ソニー28mmF2、そしてボケ描写が素晴らしいウルトラワイドコンバーター
ソニー28mmF2、そしてボケ描写が素晴らしいウルトラワイドコンバーター
レンズ交換ができるデジタル一眼用としては極めて珍しいコンバージョンレンズですが、マスターレンズである28mmF2と対に設計されているだけあって画質の低下はありません。それどころか、この0.75倍のワイドコンバージョンレンズを装着するとボケ描写が良くなります。その画像をここに紹介します。そしてこのコンバージョンレンズと相性の良さそうなレンズに付けて実験をしてみました。相性がいいというのは、前玉が小さく、さらに奥の方に引っ込んでいないレンズです。それがソニーカールツァイスのFE35mmF2.8とFE55mmF1.8です。
拡大
拡大画像
コンバージョンレンズの倍率は0.75倍。すなわち装着したマスターレンズの焦点距離を0.75倍にしますから、28ミリでは21ミリ相当になります。またフロントコンバージョンレンズは装着後の明るさは変わりませんが、画質の低下を抑えるためにF2.8へと1段絞っています。このコンバージョンレンズの装着は内蔵された磁石によって検出され、Exif情報は自動的に21mmF2.8レンズとして認識されます。
28mmF2+ワイドコンバージョンレンズ
この写真はババロア大阪万博公園撮影会にて撮影したもので、フルサイズ、絞り開放では画面周辺のボケが崩れることからデジタルズームを1.2倍にすることで、全画面でほぼ均等なボケ描写になります。そして拡大画像のように、わずかに後ボケになった背景が柔らかく滲んでいて「味」があります。
_____________________________________________________馬場信幸
モデル/今井えり(シャノワール)
このワイドコンバージョンレンズは28mmF2へは専用のバヨネットマウントで装着しますが、そのままでは35mmF2.8には付きません。そこで49→58ミリのステップアップリングの外周に布テープを巻き、そこにコンバージョンレンズをキュッとはめ込むことで取り付けました。ただし外れてしまう危険があるので注意しながら撮影。その結果は、F2.8開放では球面収差によるハロのためにコントラストが低くなり、ソフトフォーカスレンズのような描写になります。そこでコントラストをパソコンの画像処理で補正したのが下の写真です。やや後ボケになったところの滲みはまさに「レンズの味」で非常に心地よいもので、さらに後ボケも柔らかいです。F4に絞るとハロがかなり消えてコントラストも良くなります。
FE35mmF2.8+ワイドコンバージョンレンズ
ソニーα7Ⅱ 28mmF2+075UWC デジタルズーム1.2倍
F2.8 1/400秒 ISO50
35mmレンズに0.75倍のワイドコンバージョンレンズを組み合わせると焦点距離は26mm相当になります。またFE35mmF2.8とはなかなか相性が良いようで、シャープさは全画面で良好です。ただし開放ではコントラストが低下し、樽型ディストーションがあります。なお、この写真の35mmF2.8のフォーカスリングには、操作性を良くするために、私はゴムのローレットを貼っています。
ソニーα7Ⅱ APS−Cで撮影
FE35mmF2.8+075UWC
デジタルズーム1.4倍(約39mm相当の画角)
F2.8 1/1600秒 ISO200
上記と同じ方法でFE55mmF1.8に0.75倍のワイドコンバージョンレンズを組み合わせると焦点距離は約41mm相当になります。ただしF1.8開放では全画面に大きくフレアがかかってしまいます。そこで絞っていくとコントラストが良くなっていき、シャープさはフォーカスを合わせたところは全画面で良好です。ここに掲載した2点の写真は、ババロア仙台撮影会のときのものでAPS−Cにして約62mm相当の画角でF4とF3.5にして撮影したものです。球面収差によるハロによってソフトフォーカスレンズのような描写になります。撮影画角を広くするのがワイドコンバージョンレンズですが、このようにマスターレンズの描写をソフトフォーカスレンズのようにできるのはとても有用なことです。
FE55mmF1.8+ワイドコンバージョンレンズ
上記と同じ方法で、FE55mmF1.8にワイドコンバージョンレンズを取り付けたところ。なおこの写真も、FE55mmF1.8のフォーカスリングには、操作性を良くするためにゴムのローレットを貼っています。
ソニーα7Ⅱ APS−Cで撮影
FE55mmF1.8+075UWC
(約62mm相当)
F4 1/400秒 ISO100
モデル/間嶋 杏里(シャノワール)
ソニーα7Ⅱ APS−Cで撮影 FE55mmF1.8+075UWC(約62mm相当)
F3.5 1/320秒 ISO100
FE35mmF2.8とFE55mmF1.8は28mmF2とフィルター径が同じで、レンズフードを取り付けるバヨネットなど前枠の形状もよく似ています。そして今回使ってみた075UWCワイドコンバージョンレンズは、共にシャープなレンズを、後ボケの柔らかいソフトフォーカス描写にしてくれます。そこで、このワイドコンバージョンレンズがこれら2本のレンズにも共通に装着できるように作られていたら、どれだけおもしろいでしょうか。後手になってしまいますが、ここは確実に装着できるアダプターが製品化されることを望みます。