MFアシストとソニーNEXのピーキングMF
MFアシストとソニーNEXのピーキングMF
静止被写体の撮影であれば、もはや光学式ファインダーのデジタル一眼レフよりも、実際に撮影する画像が見られるライブビューのデジタル一眼のほうが、さまざまな面で、遥かにいい結果になる撮影ができます。ここではその一例として、ソニーのMFアシストと、NEXの新機能であるピーキングMFについて紹介します。いずれもこの上ない確実、完璧なフォーカシングで撮影でき、MF撮影が格段におもしろくなります。
ファームウエアのバージョンアップを行なうことで手元のNEXでもピーキングMFが可能になります。これは方眼紙を接写したときのピーキングMFの画像で、フォーカスの合ったところは走査波形のコントラストが大きくなることから、縦方向の絵柄に対してそこがピーキングによって色で表示され、合焦したことが分かります。色は白、赤、黄に、そして被写体のエッジのキレに応じてピーキングレベルも3段階に設定できます。この写真では、方眼紙全面にフォーカスが合っていることがわかります。
カスタム設定によって、削除ボタンを撮影時にはMFアシスト機能にしたα55。削除ボタンを1回押すとオレンジ色の拡大枠が現れ、これが十字キーで画面の中どこへでも移動ができ、再度ボタンを押すとそこが7.5倍に拡大されます。そこで事前に構図を決め、被写体の肝心なところに枠を移動して拡大。その拡大画像でフォーカシングをし、合わせたところでシャッターボタンを押せば、これで構図もフォーカスも確実な写真が撮影できます。
写真左はソニーα55にミノルタのSTF135ミリを装着、右はソニーNEX-5にAマウントアダプターを介してソニーDT35mmF1.8を組み合わせたものです。STFレンズは、ここではAPSーCで使うことからやや細身のラバーフードにし、絞りは開放で使うので絞りリングが動かないように薄緑色のビニール化粧シートで覆っています。DT35mmF1.8には市販の金属フードに同様に化粧シートを貼りました。
_____________________________________________________馬場信幸
全画面
小さなシジミチョウをSTF135ミリの最短撮影距離近くで撮影。MFアシストによって確実なフォーカシングができます。これがデジタル一眼レフの光学式ファインダーに対しては、アクセサリーとしてマグニファイヤーがありますが、拡大率は2倍ほどで、しかも画面中央しか見られません。それがα55では7.5倍、さらに15倍にもなり、画面内どこでも拡大できるのですから、その精度の高さや使いやすさは、ライブビュー機の大きな魅力です。
ソニーα55 STF135ミリ T4.5 1/160秒 ISO400
STF135ミリにミノルタの1.4倍アポテレコンバーターを組み合わせ、Aマウントアダプターを介してNEX-5に装着。小さなクモのいる葉と、上と右の葉の先がそれぞれピーキングによって合焦時に赤く色づくよう、フォーカスリングの繰り出し操作をしながらカメラポジションを求めたところでシャッターを切りました。後でクモを拡大して、そのシャープさに驚きましたが、これはレンズの結像性能の高さとピーキングMFによる効果です。また背景のボケの柔らかさは、さすがにSTFレンズです。
かなり寄れるソニーのDT35ミリF1.8を、プレシジョンデジタルズームを2倍にした約100ミリ相当の画角で接写したものです。被写界深度が非常に浅い中、アジサイの三つの花が共にシャープに写るよう、ピーキングで三つの花に色が付くようにカメラの撮影ポジションを求めます。光学ファインダーではこのように複数のポイントに対して正確にフォーカスを合わせるのは至難の業ですが、ピーキングによってこれが容易に、しかも高精度で可能になります。ピーキングはビデオカメラでは周知の機能だそうですが、このように絞りを開けながらも肝心なところをシャープに写す「フォーカス面の発想」による撮影テクニックにおいても、大いに役立ちます。
ソニーNEX-5 DT35ミリF1.8 プレシジョンデジタルズーム2倍 F2.2 1/500秒 ISO200