ホームhomu.html

シグマ50mmF1.4 DG HSMの描写

 

 シグマの初代50ミリF1.4は、フィルター径が77ミリという大きさと、味のある描写が画期的ともいえる標準レンズです。そして今回の50ミリF1.4は、究極の光学性能を目指したアートシリーズ。一見、100ミリF1.8ともいえるくらいの大きさは、もはや標準レンズというよりも、まったく新しい概念の50ミリレンズです。外観や仕上げは非常に上質。特に好印象なのがフォーカスリングの滑らかな操作感で、AFで撮影するのがもったいないほどです。レンズを前から見ると、内部の反射防止が徹底しており、ガラスの存在が分からないほどです。事実、このレンズは逆光性能も優れています。

絞りをF2に絞ったところを斜めから見たところですが、この角度では口径食がありません。これが下の比較画像の隅における円いボケの形に現れています。

開放とF2に絞ったときの半径方向における後ボケの形を比較したもので、上から新しい50ミリF1.4 DG HSM、中が初代の50ミリF1.4 EX DG HSM、下が従来からの一般的な50ミリF1.4。画面中央のボケは共に同じ大きさですが、隅では口径食のためにボケは欠けてきます。新しい50ミリはF2に絞るだけで口径食が解消しており、フルサイズにおける50ミリとしては見事です。

地下街のショーウインドーで、シャッターで500が切れるほど明るいのですが開放で撮ってみました。フォーカスの合っているところのシャープさは全画面にわたって見事です。余談ですがマネキンの腕などの接続部分が目障りなのでレタッチで消してしまいました。

函館のペンション・パリサラブレッドのアトリエにおけるインテリア小物で、白熱灯による自然光にて開放F1.4で撮影。まず、フォーカスを合わせたところの克明な描写が気持ちいいです。そしてこのレンズは上のチャートのように画面中央では後ボケが大変いいですが、このシチュエーションでは周辺で点光源が小ボケになっていないことからボケ描写もとてもいいです。

室内など光量の少ないところにおいて、絞りを開放気味で撮影するポートレートは、本レンズの良さが堪能できる被写体の一つです。この写真もペンション・パリサラブレッドにおける撮影ですが、F1.4開放という浅い被写界深度によって、フォーカスが合っているのは肩のあたりだけで、右目すらわずかにボケています。その肩の辺りを拡大した下の写真では、シャープに写っている髪の毛と、その後方へと柔らかくボケていく様が心地いいです。そして何より、F1.4という明るさながらコントラストのいい鮮明な描写は秀逸です。また背景には点光源がなく、そこそこ大きくボケていることからボケ描写もいいです。

CAPAのコラムに掲載した写真で、ペンション・パリサラブレッドにて撮影したものです。絞りをF2に絞ればフルサイズでも口径食は解消し、ボケの均等性も良くなります。この写真では、顔、腕、足先、花瓶などがフォーカス面に収まっており、これらは極めてシャープです。そして画面右上で後ボケの様子がわかりますが、これくらいのボケ量になると、周辺ながら素直なボケです。フルサイズにおいて、1段絞っただけでこのようなボケになるのは、 50ミリF1.4のレンズとしてはすばらしいです。

CAPA付録のボケチェックチャートを画面中央にて撮影したもので、左半分がF1.4開放、右がF2。上が新しい50ミリで、縦線部分を見ると開放から鮮明で、前ボケが二線ボケになっており、その分後ボケが柔らかくなっています。下の初代の50ミリは後ボケが滲んでおり、まさに味があります。この味はF2に絞ってもその傾向は残っています。なお同じF値で前後のボケ量が異なるのは球面収差の違いによります。またボケ描写は画面の周辺に行くほど、収差の影響で崩れてきます。

50ミリF1.4 DG HSM

50ミリF1.4 EX DG HSM

拡大画像

モデル/安藤麻貴(ネットアージュ)

拡大画像

拡大画像

拡大画像

拡大画像