快晴。そして最後の夏を思わせる日!
 早く海にはいりたい。海に入らなくてはいけないのだ。そうでないと、後悔する。
 昨日と同じおっちょが浜へ急いだ。

大坂トンネル展望台
横間浦海岸
馬路〜大里

 アロエ園のすぐ近くから、登山道を進んだ。こちら側から登ると道はきれいだし、八丈小島の景観が素晴らしい。しばらく、八丈小島を楽しみながら進んだ。

 昨日の夕日とは逆で、あっという間に明るくなっていく。そうこうしているうちに、テントのジッパーが開き、人々が出てくる。

 まだ6時前なのに、「しょうさん」が来ていた。朝の挨拶をした。5時半には、もうキャンプ場に来ているという。どうやら、すぐ近くに住んでいるようだ。インスタントラーメンを作っていた。
 どうせもう眠れないので、私も朝食をとることにした。昨夜買った焼き鮭の弁当である。これにインスタントの味噌汁という献立だ。

 しょうさんの話相手になり、少し八丈島について話を聞くことにした。82歳という年の割には博識で、次々と言葉が出てくる。昔役者を志したというのは、伊達ではない。しょうさんのおいたちから、八丈島の歴史、自然、挙げ句の果てには食べ物の話まで及んだ。
 その中で、「ハイビスカスの天ぷら」の話になった。昨年もキャンプ場で食べている人はいたが、私はまだ口にしたことがない。それを言ったら、突然たちあがったしょうさんは、しぼんだハイビスカスを摘んできた。
 「小麦粉がないけれど、油で揚げてみる」
と言い、私のために、あっという間に10個ほどのハイビスカス料理を作ってくれた。更に、持っているお持ちを油で揚げ、あげ餅を私に勧めてくれた。
 初めて食べるハイビスカスの炒め物だが、お世辞なしでおいしいと思った。かりかりになったところが、食感が良く、どんどん口に入る。私だけで独占しては悪いので、炊事場に来たキャンプにも味見をさせてあげた。
 気をよくしたのか、しょうさんは夕方、今度は天ぷらにしてあげるので、ぜひ食べろと言う。5時までにはキャンプ場に戻ってくる約束をした。

各島接岸可能

 缶酎ハイを飲みながら、辛いピーナッツをほおばっていた。三宅島と御蔵島は、条件付き寄港と言うだけあって、竹芝を出るとすぐに、ローリングが始まった。天気図からは見えない何かが、船を襲っているのだろう。個人的には、あまり好きでないリズムの船の揺れだった。途中で気分が悪くなり、1缶空けずに横になってしまった。

 最近は、少しアルコールが入ると熟睡してしまう傾向にある。

 目が覚めたのは、三宅島に着いてからだった。2段ベッドの上だったが、そのすぐしたまで下船客が並んでいた。なかなか下りにくい状態であった。1人は気づいて少し動いてくれたが、後の連中は、平気の顔して並んでいた。トイレが間に合わなくなるといけないので、声をかけながら移動することにした。Aデッキから顔を出してみると、三宅島はまだ暗かった。見慣れない景色にぼーっとしていたら、錆が浜についたことがわかった。どうやら、三池港方面には火山ガスが流れているようだ。

 三宅島には、私の予想を超える人数が下りていった。これだけ乗っていれば、キャンセルも出ないだろうと思った。夏と違い、あたりは本当に真っ暗だ。もし今回三宅島でキャンプするとしたら、果たしてテントサイトが確保できただろうか、そんなことを考えていた。大久保浜のサイトは狭いので、先着何人かできられてしまう可能性もあるなと思った。よく見ると、大半がつり客のようだ。

 眠いので、またベッドに入り横になる。幸い下の方の席が空いたので、そちらの方へ移動させてもらった。

 1時間ほどして、御蔵島に到着した。船内が点灯され、カメラを持ってデッキに出る。
 いつの間にか夜が明けたようである。御蔵島の御山の上には、薄暗い不気味な雲が漂っていた。
 デッキで見ていたら驚いた。タラップをどんどん人の波が動いているではないか。300人以上の人だ。それも、若い女性が多い。一目でダイビングと言うことがわかる出で立ちであった。ほとんど下りる人がいなかった昔の御蔵島を知っている私には、驚きの風景でしかない。予想できなかった情景を、ぼーっとした頭のまま見ていた。
 そういえば、竹芝桟橋の先頭に立っている人と話したら、人が泊まれる宿は13軒あると言っていた。もし条件付き出航で着岸できなかったら、船内はもっと混雑しているんだなと思いながら、ほっとしている自分がいた。
 三宅島は、着発といって、帰りは寄らないという条件で、さるびあ丸は出発した。

 八丈島まであと2時間半はゆうにかかる。
 また特2等のベッドに入り、カーテンを閉めた。いつの日か、また御蔵島によってもいいかなと思った。御蔵島の山の中を歩きたくなった。三宅島にバイクを置き、ここをベースとして1泊あたり計画を立ててみようかと思った。

八丈島到着

 午前10時10分予定より10分早く八丈島底土港に到着した。
 タラップのかかったCデッキから、たくさんの人をはき出していた。私はというと、どうせバイクが出てこないと動けないので、のんびり下りることにした。
 チラチラと、キャンプをしそうな人間に目がいってしまう。キャンプサイトにテントを張るまでは、みんなライバルなのである。
 下船口で、バイクを受け取る場所を確認し、のんびり海に沿って歩いていった。ダイビング客を待ちかまえる車が、まるで道路を覆う様に並んでいた。ちらほら民宿やホテルの名前を書いた旗を持って、客待ちをしている姿も見られた。

