前玉径
90mm
前玉径
90mm
フィルター径105ミリ、重さ約1.6キロという超
弩級レンズです。ところがこの大きさ重
さが気にならないくらい、光学性能と
ボケ描写が見事です。
マウントアダプターMC-11を介してソニーα7Ⅲで手持ちで撮影したもので、フォーカスを合わせたところの見事なシャープさが拡大画像からわかります。
入射瞳径は105mm÷1.4で75mm。一般的な中望遠レンズではこれが前玉径になりますが、この105ミリレンズの前玉径は90ミリと大きく、これが口径食の少なさに貢献しています。そしてこの大きな前玉こそが、ボケ描写へのこだわりの現れです。
アルカスイス対応の三脚座は着脱式で、外したところに付属のゴム製カバーを取り付けると見た目にもすっきりし、手持ち撮影時のホールド感も良好です。
見事なシャープさと大変好ましいボケ描写のシグマ105mmF1.4 Art
_____________________________________________________馬場信幸
画面周辺のLEDからのコマフレアは絞り開放ながら非常に少なく、ここにこのレンズのクリアな描写がわかります。
フォーカスを合わせた木の枝がクッキリ写っていますが、背後の建物がぼけているところに被写界深度の浅さがわかります。またその背景が滲むように柔らかくぼけているのも素晴らしいです。
拡大画像
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青が撮影倍率1/20における微〜小ボケで、周辺を除く後方微〜小ボケには芯があって滲んでおり、レンズの味があります。その証拠として前ボケが二線ボケになっています。オレンジ色のボケはさらに後方2倍の距離における点光源のボケで、光が均等に分布した素直なボケです。使用ボディがEOS 5DMarkⅢで、開放画面隅のボケにはわずかですがミラーボックスによるケラレがあります。F2に絞ると隅を除けば口径食はほぼ解消しており、ここに前玉径を大きくした効果が現れています。
撮影倍率1/20におけるCAPA付録のチャートで左の縦縞と砂目チャートやぼけたところでもF1.4開放ながら色付きがなく、色収差の補正が見事です。さらに後方微〜小ボケが柔らかくぼけており、その証拠に前ボケが二線ボケになっています。
夜の建物の中、その場の光による撮影でボディはMC-11を介したソニーα7Ⅲ。フォーカスを合わせたところのシャープさに対してイヤリングやネックレスの柔らかいボケが気持ちいいです。自然光の手持ちでこのような写真が撮影できるとレンズの重さも気にならなくなります。
画面横1/2は画面の中間あたりになりますが、このときのF1.4開放の後方微〜小ボケでは外側がやや欠けています。それでもF2に絞ると整って、柔らかさも残っています。
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モデル/暮羽優奈(シャノワール)
最近接撮影ではここまで寄れますが、フォーカスを合わせた目や髪の毛の克明なシャープさ、対してイヤリングの柔らかいボケ、この両立が見事です。この写真もα7Ⅲによる手持ち撮影です。
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F2に絞ると口径食はほぼ解消し、背景の街灯などのボケは隅を除けばきれいに円く、このボケ量にして、この上質なボケ描写は唯一無二です。フォーカスを合わせたところのシャープさと後方微〜小ボケの柔らかさも拡大画像の通り、良いです。
拡大画像
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拡大画像
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掲載のポートレート撮影はキヤノンマウ
ントの105ミリをシグマのマウントアダ
プターMC-11を介してソニーα7Ⅲで撮影
しました。広いAFエリアとライブビューに
よる撮影のし易さに加え、ボディ内手ブレ補正
によって遅いシャッターでも手持ちで撮影できます。
オリンパスE-M1MarkⅡにマウントアダプターを介して絞り開放状態の105ミリを装着。左のような夜の雨上がりの草むらで葉の雫全体がフォーカス面に収まるように手持ちで撮影したものです。条件の悪い中ですが、ボディとレンズの良さが相まって、大満足の結果が得られました。
最初にこのレンズを手にした時は、その大きさ重さから普段使いには、といささか躊躇しました。ところが実際に撮影してみると、開放からの驚くべきシャープさに加え、口径食が少なく、味があり、さらにボケに色が付かないなど、ボケ描写における完成度の高さも見事です。105ミリでF1.4というスペックが単なる大口径ではない、画質と上質なボケ描写を両立させた、まさに正真正銘の「ボケマスター」です。