シグマ35ミリF1.4の描写
シグマ35ミリF1.4の描写
スッキリとした外観に、ゴムローレットの感触もいいフォーカスリングと、その滑らかな操作感など、まずは仕上げの良さが好印象のレンズです。
35mmでF1.4という大口径が生きる被写体は、夜景や十分な光量がない所におけるポートレートです。そこでまずは横浜ランドマークの69階展望台から夜景を撮影してみました。絞り開放では画面周辺部の光量低下があることから絞りをF2 に絞りましたが、全画面にわたってとてもクリアな描写です。大口径レンズでは画面周辺では明るい街灯など輝度の高いところから鳥の羽のようなコマフレアが現れますが、それが非常に少なく、その分、画像のコントラストも上々です。そのコマフレアは、F1.4にしても大きくならず、 ここにこのレンズの開放画質の高さがあります。そしてF 2.8に絞るとコマフレアは消えます。ということで、夜景を撮影するには非常に心強いレンズです。
上の夜景の画面中央部と右上隅を拡大したところです。画面周辺では輝度の高いところから円周方向にわずかにコマフレアが現れていますが、35ミリのF2としては、非常に鮮明な写りです。
南伊豆のペンション ブルー・イン・グリーンの館内にて、自然光による手持ち撮影です。絞り開放ですが、フォーカスの合っているところのシャープさは見事なほどに繊細です。点光源の背景における中ボケは画面周辺ほど口径食はあるものの二線ボケは少なく、レトロフォーカス型の大口径レンズとしては良好です。ただし、わずかに後ボケとなった小ボケでは、右下の拡大画像のように二線ボケになります。それにしてもモデルの手が背景から浮き上がって見えますが、これが大口径レンズの醍醐味です。
モデル/かりな
モデル/梨木アリア(ネットアージュ)
点光源が背景でボケないようなシチュエーションとして撮影した女性写真で、床に仰向けになったところを斜め上から撮影しました。絞りは F2ですが、周辺光量の低下もあまり感じません。そして顔と衣装、足の先、ランプシェードなどの、フォーカス面に収まっているところは実に気持ちのいいシャープさです。この写真の撮影は光学ファインダーのデジタル一眼レフを使いましたが、そのファインダーでは、画面内の要所に精度よくフォーカスを合わせることができません。このようなときは、ソニーα99のライブビューによるピーキングは最強のフォーカシング機能になります。
モデル/かりな
_____________________________________________________馬場信幸
温室における撮影で、F 2に絞ることで口径食の影響を少なくしています。おかげで画面周辺でも点光源的な被写体のボケはあまり欠けてはいません。しかし、やや二線ボケの傾向があります。また左の拡大画像では、フォーカスの合っているところの髪の毛は凛としたシャープさですが、やや後ボケになったイヤリングは二線ボケになっています。 この小ボケになるところが柔らかくボケるのが私としては理想ですが、レトロフォーカス型のレンズで、フォーカスの合っているところをここまでシャープに結像するレンズでは、やむを得ません。このシグマの35mmF1.4は、大口径ながら開放からとにかくフォーカスを合わせたところを克明に写し出す、いわば高MTFレンズ、ということができます。その描写上の傾向は、同じくシグマの85mmF1.4に似ています。
テーブルフォトですが、なかなか雰囲気のいい接写が楽しめます。そしてこのようにフォーカスを繰り出すと、後ボケも柔らかくなります。