 今回私バボの宿泊先は、八丈島の1等リゾート地「SOKODO」である。気取った言い方をしたが、「底土野営場と」いうところが、これから2泊する私の宿泊先である。

 下船口で、特2等とかかれた切符を渡す。船を下りた。すぐに空を見る。やや薄く引っかかれたような空きの雲が目に入った。八丈島まで来れば、東京よりも秋の訪れが遅いかなと思っていたが、それは単なる願望でしかないことを知った。東京とあまり変わらない気温であった。
 八丈富士を目指して歩いていけば、バイクの受け取り先があるらしい。

「おじゃりやれ!」
八丈島の海と空と緑が私を迎えてくれた。
 すぐにバイクを渡され、キャンプ場にまっしぐら・・・

 キャンプサイトは、一見ガラガラのように見えた。しかし、いざテントを設営しようと思うと、「これは!」と思うところが見つからない。ロープを張れる場所がなかったり、斜面が平らでなかったりするのだ。
 管理人のように、この底土キャンプ場にやってきて面倒を見てくれる「しょうさん」に挨拶がてら相談をすると、「OOOは温かいから、あそこがいいよ!」というアドバイスをもらった。

 そのアオドバイスに従い、奥まった日当たりの良いところに張った。ここなら、洗濯物を干すロープも張れる。ただし、棒を使わなければ、タープを張ることは難しい。椅子として使える溶岩はなかったが、まあまあの場所である。65点の及第点か?

懐かしの八重根に挨拶

 まずは、八重根の方に向かった。どうしても昔慣れ親しんだ場所を見なければ落ち着かない。場合によっては、そこで泳ぐかもしれない。
 いろいろな行き方があるが、底土海岸を眺め、東海汽船のところで右折する。東畑・護神と交差点を進み、八丈ストアーによってお弁当の買い足しをする。昨夜おにぎりを1つ食べてしまったので、おにぎりが2つ入っている弁当を買った。そして、野菜ジュースとお茶。枕になるので、早めに2L入りのウーロン茶も購入した。
 このストアーの前を直進すると、空港へ続く道とぶつかるので、空港を通過してから八重根港に向かう。昨年来たばかりなのに、どう行けば最短距離なのか忘れてしまっていた。

 少し雲が出てきたようだ。天気予報的に言うと、曇り時々晴れの状態だ。周りを見回すが、誰も泳いでいない。そうか、10月ともなればさすがの八丈島も夏が終わっているのか。ちょっぴり寂しい気持ちになっていたら、海の中に色が少し変わっている場所があった。水色の点を目をこらしてよく見ると、ダイビングの練習をしているようだ。もうダイビング1色なのかなと思いつつ、バイクにすわりおにぎりを食べ始める。暑くもなく、寒くもなく、万人には申し分ない天候なのかもしれない。しかし、私バボには物足りない陽気である。夏が去っていくことが、許し難い出来事なのである。
 おにぎりを4個食べ終わったところで、ダイビングをしていた男女2人が上がってきた。シャワーを浴び終わったところに声をかけて聞いてみると、「水温はそれほど低くない」ようだ。しかし、ここで泳ぐ勇気がわかず、先を進むことにした。

 ヤケンが浜周辺に移動するが、空が今ひとつぱっと晴れないので、海の色もさえない。寒そうな海の色をしていた。さすがに、ここでは海に入りたいという意欲さえわかない。遠くに見える八丈小島が、幾分か寂しそうにかすんで見える。「八丈島で泳げないのなら、わざわざここまできたいみがないのかな?」と、真剣に思ってしまった。

 南原という公園を越え、宇喜多秀家の像が建っているところまで進む。
 こんな天候の元にいると、宇喜多秀家の気持ちがわかるような気がした。夏の間輝いていた海のグリーンが色あせ、灰色の海に変わる。しかも冬場は、もっと海がしけて、絶望感を抱かせるような波がどんどん押し寄せてくるだろう。魚も捕れなくなり、寒さだけが身にまとわりついてくる。何となく気持ちがブルーになってきて、今ひとつモチベーションが上がらない。秀家港の顔の表情が、何となく印象的であった。

 海沿いの道を進んでも、あまりおもしろくないので、八丈島1周道路とぶつかるところで、永郷の方面には向かわず、右折して、大坂トンネルの方を目指した。こちらに行けば、温泉という選択肢がある。

大坂トンネル

 真っ赤なハイビスカスと出会い、少し心が晴れてきた。やはり南国らしい、この花いい。
 まっすぐな道路に出た。昔、八丈島に来たとき、タクシーの運転手が「東京で一番長い直線道路」と行っていたのを思い出した。本当かどうかわからないが、左右に背の高い椰子の木を侍らせ、ずっと続いている直線道路は見ていて気持ちよい。ここを直進すれば、大坂トンネルに続く道に遭遇するだろう。

 オフシーズンを実感した。ほとんど車が走っていない。通行止めがあるのではないかと心配するほど、道路はガラガラだった。この大坂トンネルに入る直前に展望台があるのだが、駐車場には1台も車がないし、この景色も独り占めの状態であった。確かにガスがかかって、景色も今ひとつだから仕方ないだろう。でも先ほどよりは、夏が少し盛り返しているような気がした。
 改めて今来た道を振り返ったが、ずいぶん難所だなと思った。この道路を造るのに、たくさんの苦労があったことを思い知った。心なしか、マイバイク「青ポシェ」も写真の中では遠慮がちに写っていた。
 ああ、青空の下でこの景色を見たい!! 切に思った。

八丈島