シグマ85ミリF1.4の描写

キヤノンEOS7Dに装着したところで、APS-C機で使用するときは、付属のレンズフードアダプターをレンズと花形フードの間にバヨネット式で取り付けることでフードを深くすることができます。

85ミリF1.4としては大きな前玉径にすることで口径食を少なくした良心的な設計。そして極上のシャープさに素直なボケ描写、という超優等生レンズです。

CAPA誌面では十分に伝えられなかったレンズの味チェックチャートを近接域で撮影したもので、味のある描写で特筆すべき描写のシグマ 50ミリF1.4との比較です。写真の左側が前ボケで右側が後ボケです。50ミリF1.4の後ボケは、点光源における光の分布が周辺ほど薄い、すなわち柔らかいボケで、樹木チャートのボケ具合も滲みのある、とても心地よいボケになっています。これが「 味のあるボケ」です。そして後ボケが柔らかいと、必然的に前ボケが二線ボケになり、ザワザワとうるさいボケになります。一般に写真におけるボケは、前ボケよりも後ボケのほうが圧倒的に多いことから、後ボケを重視します。しかし実際にはこのようなレンズ設計は困難です。



50ミリF1.4に対して、85ミリF1.4における点光源のボケは、光の分布がほぼ均等で、いわゆる素直なボケです。特に味付けはされておらず、その代わりフォーカスを合わせたところは、より先鋭な画像になります。これは無収差レンズに近い、いわば優等生レンズの描写です。シグマの50ミリF1.4のような「味」を期待した私としては意外な結果でしたが、F1.4という明るさを考えると、群を抜くシャープなレンズといえます。なおレンズは、近接時ほど後ボケが柔らかい方向に変化する傾向がありますから、このレンズも撮影距離が遠くなると、後ボケが二線ボケ傾向になります。

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フルサイズのキヤノンEOS5DマークⅡで、絞りをF2に絞って撮影したもです。画面の周辺でも口径食はほぼ解消しており、これは前玉径を大きくした設計による効果です。そしてフォーカスの合っているところのシャープさは見事なもので、顔の部分を拡大した下の写真でもわかります。そして髪の毛の後ボケは柔らかくはありませんが、F2としては二線ボケ傾向は少ないので、このクラスのレンズのボケ描写としては良好です。

モデル/新井あずさ( Camyu )

キヤノンEOS7D に装着して、絞り開放で撮影したもです。135ミリ相当の F

1.4大口径中望遠レンズになりますが、その赤く囲ったところを拡大したのが下の画像です。APS−Cサイズであれば全画面が均等で、見事なシャープさです。ということから大口径によるボケを生かした写真で、味のあるポートレートや花を撮影するのであれば 50ミリF1.4、大口径ながらとにかくシャープな写真を撮影したいのであればこの85ミリF1.4と、明確な使い分けができます。