ニコンZ5用に作った3号の135mmF5.6の光学系はそのままに、直進ヘリコイドとしてネットショップの「デジカメ用品店」から繰り出し機構、すなわち直進ヘリコイド付きのマウントアダプターを5,980円で購入。これに交換するのですが、CAPA6月号のコラムに書いたようにヘリコイドを繰り出すと現れる鏡胴にグリスが滲み出てしまうことから、これに触れないようボール紙で太いフォーカスリングを作って覆いました。また像面フラットナーとしての凹レンズも付け替えました。引き出し式のレンズフードはそのままです。
ニコンZ5用に作った3号の135mmF5.6の光学系はそのままに、直進ヘリコイドとしてネットショップの「デジカメ用品店」から繰り出し機構、すなわち直進ヘリコイド付きのマウントアダプターを5,980円で購入。これに交換するのですが、CAPA6月号のコラムに書いたようにヘリコイドを繰り出すと現れる鏡胴にグリスが滲み出てしまうことから、これに触れないようボール紙で太いフォーカスリングを作って覆いました。また像面フラットナーとしての凹レンズも付け替えました。引き出し式のレンズフードはそのままです。
5月28日の馬場ロア大阪撮影会における撮影です。撮影した画像をフォトショップ・エレメンツでシャープさの加工をしています。私の手作りレンズは基本的にはソフトフォーカスなのでフォーカスを合わせたところは球面収差によるハロによって滲み、コントラストが低くなります。半面、背景は滲んでとても柔らかくぼけます。しかも背景のぼけ方は全画面で均等です。
Zマウント用135mmF5.6
新手作りレンズによる女性写真
「新手作りレンズ3本」のところで紹介したレンズを作り替え、また新たなマウントでも作りました。これらのレンズで、馬場ロア撮影会と愛知DX撮影会の前日に豊橋で撮影した女性写真を紹介します。新たなレンズは、古い標準ズームの第1群を利用したもので像面フラットナーなしで全画面で周辺までシャープに写ります。ただしこの方法では球面収差によるハロがかなり多いことから絞りを設けて加減できるようにしました。
_____________________________________________________馬場信幸
拡大画像
モデル/叶梨々(シャノワール)
上の写真の顔の部分を拡大したところで、髪の毛を解像しています。手の輪郭で輝度の高いところからは球面収差のハロによる滲みが出ています。
その場の自然光だけによる撮影で、レフ板は使っていないのでキャッチライトは映っていませんが、後方小ボケが滲み、その流れで背景がとても柔らかくぼけています。
地下の広場にての撮影で、天井右手前からのライトがモデルの手前側に当たっていますが、自然光によって顔の陰影がきれいです。青い背景は熱帯魚が飼われている水槽ですが、とても柔らかくぼけています。
モデル/室井あかり(シャノワール)
馬場ロア愛知DX撮影会における撮影でISO400で1/25秒ですが、Z5のボディ内手ブレ補正によって手持ちで撮影できます。イヤリングの滲みにレンズの味がタップリと出ています。
Lマウントで新たに作り直したもので、マウントには焦点工房のニコンF→Lのマウントアダプターを利用し、そこに内部のレンズを取り外したケンコーのニコンFマウントのマクロテレプラスを直進ヘリコイドとして使用。使用したクローズアップレンズは、前方にケンコーのACNo.3、後方に単玉のNo.3+ACNo.5、そしてLマウントの中に像面フラットナーとしての平凹レンズを固定。 焦点距離は128mm。絞りを前方のNo.3の直後に置くことで後方微〜小ボケが全画面で均等に滲みます。
拡大画像
拡大画像
Lマウント用128mmF5.6
拡大画像
拡大画像
像面フラットナーによって周辺までシャープです。そしてフォーカスの合っているところで輝度の高いところはハロによって滲みますが、これが全画面で均等です。
