シグマ45mmF2.8+ソニーNEX-6で味のある上質なボケ描写を満喫
シグマ45mmF2.8+ソニーNEX-6で味のある上質なボケ描写を満喫
α6000が登場したことでほとんど使わなくなってしまったNEX-6。それだけに5年半ずっと使い続けてきたα6000は、そろそろシャッターが寿命になるのではという心配が。そこで再びNEX-6を使ってみようかという、そのきっかけになったのがシグマの45mmF2.8です。このレンズのスペックとしての数字は平凡ですが最大の魅力は「味のあるボケ描写」です。ただフルサイズで使うとせっかくの味となるべき後方微〜小ボケの滲み方が画面周辺ほど外側に偏ってしまいます。そこでAPS−Cで撮影すればボケ描写のいいところが相対的に広がり、この時の画角は68ミリ相当と、味が楽しめる花やポートレートには最適です。さらにソニーには0.1倍刻みのデジタルズームがあるので、これで画角を狭くするとボケの均等性はさらに高まります。
ただしデジタルズームにするとAF測距点の選択ができず、これがカメラまかせになってしまうので希望のところにフォーカスを合わせるにはMFのほうが確実です。そこでレンズ側にAF/MF切り替えスイッチがあることを利用し、カスタム設定によって液晶モニター右下のボタンをAF時にはAFエリア選択に、MF時にはデジタルズームの倍率設定にという、とても合理的な使い方ができるようになりました。
AF時
_____________________________________________________馬場信幸
MF時
シグマ45mmF2.8のフォーカスリングは電子式で、動きは非常に滑らかでMFの動きも自然ですがローレットの幅が狭く、まるで歯車を回しているような感触です。
そこでフォーカスリングに下地として幅4ミリに切ったボール紙を両面テープで接着して外径を揃え、そこに幅約15ミリに切ったゴムローレットをつなぎ目が揃うように両面テープで接着しました。
レンズ側のスイッチをAFにするとこのボタンがAFエリアの選択に、MFにするとデジタルズームの倍率の設定になり、それぞれホィールの上下左右操作および回転によって設定します。
45mmレンズに同梱のレンズフードは金属製の高級感溢れる作りですが、マニュアルフォーカシングの邪魔をします。そこでハクバのシリコンゴム製のレンズフードに替えました。こうして45ミリはマニュアルフォーカスがすこぶる快適にできるようになり、そしてNEX-6をも復活させることができました。なお同梱のレンズフードは別売りでは10,000円もします。であれば同梱にせず、その分レンズの価格を下げた方がより買い易くなるのではないでしょうか。
68ミリ相当の中望遠として絞り開放で、手前の穂がシャープに写るような、すなわちフォーカス面に収まるようなポジションからの撮影です。背景に点光源はありませんが、柔らかいボケがとても心地良いです。
拡大画像
画面右上を拡大したもので、やや後ボケになったところが滲むようにぼけており、ここに「味」が感じられます。
デジタルズームを2倍にすることで撮影距離を2倍にし、被写界深度を深くした撮影で、これも絞りは開放です。フォーカスを合わせたところはしっかりと解像し、その少し後ろでは滲んで味があり、後ボケも柔らかいです。
画角が約68ミリ相当ですが、画面右上の滲みを伴った柔らかいボケはこの程度の大きさの写真でもよくわかります。またこの画角は16~50mmF2.8といった大口径標準ズームのテレ端時に相当しますが、高価なAPS-C用の大口径ズームでこのような柔らかいボケのレンズはあり得ません。この心地良いボケ描写が単焦点レンズ、シグマ45mmF2.8の魅力です。
これも絞り開放で、穂にかなり近づいているので被写界深度はそれだけ浅くなります。しかし後方の微ボケが滲むようにぼけて被写体をなだらかに再現してくれるので自然な立体感を感じます。これも味のあるレンズの特徴であり、魅力です。
拡大画像
CAPAのコラムに掲載した写真で、デジタルズームを1.6倍にしたので画角は約108ミリ相当です。絞りは開放ですが、フォーカスを合わせた目などはシャープで、後方微ボケになるイヤリングは滲んでいます。そして背景のボケは柔らかくて均等性も高く、ボケ描写において、もはや完璧です。
全身の撮影になると被写界深度は深くなりますが、それでも背景はこれくらいはぼけます。一般に絞り開放時の画面周辺の小ボケは汚く崩れるのですが、このレンズではそのようなことはなく、さらにAPS-Cで撮影したことから周辺まで小ボケもとても上質です。
夜の街角におけるスナップでスマートフォンからの光がモデルの顔を明るくしています。ここでは背景の点光源のぼけ方から口径食が分かります。F2.8の開放でもAPS-Cで撮影することで画面周辺の口径食も目障りになるほどではありません。NEX-6による撮影で、ISO1600で露光時間は1/15秒。やや後ピンになってしまいましたが手持ちによる撮影です。
NEX-6の内蔵フラッシュに手製のディフユーザーを組み合わせての撮影です。内蔵フラッシュをストレートに発光すると影がきつく、肌がてかるなど写真としての品がなくなりますが、ディフユーザーによって影も柔らかくなります。絞りは開放ですが、フォーカスを合わせた目は繊細にシャープで、イヤリングは滲んでいて味があります。
上記の撮影に使った、厚さ1ミリの乳白アクリル板で手作りしたディフユーザーです。フラッシュをストレートに発光させるとクッキリした影が目障りで、肌もてかるなど写真として無粋です。そこで私はディフユーザーを手作りしています。このディフユーザーはソニーNEX-6や7、そしてα6000シリーズなど内蔵フラッシュを搭載したボディに組み合わせるもので、レンズの前枠やレンズフードにあてがいゴムバンドで軽く固定します。そこでゴムバンドの劣化を考えて輪ゴムを使って交換できるような方法にし、希望される方には2,000円にて作ってみようと考えています。関心のある方は
にメールでお問い合わせください。
モデル/さわい えり(シャノワール)