現役のソフトフォーカスレンズとして貴重な存在のレンズベビーVelvet56mmF1.6
現役のソフトフォーカスレンズとして貴重な存在のレンズベビーVelvet56mmF1.6
ソフトフォーカス描写はいつの時代でも人気があります。しかしほとんどのソフトフォーカスレンズは生産が終わってしまいました。一説にはデジタルカメラの画像処理で対応できてしまうからと言われています。しかし画像処理は2次元的な処理で真のソフトフォーカス描写はレンズの球面収差を利用したものなので、これは3次元。基本的に次元が異なります。画像処理は、あくまでもソフトフォーカス的な画像にしたものに過ぎません。ということから、このVelvet56は、現役のソフトフォーカスレンズとして、とても貴重な存在です。
_____________________________________________________馬場信幸
ソフトフォーカスはフォーカスを合わせたシャープなところとコントラストが最大のところでは位置がずれてしまうために、コントラストが最大になったところでは後ピンになってしまいます。したがってマニュアルでフォーカスを合わせるにはコントラストは無視して画像が滲みながらも芯のあるところに合わせます。そのために光学式のファインダーではその見極めが難しいですが、ライブビュー式のデジタル一眼ではファインダーの部分拡大によってフォーカシングの精度が高まります。この画像はAPS−Cのソニーα6000にマウントアダプターを介して装着したので焦点距離は84ミリ相当になります。絞りはF2.8。ババロア沖縄DX撮影会にて。
ハイライト部分からの光の滲みにソフトフォーカス描写の効果がもっとも良く現れます。使用カメラはニコンD750で、フルサイズに1.2倍のクロップをしたところなので約67ミリ相当の画角です。絞りはF2.8。
モデル/MAAMI(シャノワール)
モデル/今井えり(シャノワール)
Velvet 56はフルサイズに対応したレンズですが、APS−Cサイズで撮影すれば、ポートレートが撮影しやすい画角になります。ところでソフトフォーカスはハロと言う球面収差による光の散乱がフォーカスの合ったところに滲みを与えることで得られる描写です。それがよく現れるのが逆光気味の髪の毛やネックレスなどの絵柄の細かいハイライト部分です。F2.8。ババロア沖縄DX撮影会にて。
ソフトフォーカスは収差によるものなので、その量は絞りによってコントロールします。この項の女性写真のような撮影距離ではF2.8あたりがバランスのとれたソフトフォーカス描写になります。また球面収差によって後方のボケが芯を残したように柔らかくなります。ババロア沖縄DX撮影会にて。
ソフトフォーカス描写は花の撮影でもその効果が楽しめます。この写真はソニーα7Ⅱに組み合わせ、フルサイズでデジタルズームを2.8倍にし、その分、撮影距離を長くすることで被写界深度を深くし、さらに手前の二つの花がフォーカス面に収まるようなポジションから撮影したものです。それにしても後ボケの柔らかさはとても心地いいです。F4。
Velvet 56は近接性能も非常に高く、APS−Cサイズでは横45ミリを画面いっぱいに写すことができます。この写真は小さなチェリーセージの花を最近接で撮影したものです。F4。