上の写真と同じ説明になりますが、周辺までシャープで、見事なソフトフォーカス描写です。
Eマウント用100mmF4〜16
エムユーケイ(muk)カメラサービスから購入したレンズ工作用の部品で、価格は税込みです。ネットでも購入できます。M42はネジマウントとして広く普及したプラクチカマウントでM52はフィルター径で、このリングはレンズ工作にいろいろ役立ちます。
直進ヘリコイド(4800円)
M42→M52ステップアップリング(1400円)
25mm虹彩絞り
(3900円)
20mm虹彩絞り
(3600円)
使用したクローズアップレンズはハクバのNo.3(49mm)とケンコーのNo.10(49mm)で、マウント部分に像面フラットナーとして古いビデオカメラ用のテレコンバージョンレンズから外した凹レンズを利用。口径25mmの虹彩絞りをボケが全画面で均等になるようなレンズ前方の位置に固定。開放ではF4ですがハロが多くコントラストも低いので、ここではF5.6に絞って撮影しています。
2枚のクローズアップレンズを重ねた焦点距離は約77mmになり、色収差もかなりあることから、像面フラットナーとしての凹レンズを組み合わせましたがそこには相性もあり、色収差が残っています。したがってコントラストの強いところでは、ぼけたところも含めて色収差による色付きが感じられます。またフルサイズで撮影すると四隅でわずかにけられてしまうのでデジタルズームを1.1倍にして撮影しました。
白黒で撮影すると色収差の影響を感じなくなります。手作りレンズも、やはり色消しタイプのクローズアップレンズを利用した方が、写りはいいです。
EFマウント用85mmF5.6
2022年5月号のコラムで紹介した下取り価格が100円ということから分解したミノルタのAF24〜85mmF3.5〜4.5標準ズームの第1群レンズのみを使った手作りレンズで焦点距離は85mmです。フォーカシングにはエムユーケイカメラサービスの直進ヘリコイドを使っています。全体ではメニスカス形状になる第1群レンズの凹面を被写体側にすると球面収差によるハロが多めながらも像面は平らで周辺までシャープです。ただしフルサイズでは絞りの位置とヘリコイドの内径の制約による口径食によって周辺のボケが欠けてしまうのでAPS−Cで使います。
やや古い標準ズームの第1群のレンズだけでこのような写真が撮影できるのですから痛快です。ズームレンズは移動する各群ごとに色収差が補正されているのでその第1群は手作りレンズに利用できる可能性があります。背後の輝度の高い点光源のボケは理想的な柔らかさではありませんが、全画面で均等にぼけます。
マイクロフォーサーズ用64mmF3.2〜16
標準ズームの第1群のレンズだけで像面フラットナーなしで周辺までシャープな画像が得られたことから、カメラ店のジャンクレンズの中から前玉がきれいなミノルタのAF35〜105mmF3.5〜4.5を300円で購入。この標準ズームの第1群レンズの焦点距離は64mmで基本的な構成は上の85mmと同じです。口径20mmの虹彩絞りを使うと開放ではF3.2ですがハロが非常に多く、撮影には向きませんが周辺までシャープです。そして少し絞るだけでハロの変化が大きいのでF4、5.6、8へと絞ると、滲みの量とコントラストが大きく変化します。ただ被写界深度が深いだけに背景のぼけ方は小さいです。
マイクロフォーサーズでは35ミリ判で128ミリ相当になり、絞りはF5.6です。この撮影倍率では背景はあまりぼけませんが、きれいに滲んでいます。
壁はすぐ後ろなのでほとんどぼけない上に滲みが加わることでコントラストが低いですが、人物はとても柔らかく描写されます。
ミノルタAF24〜85mmF3.5〜4.5の
第1群のレンズを利用。
この手作りレンズの無限遠時の位置関係で、第1群レンズの凹面を被写体側にし、絞りをこの位置に置くと像面は平らになり、ボケも均等になります。
絞り
焦点
第1群レンズ
直径15mm
28mm 81mm